本栖湖は富士五湖で最深、周回ランニングコースは11.6km

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富士五湖の最西端に位置する本栖湖は、最大水深121.6メートルを誇り、五つの湖の中でもっとも深い水をたたえています。湖畔をぐるりと囲む道路を走ると、周回距離はおよそ11.6kmです。信号がほとんどなく交通量も少ないため、初心者から経験者まで安心して走れる周回ランニングコースとして知られています。周囲には千円札の裏面に描かれた逆さ富士の絶景ポイントや、アニメ「ゆるキャン△」の聖地として親しまれる浩庵キャンプ場が点在し、走りながら富士五湖ならではの景観を楽しめます。この記事では、本栖湖の基本データから周回ランニングコースの詳細なルート、見どころ、アクセス方法、走る際の注意点までをまとめました。

目次

本栖湖は富士五湖で最大水深121.6メートルの堰止湖

本栖湖は、山梨県南都留郡富士河口湖町と身延町にまたがる湖です。富士五湖(山中湖、河口湖、西湖、精進湖、本栖湖)の中では最西端に位置し、富士山の噴火による溶岩流がせき止められて生まれた堰止湖にあたります。面積はおよそ4.7平方キロメートルで、富士五湖の中では山中湖と河口湖に次ぐ広さです。湖面の標高はおよそ900メートルあり、富士五湖の中でもっとも高い場所に湖面を持っています。

本栖湖最大の特徴は水深です。最大水深は121.6メートルに達し、富士五湖はもちろん、山梨県内の湖の中でももっとも深い湖にあたります。資料によっては138メートルと記載されているものもありますが、一般的には121.6メートルが広く引用されている数値です。この深さゆえに水温が低く保たれ、湖水の透明度は非常に高くなっています。コバルトブルーに近い青色をたたえた湖面に周囲の緑や富士山が映り込む様子は、写真愛好家やハイカー、ランナーを引きつけてきました。

湖の周囲は資料によって11.8kmから12.6km程度と幅がありますが、実際に舗装道路を走った場合の周回距離としてよく紹介されるのが11.6kmです。これは湖岸そのものの周長ではなく、湖を取り囲む県道や町道を走った場合の距離を指しており、ランニングやサイクリングのコースとして紹介される際の定番の数値になっています。

本栖という地名は貞観6年の富士山噴火から生まれた

本栖湖という名前には、歴史的な背景があります。もともと本栖湖の北東側には「剗の海」と呼ばれる巨大な湖が広がっており、本栖湖、西湖、精進湖の三湖は、かつてこの一つの湖でした。平安時代の貞観6年、西暦864年に発生した富士山の貞観噴火により、大量の溶岩流が剗の海に流れ込みます。『日本三代実録』には、噴火からおよそ2か月後にあたる同年7月2日、甲斐国から「本栖と剗の海の二つの湖に溶岩が流れ込んだ」という報告があったことが記録されています。この溶岩流によって剗の海は分断され、現在の本栖湖、西湖、精進湖という三つの湖に分かれました。

本栖という地名の由来については、湖が失われる大災害を経験した住民が、もともと暮らしていた土地に戻り、生活を築き直したことから、本(もと)の栖(すみか)、すなわち本栖という名がついたという説が伝えられています。こうした成り立ちを知ったうえで走る本栖湖一周は、湖畔の風景に違った味わいを与えてくれます。

富士五湖の周回距離を比べると本栖湖は中間的な長さ

富士五湖はそれぞれ周回距離が異なり、走りごたえや雰囲気も変わります。

周回距離の目安
山中湖約13.5〜14km
河口湖約17km
西湖約10km
精進湖約5〜6.8km
本栖湖約11.6〜12km

山中湖は東京オリンピックのロードレースコースにもなった実績があり、湖岸沿いに歩行者や自転車専用のサイクリングロードが整備されているため走りやすいコースです。西湖には歩行者専用道路がなく車道を走る区間があり、精進湖は距離こそ短いものの起伏があります。本栖湖もまた車道を利用する区間が中心です。

