兵庫県尼崎市の小田南公園に誕生した「ゼロカーボンベースボールパーク」は、阪神タイガース二軍の本拠地であるとともに、市民が散歩やランニングを楽しめる周回ジョギングコースを備えた次世代型のスポーツ施設です。2025年3月1日にオープンしたこの施設は、阪神電車大物駅から徒歩約5分という好アクセスに位置し、野球観戦だけでなく日常的な健康づくりの場としても多くの人々に利用されています。「スポーツ × 遊び × 環境学習」というコンセプトのもと、プロ野球の練習風景を間近に感じながらジョギングができるという、他では体験できない特別な環境が整えられています。この記事では、ゼロカーボンベースボールパークの概要から周回ジョギングコースの特徴、環境への取り組み、アクセス方法まで詳しくご紹介します。

ゼロカーボンベースボールパークとは何か
ゼロカーボンベースボールパーク(ZERO CARBON BASEBALL PARK)は、兵庫県尼崎市杭瀬南新町3丁目に位置する運動施設群です。この施設は2025年2月20日に竣工し、同年3月1日に全面リニューアルオープンしました。阪神電気鉄道株式会社、株式会社阪神タイガース、および尼崎市が連携して整備・運営を行っており、環境省が2022年に選定した「第1回脱炭素先行地域」の一つとして、脱炭素社会の実現に向けた先進的な取り組みを行っている点が大きな特徴となっています。
施設のキャッチフレーズは「未来をずっと青空にする球場、尼崎から」です。環境にやさしい仕組みを取り入れた次世代型の野球場として、プロ野球ファンだけでなく、環境問題に関心のある方々からも注目を集めています。野球場だけでなく、市民が散歩やランニングを楽しめる周遊コースも整備されており、スポーツと環境学習が一度に楽しめる公園として生まれ変わりました。
整備に至った経緯と背景
もともと阪神タイガースの二軍は、西宮市の鳴尾浜球場を本拠地としていました。しかし、施設の老朽化や、より充実した練習環境の整備が求められる中で、新たな本拠地として尼崎市の小田南公園が選ばれることになりました。尼崎市と阪神電気鉄道株式会社は、環境省が実施した第1回脱炭素先行地域の公募に共同提案で応募し、令和4年(2022年)4月26日付けで選定されました。
この選定においては、プロ野球球団と連携したスポーツによるまちづくり・観光振興・地域活性化と脱炭素の両立を目指した提案であること、実現可能性やアナウンス効果があることが高く評価されました。人口減少が進む尼崎市南部の大物地域において、阪神タイガースファーム施設の移転をきっかけに地域活性化を図るとともに、環境負荷を最小限に抑えた持続可能な施設運営を実現するという、野心的なプロジェクトとして位置づけられています。
施設の構成について
ゼロカーボンベースボールパークは、大きく分けて第1工区と第2工区で構成されています。第1工区には、阪神球団が二軍の本拠地として使用する「日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎」(メイン球場)とサブグラウンド(タイガース練習場)、市民向けの「小田南公園軟式野球場」、および一般向けの園地があります。園地には芝生広場や周遊コースが整備されており、市民の憩いの場となっています。
第2工区には、球団の室内練習場、選手寮兼クラブハウス「虎風荘」などが建設されています。これらの施設は一般には公開されていませんが、特定のイベントや見学ツアーで見学できる機会が設けられることもあります。
日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎の特徴
日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎は、阪神タイガース二軍の公式戦や練習に使用される硬式野球用の球場です。甲子園球場と同じ方角やグラウンドサイズ・仕様で設計されており、グラウンドは阪神園芸によって整備されています。グラウンドサイズは両翼95メートル、センター118メートルとなっており、内野はクレイ(土)、外野は天然芝で構成されています。ナイター照明は6基設置されており、夜間の試合も開催可能です。
収容人数については、内野スタンドが約3,600席、臨時外野席が約800人収容可能で、最大約4,400人を収容できます。外野席を除き全席指定席制となっており、座席からの視界も良好です。設備としては、大型LEDビジョン、飲食売店、グッズショップ「Tigers Shop Next」などが完備されています。トイレは非常に清潔に保たれており、授乳室も完備されているため、子ども連れのファミリーでも安心して観戦を楽しめます。
