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壱岐の島一周はおよそ40kmで、車なら約1時間30分で回れる距離です。ただ、この40kmは車で外周を回ったときの目安で、自転車なら一周の目安は約60kmです。最高峰でも約213メートルの低い島ですが、海沿いの道は小さな登り降りが続くので、体力に不安がある初心者には電動アシスト付きのレンタサイクルが向いています。
壱岐は玄界灘に浮かぶ長崎県の島です。壱岐市の総面積は138平方キロメートルで、島の形はほぼ円く、南北が約17km、東西が約15kmです。対馬暖流の影響を受けるため、気候は温暖な海洋性です。

壱岐の島一周は車で約40km、自転車では寄り道しだいで距離が倍以上に伸びる
自転車で走る距離は、外周道路をそのままなぞるか、内陸の道や名所への寄り道を入れるかで大きく変わります。
| 回り方 | 距離 | 補足 |
|---|---|---|
| 車で島を一周 | 約40km | 所要約1時間30分 |
| 自転車での一周 | 約60km | 案内上の目安 |
| 自転車旅行者がYAMAPに残した周回記録 | 96.5km | 獲得標高2,708m |
所要時間は脚力によって変わり、電動ではない普通の自転車で日帰り一周をした人の記録では、休憩を含めると走っていた時間は8時間を超えました。
海岸線を回る一周コースの獲得標高は330m前後で中級者向け
壱岐は全体が丘陵性の台地で、いちばん高い岳ノ辻でも約213メートルです。なだらかに広がる平坦な島なので、長い峠をいくつも越えるような道にはなりにくい地形です。
それでも、海岸線に沿って走ると話は変わります。ツール・ド・壱岐島の一周特設コースは、一般公道を使って海沿いに島を回る約50kmの道のりで、壱岐の島ホール前から大矢公園体育館までを結びます。2022年大会に出た人が参戦記に残した獲得標高は330m程度でした。走り出してすぐに約100mを登り、その後は細かい登りが次々に現れる構成です。
この数字は、ツール・ド・おきなわの50kmコース(獲得標高350m)とほとんど変わらず、難易度は中級者向けです。
アシストなしで回った人の記録には、50mから100mほど高さの変わる上り下りが続き、それなりに大変だったとあります。先ほどの96.5kmの記録を残した旅行者も、ひたすらアップダウンを繰り返すタフなコースだったと書いています。
電動アシスト付きの「壱岐ちゃり」は半日1,500円、1日3,000円で借りられる
島内で借りられる電動アシスト付きのレンタサイクルが「壱岐ちゃり」です。運営しているのは一般社団法人壱岐市観光連盟で、2025年4月1日に料金の一部を改定しました。現在の料金は次のとおりです。
| 利用区分 | 料金 |
|---|---|
| 半日(4時間以内) | 1,500円 |
| 1日(4時間超から8時間以内) | 3,000円 |
| 1泊2日 | 3,500円 |
| 延長(1時間ごと) | 550円 |
| 借りた港とは別の港で返す場合の回収料 | 550円 |
貸出の窓口は郷ノ浦港と芦辺港、印通寺港の観光案内所
壱岐ちゃりを借りられる場所は島内に7か所あります。中心になるのは、郷ノ浦港と芦辺港、印通寺港にあるフェリーターミナル内の観光案内所です。用意されている台数がいちばん多いのは郷ノ浦港です。郷ノ浦港のターミナルビルのすぐ隣にある観光拠点施設でも、電動自転車を貸し出しています。
港以外では民間の施設も窓口になっています。壱岐空港の横にある玄海交通、印通寺浦のマリンパル壱岐、湯本温泉の壱岐島荘などで借りられます。
貸出時間は9時から17時、悪天候や強風の日は止まる場合がある
貸出時間は9時から17時です。天気が荒れた日や風の強い日には、貸出そのものを取りやめることがあります。12月29日から1月3日までの年末年始は休みです。
未成年が借りる場合は、保護者の同意を得ておく必要があります。問い合わせ先は壱岐市観光連盟です。
港ごとのモデルコースは「壱岐観光ナビ」に載っている
どこを回るか迷ったら、壱岐市観光連盟が運営する観光サイト「壱岐観光ナビ」が役に立ちます。出発する港ごとに壱岐ちゃりのモデルコースをまとめていて、郷ノ浦港で借りて半日で回る人向けには「壱岐ちゃりナビMAP」も用意されています。
電動アシストのバッテリーは旅行記で満充電30km程度、一周なら途中での交換を頼んでおく
電動アシストで島を一周するときにいちばん気をつけたいのは、途中でバッテリーが切れることです。ある旅行記では、満充電の状態から30km程度走れたという使用感で、充電し直すのに2時間弱かかったそうです。
