冬の早朝ジョギングは危険?心臓病リスクと血圧上昇を防ぐ予防対策

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冬の早朝ジョギングは、心臓病リスクと血圧上昇を引き起こす危険な運動習慣です。寒冷刺激による血管収縮と、起床時の血圧急上昇であるモーニングサージが重なることで、心筋梗塞や脳卒中のリスクが大幅に高まります。健康のために始めたジョギングが、逆に命を脅かす結果を招く可能性があるのです。

特に高血圧や心疾患の既往がある方、動脈硬化が進んだ高齢者にとって、冬の早朝ジョギングは避けるべき運動といえます。しかし、運動時間帯の変更や十分なウォーミングアップ、適切な防寒対策などを講じることで、冬でも安全に運動を続けることは可能です。この記事では、冬の早朝ジョギングがなぜ危険なのか、そのメカニズムを医学的観点から詳しく解説するとともに、心臓病リスクを抑えながら運動を継続するための具体的な予防対策をご紹介します。

目次

冬の早朝ジョギングが心臓病リスクを高める理由

冬の早朝ジョギングが危険である最大の理由は、寒さによる血圧上昇と運動による血圧上昇が同時に起こるためです。暖かい室内から寒い外へ出ると血管が収縮して血圧が上昇し、この状態で急に運動を始めると血圧上昇による疾患を誘発してしまう可能性があります。

運動中は交感神経活動が活発になり、心拍出量の増加によって血圧が上昇します。冬場はそれに加えて寒さによる血圧上昇も加わるため、血圧の急激な上昇をもたらす危険性があります。特に血圧が変動しやすい朝の時間帯に、寒い環境で運動することは非常にリスクが高いといえます。

寒冷刺激による血管収縮のメカニズム

冬に血圧が上昇する主な原因は、寒さによる血管の収縮にあります。人間の体は寒さを感じると体温を維持しようとする防御反応が働き、体の表面にある血管が収縮することで体の中心部に血液を集め、熱が逃げるのを防ごうとします。血管が収縮すると血液が流れる道が狭くなるため、心臓はより強い力で血液を送り出さなければなりません。

研究データによると、室温が10度下がると収縮期血圧(上の血圧)は平均8から10mmHg上昇するとされています。また、4度の水中に手首までつけると平均して血圧が10から20mmHg上昇し、高血圧の方ではさらに大きく上昇する場合があります。4度の水に片手を30秒間つけるだけで血圧が50mmHg程度上昇するという報告もあり、寒冷刺激が血圧に与える影響の大きさがうかがえます。

交感神経系の反応と血管収縮

寒冷刺激を受けると、皮膚の知覚神経末端にある冷受容器に入力された温度情報が脊髄を経て脳へと伝達され、体温調節中枢である視索前野へと入力されます。寒冷環境では視索前野からの下行性抑制のトーンが弱まり、交感神経や運動神経の出力が増強されます。これにより熱産生が惹起される一方で、皮膚血管が収縮することにより体熱の放散が抑制されます。

皮膚血管収縮は反射性と局所性のメカニズムによって調節されており、全身の寒冷暴露時には反射性の皮膚血管収縮が重要な役割を担っています。交感神経終末から放出されるノルエピネフリン(ノルアドレナリン)と共伝達物質である神経ペプチドYが皮膚血管にある受容体に作用することで血管収縮が生じます。

モーニングサージとは何か

モーニングサージとは、寝ている間にいったん血圧が下がるものの、明け方から起床時にかけて急激に血圧が上昇する現象を指します。早朝高血圧とは朝に血圧が急上昇し、上の血圧が135mmHg以上または下の血圧が85mmHgを超える場合に診断されるものです。

早朝高血圧は医療機関では見つけにくい隠れ高血圧の一つであり、病院やクリニックで測定すると正常範囲におさまることが多いため、投薬治療を受けている場合でも血圧コントロールがうまくいっているように見えてしまいます。そのまま放置されているケースも少なくないのが現状です。