鳴尾浜球場時代は無料で観戦できましたが、SGLスタジアム尼崎では観戦は有料となっています。チケットはカテゴリーAとカテゴリーBの2区分が設定されており、試合によって適用される料金区分が異なります。チケットは「甲チケ」で購入でき、インターネット販売を利用すれば入場のQRコードがメールで届くため、ペーパーレスで便利です。
小田南公園の周回ジョギングコースについて
ゼロカーボンベースボールパークの大きな特徴の一つが、市民が散歩やランニングを楽しめる周遊コースが整備されていることです。メイン球場の周辺には、気持ちよく散歩やランニングができる周遊コースが設けられており、市民の憩いの場となっています。阪神タイガース選手が試合や練習に励む雰囲気を身近に感じながら、野球を楽しめる小田南公園野球場やくつろげる広場、そして散歩やランニングができる周遊コースが一体的に整備されているのが特徴です。
芝生広場と周回路の魅力
メイン球場と市民野球場の南側には約160本の樹木が新たに植えられ、市民が散歩やランニングなどに活用できる周回路を備えた芝生広場(小田南公園広場)がメイン球場の西側に新設されました。芝生広場は芝生を張った円形の広場で、周囲には梅や桜が植樹されており、四季折々の自然を楽しむことができます。芝生広場の外周には桜が新たに植えられており、春には桜を眺めながらの散策も楽しめます。
園内の高低差を活かし、階段状のベンチが整備されています。円形広場でイベントが開催される際には、これらのベンチが観覧席としても利用可能です。開業当初は芝生養生中のため利用が制限されていましたが、現在は全面的に利用可能となっています。
ランニングコースとしての独自の魅力
公園内の周遊コースは、野球場を眺めながらランニングできる独特の環境を提供しています。プロ野球選手の練習風景を見ながら走るという、他ではなかなか体験できない特別なランニング体験ができます。尼崎市には様々なランニングコースがありますが、日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎周辺を巡るマラニック(マラソン+ピクニック)コースなども紹介されており、ランニング愛好家にとって魅力的なエリアとなっています。
小田南公園周辺は、阪神電車の路線沿いに緑地帯が整備されており、緑豊かな環境が広がっています。駅から球場までの歩道も整備されているため、安全に散歩やジョギングを楽しむことができます。
公園施設と園路の整備状況
メイン球場が大物駅北口から徒歩5分圏内の場所に建設されることに伴い、阪神電鉄は同駅と球場をつなぐ歩道を整備しました。既設の遊歩道を拡幅したうえで、自転車専用道路と歩道を分離し、沿道には緑地帯が新設されています。歩行者と自転車が安全に通行できるよう配慮された設計となっており、駅から球場までの移動も快適です。
小田南公園は、尼崎市にある公園緑地の中でも3番目の広さを誇る公園です。リニューアル後も、従来からあった公園としての機能が充実しています。園内には、池やそこから流れる水路、噴水、梅林など、都会のオアシスとして和やかに過ごせるスポットが盛りだくさんです。水のせせらぎを聞きながらベンチで休憩したり、梅林で季節の花を楽しんだりすることができます。遊具広場には2種類のすべり台などの遊具が設置されており、子ども連れのファミリーにも人気です。多目的広場も整備されており、様々なレクリエーション活動に利用できます。
市民向け軟式野球場について
小田南公園軟式野球場は、一般市民が利用できる軟式野球専用の球場です。リニューアル前から市民球場として親しまれてきた施設の機能を引き継ぎ、新たに整備されました。グラウンドサイズは両翼90メートル、センター93メートルとなっており、内野は黒土、外野は天然芝で構成されています。ナイター照明は4基設置されており、夜間の利用も可能です。観客席は50席が用意されています。
利用料金については、平日が2,400円、土日祝日が2,880円となっています。ただし、チームの構成メンバーの6割以上が尼崎市在住在勤者の場合は市内登録となり、5割以下の場合は市外登録となって利用料金が市内の1.5倍になります。予約は尼崎市公共施設予約システム「スマイルネット」から行うことができ、利用にあたっては9人以上のメンバーで構成されている団体としての登録が必要です。構成メンバーは複数の団体に重複して登録することはできません。使途は原則として軟式野球に限定されていますが、小学生による野球の練習で使用する場合には、シートノックまで硬式球の使用が認められています。
ゼロカーボンを実現する環境への取り組み
「ゼロカーボン」とは、温室効果ガス(CO2など)の排出量を、森林などが吸収する量以下にすることで、実質的な排出量をゼロにすることを指します。ゼロカーボンベースボールパークは、その名の通り、施設で使用するエネルギーについてCO2排出量ゼロを目指す先進的な取り組みを行っています。
太陽光発電システムと蓄電池の導入