一周する途中で残量が切れる場合があるため、壱岐の観光案内サイトは、借りる前に相談して、途中のレンタルスポットで交換できるよう頼んでおくよう呼びかけています。
アシストの強さの選び方でも持ちは変わります。いちばん強い3に合わせると電池の減りが早く、強さを抑えると長く持ったという体験談があります。
博多港から壱岐へは高速船で約60分から70分、フェリーなら約150分
福岡の博多港から壱岐へは、ジェットフォイルなどの高速船で約60分から70分、フェリーなら約150分で渡れます。着く港は郷ノ浦港か芦辺港です。博多から郷ノ浦までの航路の距離は約75kmで、週末の島旅にも組み込みやすい近さです。
島に着いてからの移動は、少し計画が必要です。島内の路線バスは本数が多くないため、どこをどう回るかを先に決めておくと安心です。郷ノ浦港と芦辺港には壱岐ちゃりの窓口があるので、船を降りた港でそのまま自転車を借りて走り出せます。帰りの船が借りた港とは別の港から出るなら、壱岐ちゃりの回収料550円がかかる点も覚えておいてください。
壱岐のサイクリングで寄りたい定番は猿岩と左京鼻、はらほげ地蔵
島内を巡る定番として名前が挙がるのは、猿岩と黒崎砲台跡、はらほげ地蔵、左京鼻、岳ノ辻展望台などです。
西部の黒崎半島にある猿岩は高さ約45メートル
猿岩は、壱岐の西部にある黒崎半島の突端に立つ、高さ約45メートルの奇岩で、壱岐のシンボルとして知られています。崖から張り出した大きな岩がそっぽを向いたサルのように見えると人気で、夕日を眺める名所でもあります。
すぐ近くには黒崎砲台跡があります。昭和8年に完成した砲台の跡で、猿岩とあわせて見て回れます。
渡良半島の牧崎公園には周囲約110メートルの「鬼の足跡」
島の西の端、渡良半島の先にある牧崎公園は、壱岐を代表する景色の一つ「鬼の足跡」がある景勝地です。玄武岩でできた海食崖の上に草原が広がり、その中に周囲約110メートルの大きな穴が口を開けています。
鬼の足跡の北側には「微笑むゴリラ岩」と呼ばれる奇岩もあります。玄武岩の大岩が、巨大なゴリラの横顔に見えることから付いた名前です。
八幡半島の左京鼻は約1kmにわたって断崖が続く
左京鼻は八幡半島の先端にあり、切り立った崖が約1kmも続きます。見どころは海から突き出た岩の柱の群れで、「観音柱」の名でも呼ばれています。玄武岩が柱状節理となって立ち並んでいます。
はらほげ地蔵は満潮になると胸まで海に浸かる
海女の里として知られる八幡浦には、六体の地蔵が並ぶはらほげ地蔵があります。満潮のときは胸のあたりまで海に沈み、干潮になると全身が姿を見せるので、潮の具合によって違う姿に出会えます。
名前の由来は、地蔵のお腹が丸くえぐられているからだともいわれています。地元では、遭難した海女や鯨を供養するために祀ったものと伝えられています。
小島神社の参道が海から現れるのは干潮の前後数時間だけ
小島神社は小さな島に建つ神社で、海の中から参道が現れるのは干潮の前後数時間だけです。潮が満ちると小島のまわりは再び海になるため、訪ねる日の潮位を前もって調べておくことが欠かせません。
参道は海底の岩場なので、ごつごつしていて滑りやすい場所があります。島全体が神域とされているため、小枝や小石を拾って持ち帰ることもできません。
北の勝本港から船で10分ほどの無人島、辰ノ島
辰ノ島は壱岐の北に浮かぶ無人島で、海の美しさで知られています。勝本港は壱岐でいちばん北にある港で、そこから船に乗れば10分ほどで着きます。島のまわりを巡る遊覧船も出ています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定期運航 | 4月から11月(12月から3月は定期便なし、予約制) |
| 所要時間 | 遊覧のみ30分から40分ほど、上陸を含む島めぐり1時間半ほど |
| 時刻の目安 | 9時、10時、11時、13時30分、14時30分、15時30分(夏休み期間は増便) |
| 予約先 | 勝本町漁協(最新の時刻と料金もここで確認) |
荒天の日は運休になります。
勝本の朝市と古民家カフェで地元の味を
島の北部、勝本町では朝市が開かれ、地元でとれた新鮮な魚介や野菜、干物、手づくりの惣菜が並びます。干物や壱岐牛の加工品は、お土産として持ち帰るのにも向いています。壱岐では肉用牛が、水稲や葉たばこと並ぶ主な農産物です。
勝本の町並みの一角には、古民家を使った「モカジャバカフェ大久保本店」があります。地産地消にこだわった料理が特徴の店で、壱岐牛のハンバーガーが人気です。
筒城浜は「快水浴場百選」に選ばれた遠浅のビーチ
筒城浜は壱岐を代表する砂浜で、「快水浴場百選」にも選ばれています。遠浅で、海の透明度が高いのが特徴です。海水浴を楽しめるのは夏の7月中旬から8月下旬が中心になります。