早朝高血圧の2つのタイプ

早朝高血圧には大きく分けて2つのタイプがあります。高血圧持続型は睡眠中も血圧があまり低下せず、早朝まで持続して血圧が高くなるタイプです。一方、モーニングサージ型は寝ている間にいったん血圧が下がるものの、明け方から起床時にかけて急激に血圧が上昇するタイプです。

モーニングサージ型の方は、そうでない群に比べて脳卒中や心筋梗塞のリスクが2.7倍高いことが判明しています。心臓発作や脳卒中は午前6時から12時の時間帯に他の時間帯よりも多発しており、特にモーニングサージは月曜日が日曜日の約2倍と倍増することがわかっています。冬の月曜日の朝は心臓発作や脳卒中のリスクが最も高くなる時間帯といえます。

早朝高血圧を引き起こす要因

早朝高血圧の原因はさまざまです。睡眠不足やストレスは自律神経の障害を起こしやすくし、血圧と密接な関係性があります。過度な飲酒は睡眠の質を下げるとともに翌朝の血圧を上昇させます。また、欧米人と比較して日本人は朝の血圧上昇をきたしやすいと報告されており、塩分摂取量が多いことがその一因として考えられています。

モーニングサージを起こしやすい人の特徴として、アルコールを多量に飲む人や喫煙者、高齢者、睡眠時間が長い人、起きるのが遅い人などが挙げられます。睡眠時無呼吸症候群や甲状腺機能亢進症が関与することもあります。

ヒートショックの危険性

ヒートショックとは、急激な温度変化で血圧が大きく変動し、心臓や血管がダメージを受けることを指します。寒い時期に発症しやすく、全国で年間約1万9千人がヒートショックで急死したという推計もあります。気温の変化によって血圧が上下することで、脳内出血や大動脈解離、心筋梗塞、脳梗塞などの重篤な病気が引き起こされます。

冬季の寝室の平均室温は12.6度とされており、温かい布団の中との寒暖差があります。このヒートショックとモーニングサージのダブルパンチによって心筋梗塞の発生率が高まることが指摘されています。

高齢者・動脈硬化がある方のリスク

血管に柔軟性がある若年者の場合は、急激に気温が低下してもすぐにその変化に順応することができます。しかし動脈硬化が進んだ高齢者では血管がなかなか拡張せず、元の血圧に戻りにくいため、高血圧による脳心血管イベントが起こりやすくなります。

身体深部の体温が下がる低体温症は、高齢者であれば誰もがなりうるリスクがあります。加齢により寒さへの感覚が鈍っていることや、体温調節機能が低下していることがその理由です。特に注意が必要なのは痩せていて筋肉量が少ない方です。

心臓病・脳卒中の統計データから見る危険性

脳卒中の起こりやすい時間帯は朝と夕方にピークがあり、これは血圧の日内変動と相関しています。朝は特に血圧が変動しやすい時間であり、起床時に活動開始と同時に血圧が急に上がる人は少なくありません。脳卒中の発症にはどのタイプも血圧の変動が重要な要因となっており、朝は脳卒中が増える危険な時間帯です。

くも膜下出血は冬場に発症しやすく、特に午前6時から12時の間が発症しやすい時間帯とされています。急性心筋梗塞が発症しやすいのは午前6時前後から午前10時頃までがピークで、1日の気温差が10度以上の変動がある日に注意が必要です。

突然死の統計

日本国内では年間約10万人の突然死があり、このうち約6万人が心臓の異常が原因となる心臓突然死といわれています。突然死が最も多いスポーツとしてマラソン(ランニング)が知られており、1948年から1999年の52年間で東京都23区内におけるランニング中の突然死は118件報告されました。その原因は81パーセントが心疾患であり、大動脈瘤破裂と脳血管障害を加えた心血管系疾患は96パーセントを占めていたと報告されています。

スポーツ中の突然死の原因として、35歳以下では肥大型心筋症や心肥大、冠動脈奇形などが多く、35歳以上ではおよそ80パーセントが虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)であったとされています。

冬季の心血管疾患増加

国立循環器病研究センターの研究によると、75歳超の患者や心原性脳塞栓症患者、中等症から重症の患者に限定すると、いずれも冬の割合が目立って高くなることがわかっています。心原性脳塞栓症の最大の原因である心房細動(不整脈)の新規発症が冬に多いことが一因とされています。脳出血や心筋梗塞の発症は寒くなり始めの11月から12月にかけて急激に増加します。