富士五湖をすべて走破すると、合計でおよそ110km前後の走行距離になります。五湖走破は多くのランナーにとって一つの目標です。その中で本栖湖は、距離が10km超と程よいボリュームがありながら、信号や交差点が少なく、樹海や山道特有の静けさを味わえる点で、他の四湖とは一線を画しています。

本栖湖の周回ランニングコースは緩やかな上り下りが2箇所

本栖湖の周回コースの総距離は11.6kmです。湖面標高900m前後を保ったまま大きなアップダウンなく周回できるのが特徴ですが、完全なフラットではなく、コース上には勾配のある区間が2箇所ほど存在し、緩やかな上り下りがアクセントになっています。

コースは基本的に湖畔を走る車道、県道や町道を利用します。交通量は少なく、のんびりとしたペースで走るには適した環境ですが、道幅が狭い区間もあるため、車とのすれ違いには注意が必要です。本栖湖キャンプ場(浩庵キャンプ場)を過ぎたあたりからは道幅がさらに狭くなり、木々が頭上を覆う緑のトンネルのような区間が続きます。夏場は木陰になって涼しく走れる一方、見通しが悪くなる場所もあるため、車の接近には注意しましょう。山側の斜面近くでは落石注意の看板が設置されている箇所もあり、地形的に落石の可能性がある区間であることも覚えておきたいポイントです。

時計回りなら後半に富士山を正面に見て走れる

走る方向は反時計回りと時計回りのどちらでも選べますが、コースを走ったランナーの体験談として、反時計回りだと終始振り返らないと富士山が見えないという声があります。時計回りだと前半のおよそ3分の2は森の中を走り、後半のおよそ3分の1で富士山に向かって走ることになります。富士山を眺めながら気持ちよく走りたい場合は、時計回りがおすすめです。後半に富士山を正面に望みながら走れる展開はモチベーションを保ちやすく、写真映えするシーンも増えるため、初めて訪れるランナーには時計回りが向いています。

中之倉峠展望台では千円札の逆さ富士と同じ構図が見られる

本栖湖のハイライトは、湖の北西岸から望む富士山の景観です。この構図は、写真家岡田紅陽が撮影した「湖畔の春」という作品がもとになっており、旧五千円紙幣や現在の千円紙幣の裏面デザインに採用されたことで全国的に有名になりました。岡田紅陽がこの写真を撮影した場所は、本栖湖セントラルロッジ浩庵の裏手にある山中、中之倉峠です。

中之倉峠展望台へは、県道709号沿いにある登山口から徒歩で15分から30分ほど登る必要があり、周回ランニングコースそのものとは別に、寄り道として訪れる場所になります。展望台からは、竜ヶ岳や富士山の裾野に広がる青木ヶ原樹海、富士山の左手には大室山周辺の山並みなどが見渡せ、紙幣のデザインそのものの光景が広がります。湖面に富士山が逆さに映る逆さ富士が見られるのは、風がまったくない無風状態のときに限られるため、遭遇できればかなり幸運です。ランニングの前後に時間があれば、立ち寄りたいスポットです。

浩庵キャンプ場はゆるキャン△第1話の舞台になった

本栖湖湖畔にある浩庵キャンプ場は、人気アニメ「ゆるキャン△」の第一話の舞台として登場したことから、聖地としてファンの間で広く知られるようになりました。作中では、主人公の一人が自転車にキャンプ用具を積み、紅葉の中、県道300号線(通称本栖みち、甲州いろは坂とも呼ばれる登り坂)を本栖湖に向かって進み、中之倉トンネルを抜けて浩庵キャンプ場手前のトイレ前のベンチで、もう一人の主人公と出会うという印象的なシーンが描かれています。