雨の日は一支国博物館で原の辻遺跡を見渡す
雨で走れない日に選ばれているのが一支国博物館です。原の辻遺跡は弥生時代の大規模な環濠集落の跡で、『魏志倭人伝』に登場する「一支国」の王都がここだと特定されています。博物館はこの遺跡を見渡せる場所に建っています。屋上テラスや展望タワーからは遺跡の全体を眺められます。
館内には『魏志倭人伝』をテーマにした展示があり、原の辻での暮らしを映像で紹介するシアターも備えています。開館は8時45分、閉館は17時30分です。休館日は毎週月曜日(祝日なら翌日)と12月29日から31日ですが、ゴールデンウィークと夏休みの期間は休まず開いています。郷ノ浦港や芦辺港からは車で約20分です。
走り終えたあとの楽しみは生ウニ丼と壱岐焼酎
天然ウニの旬は4月中旬から6月中旬
壱岐で天然のムラサキウニがとれるのは4月中旬から6月中旬で、この時期がウニの旬の目安です。アカウニは養殖ものも出回っていて、塩水漬けなどに加工した品は2021年3月ごろから島の内外で売られるようになりました。
生うに丼は島内の食事処で食べられますが、仕入れの状況は店によって違います。名物として知られるのは味処 味よしの生ウニ丼で、ごはんが隠れるほど生ウニを盛り、店独自のタレをかけて出しています。この店では玄界灘でとれたアワビやサザエも味わえます。ウニのエキスを凝縮したウニめしなら、うにめし食堂はらほげが有名です。
壱岐は麦焼酎の発祥地、島内には七つの蔵元がある
麦焼酎の発祥地とされる壱岐で、焼酎が造られ始めたのは16世紀のことです。島の人たちが余った大麦で自家用の焼酎を造ったのが始まりだといわれています。昔ながらの造り方では、原料のうち3分の1を米麹、3分の2を大麦にします。
1995年には、壱岐焼酎が地理的表示(GI)の産地指定を受けました。島の外で造った焼酎は、壱岐焼酎を名乗ることができません。島内の蔵元は七つで、貯蔵に使う容器や寝かせる期間が蔵ごとに違うため、味も香りもそれぞれ異なります。
清水と呼ばれる自然の水がたっぷり湧き出る土地に建つのが壱岐の蔵酒造で、併設の売店では試飲もできます。玄海酒造は、酒造免許の制度ができた1899年(明治32年)に創業した蔵です。
ひとつ忘れてはいけないのが、お酒を飲んだあとはレンタサイクルも含めて自転車に乗れないことです。試飲やお土産の焼酎選びは、自転車を返してからにしてください。
ツール・ド・壱岐島は1989年から続く公道封鎖のロードレース
壱岐で1989年に始まった自転車のロードレースが「ツール・ド・壱岐島」です。以前は壱岐サイクルフェスティバルという名前でした。島内の一般道路に特設コースを設け、当日は交通規制を敷いて公道を閉鎖する本格的なレースですが、一般の参加者が走れるコースもあります。
2026年大会は6月7日の開催として案内され、8kmと30km、50kmの3コースが設けられていました。30kmは芦辺港をスタートし、9時55分と10時5分の2回に分けての発走、50kmは8時45分の発走とされていました。2026年大会ではスタートの並び方にも決まりがあり、一般の申込では、当日に出走を申告した順番でスタートグリッドの位置が決まりました。ふるさと納税を通じて申し込んだ場合は、特典として用意された枠の中から、早い者勝ちで位置を指定できました。
その前年の2025年大会は6月1日に開かれました。スタート地点は2024年と2025年の両大会とも同じで、50kmが壱岐の島ホール前から、30kmと8kmが芦辺港からのスタートでした。
1回の大会に集まる参加者は推計でおよそ400人から600人で、その大半は島の外から来る人です。1989年から数えた参加者の累計は18,000人を超えています。
島を走るときもヘルメットは全年齢で努力義務
2023年4月1日から、自転車に乗る人は年齢を問わずヘルメットをかぶるよう努めることになっています。事故や転倒で傷つきやすいのは頭で、ヘルメットは硬い路面や車体にぶつかったときに頭を守ってくれます。
警察の「自転車安全利用五則」では、車道の左側通行が原則です。歩道は例外扱いで、走るときは歩行者が優先になります。ほかにも、交差点で信号と一時停止に従うことや、夜間のライト点灯などが五則に含まれています。島でレンタサイクルを借りて走る場合も、このルールは変わりません。
壱岐の島一周は40kmを目安に、電動アシストと寄り道の数で計画する
壱岐の島一周は車で約40km、自転車で一周する場合の目安はおよそ60kmです。壱岐ちゃりの電動アシストで一周するなら、旅行記では満充電で30km程度だったことを踏まえ、借りる前に途中でのバッテリー交換を相談しておくと安心です。