冬の運動における予防対策

冬場の運動では、午後1時頃の暖かくなった時間帯を選ぶことが推奨されています。1日中寒い日は運動を室内体操に切り替えることで、血管や心臓への負担を軽減できます。寒い冬には気温の変動が少ない屋内での運動を行うことや、外へ出る時は朝や夜の冷え込む時間を避け、できるだけ日中の日が射す暖かい時間を選択することが大切です。

十分なウォーミングアップの重要性

いきなりペースを上げて走り出すのではなく、ウォーキングから軽いジョギング、徐々にペースを上げるというように少しずつ運動強度を上げていくことが推奨されています。これは心拍数を徐々に上げていくことで心臓や血管に急激な負荷が掛かることを避け、血圧上昇による疾患の誘発を抑える目的があります。

冬の寒い時期は夏と同じようにウォームアップを行っていると、なかなか体が温まりません。寒い日のウォームアップでは保温機能のあるウォームジャケットなどを準備し、入念なジョギングを行うことが必要です。時間の目安としては20分から30分ほどゆっくり時間をかけることが理想的とされています。

ウォーミングアップには体温を上げて身体を温める「ウォーム」と、心拍数を上げて血流量を増やす「アップ」の両方が大切です。心拍数や血流量を徐々に上げることで心臓や肺への急激な負担を避けることができます。

ストレッチの種類と使い分け

ストレッチには大きく2種類があります。運動前に行うことでケガの予防やパフォーマンス向上が期待できる「動的ストレッチ」と、心身のリラックス効果などが期待できるため運動後に向いている「静的ストレッチ」です。

運動前は大きな筋肉をほぐして血流をよくすることが重要なので動的ストレッチがおすすめです。静的ストレッチは筋力低下の原因につながりやすいためウォーミングアップには適していません。ただし、冬場など気温が低くカラダが冷えているときは、動的ストレッチに入る前に静的ストレッチを行うなど軽く筋肉にストレッチの刺激を与えてから行うようにしましょう。

ストレッチは痛みを感じず気持ちの良い程度で行うのがベストです。どこの部分が伸びているのか意識しながら、一動作につき10から30秒程かけてゆっくりと伸ばし、規則的に深い呼吸を忘れずに行いましょう。

適切な服装と防寒対策

外出時に寒いと感じたら血圧が上昇している場合が多いため、すぐに上着をもう1枚着るようにしましょう。手袋やマフラーをするのも効果的です。室内と屋外の急激な気温差にさらされないよう、室内で十分に着込んでから外出することが重要です。ゴミ出しなどのちょっとした外出でも、薄着のまま屋外に出ることは避けましょう。

レイヤリング(重ね着)の基本

寒い時期は走り始めは寒く、走っている最中はペースにもよりますがTシャツ一枚でも汗をかくぐらい体温の変化が激しくなります。そのため冬のランニング時の服装は「レイヤリング(重ね着)」が基本となります。

寒いからといって厚手の服を一枚だけ着て走るのは避けましょう。汗をかいた際に蒸れやすく、身体がすぐに冷えてしまいます。上半身はアンダーウェア、Tシャツ、ウィンドブレーカーなどを組み合わせ、下半身はタイツ、ランパン、ウィンドブレーカーなどで調整するのが効果的です。

インナー選びのポイント

冬のランニングではトップスやボトムスよりもインナー選びに重点を置くことが大切です。インナーは吸水速乾性に優れたものを選ぶのがポイントで、走っている間にかいた汗が走り終わるまでに乾いている状態であれば、汗が急に冷えて寒くなる心配がなくなります。

発熱性のあるインナー(ヒートテックなど)は通気性が低く、走って汗をかくとその汗がインナーの中に留まってしまい、ランニングを止めた際に身体が一気に冷えてしまう原因になりかねません。スポーツ用の吸水速乾インナーを選ぶことをおすすめします。