浩庵キャンプ場は、本栖湖越しに富士山を一望できるロケーションが魅力で、千円札の構図に近い景色を湖畔レベルから楽しめます。ランニングコースの途中に位置しているため、聖地巡礼を兼ねて写真を撮りながら走るランナーも多く、コース内でひときわ賑わうポイントの一つです。

青木ヶ原樹海に隣接する区間は緑一色の景観になる

本栖湖へ向かうアクセス道路やコースの一部は、青木ヶ原樹海に隣接しています。樹海の中を進む区間では、視界が緑一色に覆われ、開けた場所がほとんどないため、深い森の中を進んでいるような独特の感覚を味わえます。ランニングコースそのものは湖畔道路が中心のため樹海の奥深くまで入り込むことはありませんが、うっそうとした木々に囲まれた雰囲気は本栖湖エリアならではの魅力であり、他の富士五湖にはない景観を作り出しています。

アクセスは河口湖駅からバスでおよそ45分

公共交通機関を利用する場合、富士急行線河口湖駅から路線バスに乗車し、本栖湖または本栖入口バス停で下車するのが一般的なルートです。所要時間はおよそ45分が目安です。河口湖、西湖、本栖湖方面を結ぶ周遊バスも運行されており、観光と組み合わせて訪れる場合に便利です。運賃はルートや利用する乗車券の種類によって異なりますが、片道であれば1,000円台、周遊クーポンを利用する場合は1,500円から3,500円程度が目安です。バスの本数は多くないため、事前に最新の時刻表を確認しておくとよいでしょう。

車で訪れる場合は、中央自動車道の河口湖インターチェンジや新東名高速道路の新富士インターチェンジなどからアクセスするのが一般的です。国道139号線や県道709号線、通称本栖みちを経由して本栖湖畔へ向かいます。

駐車場については、湖の東側にある本栖湖駐車場が利用しやすく、無料で利用できます。収容台数はおよそ40台程度で、大型バスの駐車も可能です。周辺には他にも湖畔に沿って複数の駐車スペースが点在しているため、ランニングのスタート地点として利用しやすい場所を選ぶとよいでしょう。行楽シーズンや週末は混雑することもあるため、早めの到着を心がけると安心です。

本栖湖の周回コースを走る際の注意点は車道の狭さと寒暖差

本栖湖の周回コースを走る際には、押さえておきたいポイントがいくつかあります。

湖畔道路は基本的に車道であり、歩行者や自転車専用の道は整備されていない区間が大半です。交通量自体は少ないものの、道幅が狭い箇所やカーブが連続する箇所もあるため、車の接近には常に注意を払う必要があります。見通しの悪い緑のトンネル区間や、キャンプ場周辺の混雑しやすい時間帯は速度を落として走ることをおすすめします。

標高900mという高地に位置するため、平地とは気温差があります。夏場でも朝晩は涼しく、防寒対策が必要になる季節もあります。真夏の日中でも湖からの涼しい風が心地よく、避暑を兼ねたランニングスポットとしても人気があります。冬場は積雪や路面凍結の可能性もあるため、寒い時期に訪れる場合は路面状況の確認と防寒装備の準備が欠かせません。

コース上にはコンビニエンスストアなど補給できる施設が多くないため、給水や補給は事前に済ませておくか、携行することが望ましいです。トイレは駐車場やキャンプ場周辺に設置されている公衆トイレを利用できますが、数は限られているため、位置を事前に把握しておくと安心です。

青木ヶ原樹海に近いエリアであることから、野生動物との遭遇についても頭の片隅に置いておくとよいでしょう。人里から離れた自然豊かな環境であるため、早朝や夕方など薄暗い時間帯の単独走行では周囲への注意が必要です。

新緑と紅葉の季節が本栖湖ランニングにもっとも向く

本栖湖周辺は標高が高いため、新緑の季節(春から初夏)と紅葉の季節(秋)は特に景観が美しく、ランニングにもおすすめの時期です。夏は避暑地としても知られ、都心部よりも涼しい気候の中で走れるのが魅力です。冬は空気が澄み、富士山がくっきりと見える日も多くなりますが、路面の凍結や積雪には十分な注意が必要です。