施設内各所に太陽光パネルが設置されており、年間約73万kWhの発電が計画されています。これは、日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎で想定される年間電力使用量の80%以上を賄う計画です。室内練習場の屋根と、電車からよく見えるスコアボードの壁面には合計700kW以上の太陽光パネルが配置されており、環境配慮を視覚的にも印象づけるデザインとなっています。
太陽光で発電したクリーンな電気を貯めておくための大容量蓄電池も導入されています。採用されているエリーパワー製HYバッテリーは、国際的認証機関TÜV Rheinlandの厳しい製品安全検査に世界で初めて合格した大型リチウムイオン電池です。15年間繰り返しフル充放電(約17,000回)を行っても電池容量保持率70%という長寿命を実現し、マイナス20度から60度まで幅広い温度領域で作動します。蓄電池に貯めたクリーンな電気を活用する「ゼロカーボンナイター」の開催は、セ・リーグ球団の球場で初めての取り組みとなっています。
尼崎市クリーンセンターとの連携
太陽光発電と蓄電池による自家発電・自家消費に加え、不足する電力については尼崎市クリーンセンターの廃棄物発電による余剰電力を活用しています。尼崎市クリーンセンターでは、市内の家庭などから排出された廃棄物を焼却処理する際に発生する廃熱を利用して発電を行っています。この電力はCO2排出量ゼロのクリーンな電力として位置づけられており、令和3年(2021年)4月1日から供給が開始されています。
電力供給は、エネットが尼崎市および尼崎信用金庫と推進する「尼崎市エネルギー地産地消促進事業」の枠組みで行われており、地域内でエネルギーを循環させる「エネルギーの地産地消」を実現しています。
野球施設初のZEB認証取得
ゼロカーボンベースボールパークの施設は、野球施設としては全国初となるZEB認証を取得しています。「日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎」は「ZEB Oriented」認証を取得しており、「室内練習場・虎風荘(1階部分)」は「Nearly ZEB」認証を取得しています。Nearly ZEB認証を取得した施設では、基準一次エネルギー消費量より77%のエネルギー消費量を削減しています。
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは、建物の消費エネルギーを省エネ技術や再生可能エネルギーの活用により大幅に削減した建物のことです。Nearly ZEBは基準より75%以上の削減、ZEB Orientedは用途に応じて40%から60%以上の削減を達成した建物に与えられる認証です。施設では、高効率の照明や空調、給湯等の省エネ設備が導入されており、省エネが徹底されています。また、ペットボトル・プラスチックカップの回収・リサイクルや、雨水・井水の活用といった環境に優しい取り組みも行われています。
選手育成施設としての機能
日本有数の規模を誇る室内練習場
室内練習場は、日本有数の規模を誇る屋内練習施設です。約60メートル×約90メートルの広さがあり、甲子園球場の室内練習場の約1.5倍の建築面積を持っています。天井高も約19メートルと、甲子園の室内練習場より約3メートル高くなっています。施設内には、ボール自動収集機能付きの打撃マシーンを備えた6レーン(うち3レーンがマシーン付き)の打撃練習場や、最新鋭の分析機器を搭載したブルペンなどが整備されています。ダイヤモンドの中心にはマウンドも設置されており、実戦に近い練習が可能です。
室内練習場の屋根と、電車からよく見えるスコアボードの壁面には、合計700kW以上の太陽光パネルが設置されており、環境配慮を印象づける設計となっています。この施設は選手専用であり、通常は一般公開されていませんが、特定のイベントや見学ツアーで見学できる機会が設けられることがあります。
選手寮兼クラブハウス「虎風荘」の充実した設備
選手寮兼クラブハウス「虎風荘」は、若手選手たちが生活し、トレーニングに励む施設です。「虎風荘」という名称は、甲子園球場東側の寮で1962年から1994年まで使用した「初代」、鳴尾浜球場で1994年から2025年まで使用した「2代目」の施設名称を引き継ぎ、「3代目」となっています。虎風荘には、二軍選手だけでなく、一軍を含めた全選手のロッカーが用意されています。トレーニングルーム、流水プール、サウナ・水風呂完備の大浴場など、充実した設備が整っています。
クラブハウスと室内練習場はつながっており、選手の移動もスムーズです。甲子園球場とは約6キロ程度の距離にあるため、練習後に甲子園入りすることも可能な立地となっています。虎風荘で選手たちに提供されているカレーは「虎風荘カレー」として商品化され、球場内の売店で一般のファンも味わうことができます。