防風の重要性

冬のランニングで最も重要なのは、実は防寒ではなく防風です。暖まった体からは汗が出てきますが、この汗が風にさらされて冷えることにより寒さを感じやすくなります。冬の寒い時期のランニングにはウインドブレーカーが必須といえます。

服装の調整としては、ランニング開始時は少し寒いと感じるぐらいの服装でいるのがオススメです。最初から暖かい格好をしすぎるとすぐに汗をかいてしまいます。15分後の自分を想像して、丁度いいと感じる服装で臨むとよいでしょう。

防寒小物・アクセサリーの活用

体温が逃げやすい末端(頭・手・足)をしっかりと保護することが重要です。耳まで覆える帽子にしたり、保温性の高いソックスに変えるなど、ちょっとした工夫で冬のランニングの快適度が大きく変わってきます。

イヤーマフやネックウォーマーは、気温が低い日や寒がりな方にはぜひ取り入れていただきたいアイテムです。首元と耳が隠れていると非常に暖かさを感じることができます。冬のランニングでは手が外気に直接触れていると冷えてしまうため、グローブの着用がおすすめです。保温性や防風性に優れながらも吸汗速乾性を兼ね備えたスポーツ専用の冬用グローブを選びましょう。

冬の運動における水分補給

冬場は夏とは異なり喉の渇きを感じたり汗をたくさんかいたりしないため、体の中の水分が減少しているとは考えにくいかもしれません。しかし冬場には冬特有の脱水リスクがあります。

冬は夏に比べると空気が乾燥しており、乾燥によりその水分蒸発を「汗」として見ることが少なくなるため、気付かないうちに脱水状態となって冬場の脱水症が起きてしまうのです。冬でも「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」によって見えない形で水分が奪われ続け、体温を調整しています。冬でも1時間ちょっとのランニングで650gの水分が抜けることがあり、思った以上に汗をかいています。

基本的には練習の4時間前から2時間前までに自分の体重1kgあたり5から10ml、つまり体重50kgの方なら250から500mlの水分を補給してからトレーニングすることを心がけてください。体を冷やしたくないときは温めたスポーツドリンクを飲むことも有効です。お茶やコーヒーは利尿作用があるためランニング時の水分補給には適していません。ランニングで失われた糖質とナトリウムを補うためにもスポーツドリンクの摂取がおすすめです。

心拍数の管理方法

寒い季節は心臓に負担がかかりやすいため、自分の体調や心拍数を確認しながら無理のないペースで運動を行うことが大切です。最大心拍数は年齢とともに減っていき、およそ「220マイナス年齢」で求められます。脂肪燃焼を目的としてウォーキングを行うのであれば、目標心拍数は最大心拍数の60から80パーセントが適切とされています。

安全面からは最大心拍数の70パーセント以下の運動強度を目標にすることが推奨されます。心疾患のある方は運動強度を低めに設定することが推奨され、一般的には50パーセントから60パーセントの強度が理想とされています。運動を始める前に必ず医師と相談し、自分に合った運動プランを立てることが重要です。

高血圧の方の運動における注意点

高血圧の重症度がII度以下で脳心血管病のない患者さんが運動療法の対象となります。III度高血圧を超える方では、まず薬物治療などで血圧を下げた後に運動を行うことが推奨されます。服薬している方は定期的に受診し、運動が行える状態なのか医師に確認することが大切です。

運動療法として、運動の頻度は定期的に(できれば毎日)実施し、運動量は30分以上、強度は中等度(ややきつい)の有酸素運動が一般的に勧められています。寒さによる血管や心臓への負担を考え、運動は室内でできるストレッチを中心に、ウォーキングなどの軽い運動を日常に取り入れるのがおすすめです。

強度が高すぎる運動を行うと血圧が顕著に上がることがあるため、ウォーミングアップを行うことや運動の負荷を調整しながら運動をすることが重要です。

緊急時の対応

運動中に急な胸痛が見られたり、手足が動かない、上手くしゃべれないなどの異変を感じたら、躊躇しないで救急車を呼ぶことが大切です。日本循環器学会と日本AED財団では「スポーツ現場における心臓突然死をゼロに」という提言を2018年に行いました。ポイントは、スポーツ時の心停止は「想定内」として、2分以内の距離にAEDを配置しいつでも使用できるよう訓練しておくことです。