時間帯としては、早朝は空気が澄んでいて富士山がよく見え、交通量も少ないためおすすめです。日中は観光客や写真撮影に訪れる人で駐車場やビュースポットが混み合うこともあるため、静かに走りたい場合は早い時間帯を狙うとよいでしょう。

11.6kmは10kmレースの距離感をつかむ定点観測コースになる

本栖湖の周回コースは、景色を楽しむだけでなく、実践的なトレーニングの場としても優れています。11.6kmという距離は、10kmレースの距離感を体で覚えるのにちょうどよいボリュームであり、緩やかなアップダウンが2箇所ある構成は、平坦なトラックだけでは得られない脚への刺激を与えてくれます。フルマラソンやハーフマラソンを目指すランナーにとっては、レースペースでの周回タイムを計測することで、自分の走力を客観的に把握するための定点観測コースとして活用できます。

キロあたりのペースを一定に保つイーブンペース走の練習にも適しています。信号がほとんどないため、ペースを乱されることなく一定のリズムで走り続けられる点は、都市部のロードでは得がたいメリットです。湖畔の坂道区間をあえて利用してビルドアップ走やペース走の負荷区間として組み込めば、脚力強化のトレーニングとしても機能します。旅行や合宿を兼ねて本栖湖を訪れ、複数日にわたって周回コースを走り込むことで、非日常の環境の中で集中したトレーニング期間を過ごすランナーも少なくありません。

本栖湖底には古墳時代の土器が眠っている

本栖湖は高い透明度を誇り、ダイビングスポットとしても人気があります。透明度はおおむね8メートルから20メートルとされ、湖底まで光が届く清冽な水質が保たれています。この透明度の高さゆえに、湖底に眠る歴史的な遺物が発見されたというエピソードもあります。本栖湖南東岸の沖合およそ50メートルから100メートル、水深5メートルから10メートルほどの水域には、縄文時代および古墳時代の土器が水没していることが分かっています。1998年には旧上九一色村教育委員会によって水中考古学調査が実施され、多数の土器片が引き揚げられました。引き揚げられた土器の大半は古墳時代前期初頭、5世紀前半ごろのものとみられ、長い年月を水中で過ごしたにもかかわらず、器の形を留めた状態で発見されたものも多いといいます。かつて湖畔に暮らした人々の生活の痕跡が、静かな湖底に今も眠っているという事実は、本栖湖という場所の歴史の厚みを感じさせてくれます。走りながらこうした背景を思い浮かべると、いつもの周回コースが違った表情を見せてくれます。

ワカサギ釣りは一年中楽しめるが水深ゆえに難易度が高い

本栖湖は釣りのフィールドとしても知られています。他の富士五湖では冬場のイメージが強いワカサギ釣りですが、本栖湖では一年を通じて釣りを楽しめるのが特徴です。富士五湖の中でもっとも水深が深いという特性上、ワカサギは湖底付近に生息していることが多く、狙って釣り上げるにはやや難易度が高いとされています。ワカサギ以外にも、ヒメマスやブラウントラウトなどの魚種が生息しており、渓流や湖沼釣りの愛好家にとっても魅力的なポイントです。周回コースの途中には貸しボート店や釣り桟橋が点在しており、ランニングの休憩がてら湖上でのんびり釣りを楽しむ人々の姿を眺められるのも、本栖湖ならではの光景です。

本栖湖神湖祭は毎年8月上旬の湖上花火大会

毎年8月上旬、本栖湖畔では本栖湖神湖祭と呼ばれる湖上花火大会が開催されます。例年8月3日前後に開催されており、打ち上げ時間はおおむね19時30分から20時までの30分間です。本栖湖は三方を山々に囲まれた地形であるため、打ち上げられる花火の音が山肌に反響し、ひときわ迫力のある音と光のショーを楽しめるのが特徴です。会場となる本栖湖畔東岸周辺は入場無料、駐車場無料で開放されるため、多くの観光客で賑わいます。ランニングコースを訪れるタイミングを夏の花火シーズンに合わせれば、日中はランニングで湖を巡り、夜は花火大会で湖上の絶景を楽しむという、一日を通して本栖湖を満喫するプランも組み立てられます。