大物坂での坂路トレーニング
室内練習場の横には、「大物坂」と呼ばれる坂路トレーニング施設が設置されています。選手たちがダッシュ等のトレーニングで利用する坂道で、阪神なんば線のすぐ横に位置しています。電車の中から坂道ダッシュで鍛錬する選手の姿が見えることもあり、新たな名所として話題になっています。
アクセス方法の詳細
電車でのアクセスが便利
ゼロカーボンベースボールパークの最寄り駅は、阪神電車の「大物駅」です。大物駅から球場までは徒歩約5分と、非常にアクセスしやすい立地となっています。大物駅は、阪神本線と阪神なんば線の駅で、ホームは高架上にあります。島式ホームの外側に相対式ホームを持つ3面4線の高架駅で、改札口・コンコースは2階、ホームは3階にあります。1・2番線は本線、3・4番線は阪神なんば線のホームとなっており、梅田方面からの列車から難波・奈良方面行きへは対面乗り換えが可能です。
大物駅は阪神電車「尼崎駅」の隣駅です。尼崎駅では阪神本線と阪神なんば線の乗り換えが可能なため、大阪方面からも神戸方面からも、また奈良方面からもアクセスしやすくなっています。甲子園球場からは約7キロの距離にあり、阪神電車で15分程度でアクセスできます。
大物駅は、1905年(明治38年)4月12日に阪神本線の開業と同時に開業した歴史ある駅です。駅舎の1階にはスーパーマーケットがあり、観戦前後の買い物にも便利です。「大物」という地名はかつての尼崎城下町の一つで、平安時代に船舶の発着地として発展し、港町として栄えました。西日本の材木の集散地として広く知られ、そこで取引された巨材を意味する「大物」に由来しているとの説が有力です。
バスでのアクセス方法
バスを利用する場合は、阪神電車「杭瀬」駅から51番「JR尼崎」行きに乗車し、「小田南公園」で下車するとすぐです。また、JR神戸線「尼崎」駅(南)から51番「阪神杭瀬」行きに乗車し、同じく「小田南公園」で下車することもできます。
駐車場に関する注意事項
日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎の球場周辺には、観客用の駐車場は用意されていません。また、球場周辺道路は全面駐車禁止となっています。そのため、来場には電車・路線バスの利用が推奨されています。軟式野球場を利用する方については、特定日に駐車された場合に通常日と同じ料金となるサービス券(予約時間+1時間分)が配布されますが、最大10台分のみとなっています。駐車台数に限りがあるため、公共交通機関の利用が推奨されています。
観戦時に楽しめるグルメとショップ
SGLスタジアム内野2階コンコースには飲食売店があり、弁当やカレー、アイス等の販売が行われています。臨時外野席エリアには飲食売店はありませんので、外野席で観戦する場合は事前に購入しておくことをお勧めします。
名物グルメとしては、選手寮「虎風荘」で選手たちに親しまれているカレーを商品化した「虎風荘カレー」が人気です。フォンドボーやこだわりブレンドのスパイスをしっかりきかせた深みのある大人の味わいとなっています。「平田勝男(鰹)の尼崎あんかけチャンポン×ハンバーグ弁当」は、平田勝男監督とコラボしたお弁当で、ごはんの上には平田監督の大好物であるふわふわの鰹節がたっぷりかかっています。
「大物ドック」は、球場最寄りの「大物駅」と商品自体の「おおもの感(ボリューム感)」を掛け合わせたネーミングで、食べ応え抜群のフランクフルトをホットドッグに挟み込んだ一品です。甲子園でも人気の「甲子園カレー」も販売されており、15種類以上の秘伝スパイスをブレンドした、1924年の阪神甲子園球場開設当時から受け継がれる伝統の味を楽しめます。球団や選手のグッズが揃う「Tigers Shop Next」は、公式戦試合開催日の開門時から試合終了まで営業しています。
開催されるイベント情報
2025年3月のオープン月には「開業記念シリーズ」と題して、入場者プレゼントを連日実施しました。阪神タイガースと尼崎市が、エコについて体験し・学び・楽しむコラボイベント「エ虎フェス」も開催されています。脱炭素先行地域の「ゼロカーボンベースボールパーク」ならではの、環境学習と野球観戦を組み合わせたユニークなイベントです。
2025年のウエスタン・リーグ最終カードでは、阪神タイガースと尼崎市共同開催イベント第2弾「あまトラフェス Supported by 尼崎信用金庫」が開催されました。サンテレビの「熱血!タイガース党」では、福本豊党首と一緒にゼロカーボンベースボールパークを見学できるツアーが開催されています。一般の方は入ることができない室内練習場の見学や、一般公開されていないタイガース選手の試合前練習をスタンドで観覧できるほか、トークショー、平田勝男監督との記念撮影、試合観戦なども含まれています。