文献によると、突然の心停止の発生から1分以内にバイスタンダーによる除細動や二次心肺蘇生がなされた場合、67パーセントが生存するとされています。早期対応が命を救う鍵となります。

高齢者の冬の運動における注意点

血管に柔軟性がある若年者の場合は急激に気温が低下してもすぐにその変化に順応できますが、動脈硬化が進んだ高齢者では血管がなかなか拡張せず、元の血圧に戻りにくいために高血圧による脳心血管イベントが起こりやすくなります。

身体深部の体温が下がる低体温症は高齢者であれば誰もがなりうるリスクがあります。加齢により寒さへの感覚が鈍っていることや体温調節機能が低下しているためです。特に痩せていて筋肉量が少ない方は注意が必要です。

運動不足の解消

冬場の寒さが厳しくなるにつれ、高齢者は家に閉じこもってしまいがちです。寒いからと出不精になってしまうと、運動不足が体重増加を招き、糖尿病などの生活習慣病悪化にもつながりやすくなります。

日常生活の中で意識的に身体を動かすなど運動を継続していくことにより、健康で質の高い生活を送ることができます。厚生労働省は「プラステン:今より10分多く体を動かそう」と呼び掛けており、少しずつでも運動習慣を維持することが重要です。

冬季うつ対策

冬場は日照時間が短くなるため、精神を安定させる働きを持つ神経伝達物質「セロトニン」の分泌量が減り、冬季うつの原因となることもあります。運動不足になると睡眠の質も悪くなります。できるだけ薬に頼らず身体を動かすことが推奨されており、適度な運動は心身両面の健康維持に役立ちます。

室内でできる代替運動

ウインターブルーや冬太りを防ぐためにも有酸素運動は大切です。実は夏よりも冬の方が体温維持のために消費するカロリーが多く、同じ運動量なら冬の方がダイエットしやすいという特徴があります。基礎代謝量は夏に低く冬に高くなる特徴があるので、効率よく脂肪を落としたい方は冬に運動を取り入れるのがおすすめです。

冬は日が暮れるのも早く気温も低いため、屋外での運動を習慣にしようと思ってもタイミングが難しいものです。天候や時間を気にせず運動を継続するために、家の中でできる有酸素運動を習慣にしてみましょう。

踏み台昇降

室内でできる有酸素運動の代表が踏み台昇降です。とてもシンプルな運動で広いスペースも必要ないので、自宅でも簡単に取り組めるのがおすすめポイントです。踏み台を使う他、低めのイスや階段、雑誌を重ねたものでも代用できます。

消費カロリーは低いですが、ウォーキングやジョギングなどと比べると足腰への負担が少なく、運動が苦手な方でも気軽に取り組めます。

室内ウォーキング・足踏み

スポーツジムに通う場合はランニングマシンを使用し、自宅であれば家事をしながら室内を歩いたり、その場で足踏みをしたりするだけでも有酸素運動になります。足踏みはスペースを使わないため部屋が狭い場合でも簡単に行えます。

テレビを見ながら、電話をしながら、家事をしながらでも行えるため、有酸素運動のために時間が取れない方にも適しています。

スクワット

一般的に無酸素運動とされているスクワットは、冬の運動にもおすすめです。屋内でもできるので天候が悪かったり気温が低すぎて外で運動するのがおっくうな時に向いています。スクワットをする際は1日あたり10回×2から3セットを目安に行うとよいでしょう。

ピラティス

ピラティスは寒さで身体がかたくなりやすい冬におすすめの運動です。ヨガやストレッチよりもインナーマッスルや体幹を鍛えるのに効果的なので、寒い冬の運動に取り入れてみるとよいでしょう。

運動の効果を高めるポイント

有酸素運動による脂肪燃焼効果が高まるのは運動を開始してから20分後だと言われています。室内・自宅で有酸素運動をする場合も毎日30分程度の継続を目標にすると良いでしょう。ただし1日10分の有酸素運動を3回行っても1回30分行った場合の効果と差がないと言われているので、自分のペースで行うことが大切です。