サイクリングなら本栖湖は1時間ほどで一周できる

本栖湖の周回路は、ランニングだけでなくサイクリングコースとしても親しまれています。自転車で走る場合の周回距離はおよそ12km前後とされ、ゆっくりとしたペースでも1時間程度で一周できる手軽さが魅力です。富士五湖周辺の道路には、サイクリング推奨ルートであることを示す青い線が路面に描かれている区間があり、精進湖方面から本栖湖へと続くルートを辿ることで、精進湖と本栖湖の両方を周回するコースを楽しむサイクリストも少なくありません。富士五湖の各湖はいずれも外周20km以下で、信号や大きな起伏が少ないことから、ランニングとサイクリングの両方において走りやすいフィールドとして評価されています。ランニングコースとしての本栖湖を検討する際、こうしたサイクリストの視点や体験談も参考にすると、道路状況や見どころをより具体的にイメージしやすくなります。

精進湖と組み合わせたトレイルランニング大会も開かれている

本栖湖と隣接する精進湖のエリアは、トレイルランニング大会の舞台としても利用されています。周辺の山々には富士山原始林と呼ばれる豊かな自然が広がり、湖畔の平坦な道とは異なる本格的な登山道やトレイルコースを組み合わせた大会が定期的に開催されています。湖畔の周回ランニングに慣れてきたランナーが、次のステップとしてこうしたトレイルランニング大会に挑戦するケースも見られ、本栖湖エリアはロードランニングからトレイルランニングまで、幅広いレベルのランナーを受け入れるフィールドとなっています。周回コースを走りながら周囲の山々を眺め、いつか登ってみたいコースを見つけるのも、本栖湖で走る楽しみ方の一つです。

竜ヶ岳山頂では元日前後にダイヤモンド富士が見られる

本栖湖の南岸に接するようにそびえる竜ヶ岳は、富士山西麓を代表する山の一つで、初心者でも比較的登りやすい山として親しまれています。登山ルートには湖畔コース、石仏コース、端足峠経由のコースなどがあり、多くの登山者は本栖湖キャンプ場側の登山口から入山します。往路に石仏コースを使い、復路に湖畔コースを下るのが定番のルートです。駐車場は本栖湖キャンプ場周辺に広く確保されており、料金は無料で利用できます。

竜ヶ岳が特に有名なのは、ダイヤモンド富士の絶景スポットとしてです。ダイヤモンド富士とは、太陽が富士山の山頂に重なって輝く現象のことで、竜ヶ岳山頂からは、ちょうど元日をはさむ時期の日の出のタイミングでこの現象を望めます。元旦には、初日の出とダイヤモンド富士を同時に楽しもうとする登山客で山頂が賑わいます。石仏コースは東屋から先が開けた斜面になっているため、仮に山頂までダイヤモンド富士の時刻に間に合わなくても、登山道の途中からその瞬間を眺められ、ペースに自信がない登山者にも向いているルートです。

湖畔の周回ランニングだけでなく、体力と時間に余裕があれば、こうした登山コースにも足を延ばしてみることで、本栖湖と富士山が織りなす景観を、平地からと山頂からの両方の視点で味わえます。

快適に走るには防寒着と反射材の準備が欠かせない

標高900mの高地を走る本栖湖の周回コースでは、平地でのランニングとは異なる装備の工夫が役立ちます。日中と朝晩の気温差が大きいため、着脱しやすいウィンドブレーカーやアームカバーを携行すると安心です。夏場であっても、走り始めの早朝は肌寒く感じることが多く、日差しが出てくると木々のない開けた区間では紫外線が強く感じられるため、帽子やサングラス、日焼け止めの準備もおすすめです。