ゼロカーボンベースボールパークには、新マスコット「コラッキー」が登場しています。原則として、春季教育リーグやウエスタン・リーグ開催時にはSGLスタジアムで活動しており、ファンとの交流を楽しんでいます。2026シーズンにSGLスタジアム尼崎で開催される阪神タイガース主催公式戦全試合(約70試合程度)を観戦できるシーズンシートも販売されています。
小田南公園の歴史と変遷
小田南公園は、1983年(昭和58年)に開園した公園です。もともとこの場所には大日本紡績尼崎工場がありましたが、工場閉鎖後に跡地を活用して野球場や池、小川などを整備し、市民の憩いの場として生まれ変わりました。敷地面積は約5.3ヘクタールと、尼崎市内の公園で3番目に広い面積を持っています。開園以来、軟式野球場や芝生広場、遊具広場、梅林など、多彩な施設を備えた公園として市民に親しまれてきました。
小田南公園軟式野球場は、1983年10月8日に竣工しました。以来、40年以上にわたって地域の野球愛好家たちの活動拠点として利用されてきました。リニューアル前の野球場は、内野が黒土、外野が天然芝、夜間照明を備え、観客スペースは内外野ともにあり、アクセスもよいことから人気の施設でした。2025年のリニューアルにより、これらの機能を引き継ぎながらも、より充実した設備を備えた新しい軟式野球場として生まれ変わっています。
鳴尾浜球場からの移転と新時代の幕開け
阪神タイガースの二軍は、1994年から2025年まで約31年間、西宮市の阪神鳴尾浜球場を本拠地としていました。鳴尾浜球場は開場当時は最新鋭の設備を誇っていましたが、年数を重ねるにつれて老朽化が進みました。また、観客席はネット裏のみで収容人数はわずか500人程度、室内練習場も手狭でバッティングマシンとバッティングケージを2台ずつしか設置できないなど、様々な課題が出始めていました。
敷地スペースの関係で施設の増築も難しく、現状では手狭になるとして本拠地移転が計画されました。2021年5月、阪神電気鉄道、阪神タイガース、尼崎市の三者が「小田南公園整備事業に関する基本協定書」を締結し、尼崎市議会での議決を経て正式に移転が決定しました。総工費は約145億円にのぼり、メインスタジアムだけでなく、練習用グラウンドや室内練習場、選手寮・クラブハウスを新設しました。市民球場や市民がくつろげる公園も一体的に整備することにより、地域に開かれた「ボールパーク」として整備されました。
鳴尾浜球場は、2024年シーズンの公式戦と2025年1月30日までの新人合同自主トレをもって二軍本拠地としての使用を終了しました。2025年2月8日と9日には、さよならイベント「ありがとう鳴尾浜」が実施され、完全に閉場となりました。このイベントは、1994年の竣工以来、若手選手の育成の場として多くの選手を輩出してきた鳴尾浜球場の功績を後世に語り継ぎ、次の時代につなげる企画として開催されました。
樹木の移植と自然環境の保存
ゼロカーボンベースボールパークへのリニューアルにあたっては、市民から「残してほしい」との声が多く寄せられた樹木の保存にも配慮がなされました。特にイチョウ並木については、一部を公園北側に移植し、通り抜けの景観を再現しています。また、球場西側に造成された芝生広場の南側には、以前から公園にあった梅の木が移植されています。さらに、芝生広場を囲むように桜が新たに植えられ、四季を感じて憩える場として整備されました。
ゼロカーボンベースボールパークの今後の展望
ゼロカーボンベースボールパークは、プロ野球の二軍施設としての機能と、市民の憩いの場としての公園機能、そして環境学習施設としての機能を兼ね備えた、まさに次世代型のスポーツ施設です。阪神タイガースファンにとっては、甲子園よりもアットホームな雰囲気で選手を間近に見られる貴重な場所であり、将来の一軍を担う若手選手の成長を見守ることができます。
地域住民にとっては、散歩やランニングを楽しめる周遊コースを備えた公園として、日常的な健康づくりの場となっています。芝生広場や遊具広場もあり、子ども連れのファミリーでも楽しめます。環境問題に関心のある方にとっては、脱炭素社会の実現に向けた先進的な取り組みを実際に見て学べる場所です。太陽光発電や蓄電池、廃棄物発電の活用など、具体的な環境技術が導入されている現場を体験できます。
尼崎市が目指す「脱炭素先行地域」としての取り組みは、2030年に向けてさらに発展していく予定です。野球を通じた地域活性化と環境保全の両立という、新しいスポーツ施設のあり方を示すモデルケースとして、今後も注目されていくことでしょう。「スポーツ × 遊び × 環境学習」というコンセプトのもと、様々な楽しみ方ができるゼロカーボンベースボールパークへ、ぜひ一度足を運んでみてください。









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