有酸素運動だけでは筋肉を大幅に増やせないため、筋肉を増やして基礎代謝を上げる「無酸素運動」と組み合わせることが重要です。室内で簡単にできるプランクやスクワットを有酸素運動と組み合わせると、効率よく痩せられます。

早朝高血圧の予防と対策

病院や健康診断では発見できないモーニングサージを知るためには、朝の血圧を測ることがポイントです。毎日測ることが望ましいですが、忙しい人は週に数回でもかまいません。測るタイミングは朝と夜の1日2回です。

家庭で朝起きてすぐ測った血圧が135/85mmHg以上が続く場合は、早朝高血圧の可能性を考え医療機関に相談することが推奨されています。

睡眠の質を上げる

睡眠の質を上げるには、寝る直前の入浴やスマートフォンの操作、喫煙は避けることが大切です。布団に入ったら腹式呼吸を行い、音や光の刺激を遮って睡眠中に目が覚めないようにしましょう。朝起きたら太陽光を浴びて体内時計をリセットすることも効果的です。

生活習慣の改善

早朝高血圧を含めた高血圧の症状を引き起こす最大の原因は塩分の過剰摂取です。塩分摂取量を見直すことで血圧管理につながります。

寝る前の飲酒は絶対に避けるべきです。お酒を飲むとアルコールが代謝されるときにできる「アセトアルデヒド」の作用で血圧が上がり、睡眠の質にも悪影響を及ぼして早朝高血圧の症状を悪化させます。

ヒートショック対策

脱衣所、トイレ、キッチン、廊下などは小型暖房機を置いて足元を暖めることが有効です。高齢者は床などが冷たい一番風呂を避け、一番風呂に入る時は入浴前に湯船の蓋を外し蒸気で室温を上げるなどの工夫をしましょう。

湯温は40度以下、湯船につかる時間は10分未満を目安にしましょう。しっかりと水分を摂ることも重要です。急性心筋梗塞は脱水によって起こりやすいことも知られており、冬場は目に見える汗は少ないですが飲む水の量も少なくなりがちです。入浴後や入眠前、起床時には意識的にコップ1杯の水を飲むようにしましょう。

運動によるヒートショック予防効果

ヒートショックプロテイン(HSP)は免疫機能の制御やがん予防にも関与しているといわれており、心臓血管系の疾患を予防する効果も期待できます。HSPを増やすことはヒートショックの予防にもつながります。

HSPを効率的に増やすには適度な運動、とくに「筋トレ」と「有酸素運動」の組み合わせが適していると言われています。腹筋やスクワット、腕立て伏せなどを20回程度した後にウォーキングを15分程おこなうなどの組み合わせがおすすめです。

適度な運動には血管の内皮機能を改善し、血圧を上げる交感神経の働きを弱め、腎臓から塩分を排出しやすくする効果があります。また血糖や血中脂質の値が改善し、心臓や肺の働きもよくなります。

まとめ:冬でも安全に運動を続けるために

冬の早朝ジョギングは、寒冷刺激による血管収縮と起床時の血圧上昇(モーニングサージ)が重なり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが大幅に高まります。特に高血圧や心疾患の既往がある方、高齢者は細心の注意が必要です。

しかし適切な対策を取れば、冬でも安全に運動を続けることができます。運動の時間帯は午後1時頃の暖かい時間帯を選び、十分なウォーミングアップとして20分から30分を確保しましょう。レイヤリングを基本とした適切な防寒対策を行い、意識的に水分補給を行うことも大切です。心拍数を管理し無理のないペースで運動することを心がけ、寒い日は室内運動に切り替える柔軟さも必要です。

早朝高血圧の予防のため家庭で血圧を測定する習慣をつけ、睡眠の質を上げて生活習慣を改善することも重要です。運動中に異変を感じたらすぐに運動を中止し、必要に応じて救急車を呼ぶことを躊躇しないでください。

健康のための運動が逆に健康を損なうことにならないよう、冬の運動は特に注意して行いましょう。持病のある方は運動を始める前に必ず医師に相談してください。適切な知識と対策を持って、冬でも安全に運動習慣を継続し、健康的な生活を送ることが大切です。

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