給水については、コース沿いに自動販売機やコンビニエンスストアが豊富とは言えないため、ハンディボトルやランニング用のハイドレーションバッグを携行し、こまめに水分補給できるようにしておくと安心です。足元は、舗装路が中心とはいえ、路肩に砂利や落ち葉が積もっている箇所、雨天後に濡れて滑りやすくなる区間もあるため、グリップ力のあるランニングシューズを選ぶとよいでしょう。車道を走る区間が多いことから、反射材やライト付きのウェアを身につけ、ドライバーから視認されやすい状態を作っておくことも、安全にコースを楽しむための重要なポイントです。

走行方向で景色の見え方が変わるとランナーの体験談は一致する

実際にこのコースを走ったランナーの体験談では、距離も適度で、道路脇を走るものの車の往来は少ないので、のんびり走るにはとても良いコースといった声や、湖の北西にある展望公園からは、千円札の裏面に描かれた逆さ富士の景色が一望できるといった感想が寄せられています。走る方向によって景色の見え方が大きく変わるという指摘も多く、反時計回りだと振り返らないと富士山が見えない、時計回りなら後半に富士山へ向かって走れるというように、走行方向の選び方ひとつでランニング体験の満足度が変わってきます。

こうした先人たちの体験談は、初めて本栖湖を訪れるランナーにとって参考になります。距離や標高といったスペックだけでなく、実際に足を運んだ人だからこそ分かる道の狭さ、景色の見え方、休憩スポットの位置といった生きた情報を事前に把握しておくことで、より安全に、充実したランニング体験を得られます。

本栖湖の11.6kmは初心者にも経験者にも向いている周回コース

本栖湖は、富士五湖の中でもっとも水深が深く、標高がもっとも高い場所に湖面を持つ、静けさと透明感のある湖です。周回ランニングコースは11.6kmという走りごたえのある距離でありながら、大きなアップダウンが少なく、初心者から経験者まで楽しめる設計になっています。コース上には、千円札の逆さ富士で知られる中之倉峠展望台や、ゆるキャン△の聖地として親しまれる浩庵キャンプ場、青木ヶ原樹海など、見どころが数多く点在しており、走りながら富士五湖ならではの自然と文化に触れられます。

アクセスは公共交通機関、自家用車のいずれでも可能ですが、バスの本数が限られる点や、湖畔道路が車道中心である点には注意が必要です。標高900mという環境ならではの気候の変化や、道幅の狭い区間、補給ポイントの少なさなども踏まえたうえで、装備や時間帯を工夫すれば、富士五湖のなかでも印象深いランニング体験ができるコースです。時計回りに走ることで後半に富士山を正面に見ながらゴールへ向かえるという走行体験は、本栖湖の周回コースならではの醍醐味です。

本栖湖の魅力はランニングコースとしての側面だけにとどまりません。貞観噴火という平安時代の大災害によって剗の海から分かれて誕生した成り立ち、湖底に古墳時代の土器が眠る水中考古学の舞台であること、千円札の逆さ富士やゆるキャン△の聖地として全国的に知られる観光地であること、ワカサギ釣りや花火大会、ダイヤモンド富士登山といった四季折々のアクティビティを楽しめること。こうした多面的な魅力が、11.6kmの周回コースの中に詰め込まれているのが本栖湖という湖の面白さです。

走るたびに違う表情を見せてくれるのも本栖湖の特徴です。朝もやに包まれた静かな湖面、真夏の木漏れ日が心地よい緑のトンネル、紅葉に彩られた湖畔道路、澄んだ空気の中にくっきりと浮かび上がる冬の富士山。季節や時間帯を変えて何度も訪れることで、その都度新しい発見があります。富士五湖を走るランニングの入門コースとしても、富士五湖走破という目標の一つとしても、本栖湖の11.6km周回コースは記憶に残る一本になります。

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