このページにはAI画像を使用しています。
戸田公園の漕艇場は、全長約2.4km、幅約90mの人工の静水コースです。その両岸に続く遊歩道を走ると、水面を進むボートと並んで走ることになります。場所は埼玉県戸田市の荒川沿いにある県営公園で、JR埼京線の戸田公園駅から歩いて約20分です。
岸から見えるのは、大学や実業団のクルーが漕ぐ練習中のボートです。
漕艇場の歴史は古く、1940年に開かれるはずだった東京オリンピックに向けて競技用に整備され、1964年の東京オリンピックでは実際にボート競技の会場になりました。岸辺の景色は季節で変わり、春は土手の桜、夏は戸田橋花火大会、5月から10月ごろはボートの大会シーズンを迎えます。荒川を上流へ向かえば、彩湖・道満グリーンパークまで足を延ばすこともできます。

戸田公園の漕艇場は両岸が遊歩道で、ボートを横目に走れる
漕艇場の北岸と南岸は、どちらも細長い水面に沿ってまっすぐ続いています。走っているあいだ、すぐ横の水面をボートが進んでいく位置関係です。戸田市はボートコース沿いを遊歩道として扱い、サイクリングやウォーキング、犬の散歩の場として案内しています。
コースは全長約2.4kmで6コース、公園は東西約2,500m
水面の長さは約2.4kmあり、幅約90mの中に6コースが並びます。コースの途中に橋脚も堰もないので、ボートは安全に航行できます。
公園は東西に細長く、端から端までおよそ2,500m、南北はおよそ300mで、総面積は35.2haあります。漕艇場を中心に、艇庫や観覧席が配置されています。建設は昭和12年から昭和15年にかけてで、国内最大規模の人工静水コースとして造られました。人工的に造られた静水のボートコースは日本でここだけで、大学や実業団の練習拠点であり、競技会の会場でもあります。
遊歩道の周りには健康遊具3基とスーパー堤防
公園にはツイストボード、平均台、背伸ばしベンチの3基の健康遊具が置かれています。ほかに、コースの北岸と南岸の法面や、高規格堤防(スーパー堤防)も公園の施設に含まれます。
「スーパー堤防」という通称で呼ばれている堤防を、正式には高規格堤防といいます。整備の対象は、人口が集中していて、決壊すれば大きな人的被害が出るおそれの高い区間です。堤防の幅を広くとり、頑強に造る点が、この堤防の特徴としてよく語られます。整備区間は、人命を守ることを何より重く見て選ばれます。
公園の管理運営方針には、ボート競技場の特性を活かして健康づくりを支援することも盛り込まれています。
走れるかどうかと周回の決まりは公式ページで確認
ランニングができるかどうかや周回の細かい決まりは、出かける前に埼玉県の公式ページ(サンクジャパン戸田公園)か、公園の管理事務所で確かめてください。
並走するボートは22大学と4企業の艇庫から漕ぎ出してくる
岸から見えるボートは、コースの両側に建つ艇庫から出てきます。艇庫はボートとオールを保管する建物で、多くの部は宿泊できる合宿所を同じ建物に設けています。22の大学と4つの企業の艇庫などが並ぶコース沿いは、選手にとって生活の場でもあります。
慶應義塾と東京工業大学の艇庫の歩み
慶應義塾は、多摩川にあった艇庫を火事で失ったあと、戸田に艇庫を建てる計画を立てました。昭和24年には、木造2階建てで合宿所と艇庫がそろいました。これが第5代の艇庫です。昭和48年には鉄筋コンクリート造の第6代に建て替えています。慶應義塾は、ボートは全員の動きを揃える必要のあるチームスポーツなので、長い合宿に使える合宿所が欠かせないと説明しています。
東京工業大学端艇部は、2013年に戸田艇庫の建て替えを終え、新しい艇庫の完成式典を開きました。新しい艇庫は旧艇庫より多くの部員が泊まれるようになり、女子の合宿もできるようになっています。
艇庫の合宿室を大学生が使う場合について、戸田市の施設は料金を定めていて、1人当たり2,300円などの額を示しています。
岸から見えるエイトやシングルスカルの特徴
ボート競技では、直線のコースを1000mか2000m漕ぎ、ゴールまでの速さを競います。乗る人数で種目が分かれていて、1人乗りから、2人、4人、8人乗りまであります。複数で乗る艇では、漕ぐ息を合わせることが大切です。
8人で漕ぐエイトには、漕手8名と舵手1名が乗り込み、時速20kmにもなる速さで水面を進みます。舵手は漕手の人数には入りません。舵手(コックス)は舵を取って艇の進路を管理し、指揮をとりながら、クルーのリズムやペース、戦術面の判断も調整します。
舵手付きフォアでは、漕手4人が左右に分かれて座り、そこに舵手が1人加わって、5人でチームを組みます。シングルスカルは1人乗りの種目で、オリンピックでは早い時代から実施されてきました。
練習や大会を見に行くなら5月から10月
大会が開かれる5月から10月ごろは、毎年コースの周りがにぎわいます。見学は自由です。
ボートだけでなく、カヌーやカヤックの選手もいまの戸田漕艇場で練習しています。早稲田大学の漕艇部も、ここを練習と活動の場所にしています。NTT東日本漕艇部は、オリンピックや世界選手権の日本代表に多くの選手を出してきたチームです。2024年には、高校生を対象にしたローイングクリニックを戸田漕艇場で行いました。
戸田公園駅から徒歩約20分、バスなら「県営戸田公園」で下車
電車ならJR埼京線の戸田公園駅で降り、そこから歩きます。バスを使う場合は、戸田市コミュニティバスの南西循環に乗り、「県営戸田公園」の停留所で降りてください。
戸田の漕艇場は1940年の東京五輪に向けて造られ、1964年大会で使われた
漕艇場は、もともと荒川の洪水から周りの土地を守るための工事から生まれ、その後オリンピックの会場として形を整えてきました。
始まりは荒川の遊水地をつくる工事
荒川は暴れ川として知られていて、川の周りの低い湿地を洪水から守るため、遊水地として貯水池と排水路をつくる工事が1930年代に始まったそうです。
遊水地は、平地で洪水の一部をためて、下流に流れる水量のピークを下げるための施設です。堤防で周りを囲む型式と、土地を掘り込んで水をためる容量をつくる型式があります。ふだんは川の水位が越流堤の高さを超えない限り水は入らず、中の土地は公園や水田などに使えます。洪水で川の水位が越流堤を超えると、水が遊水地に流れ込んでいったんたまり、水位が下がった段階で排水門を開けて川へ戻します。
1940年に竣工、1954年には戸田競艇場が開場
工事のあと、この場所は1940年の東京オリンピックの会場候補になり、競技用に整備されました。大会そのものは開かれませんでしたが、1940(昭和15)年10月31日に、「戸田オリンピック・コース」の名で竣工式を迎えました。
戦後の1954(昭和29)年10月14日には、戸田漕艇場の中に戸田競艇場が開場しました。いまは同じ漕艇場の中で、上流側を戸田競艇場が使い、下流側が戸田公園になっています。戸田競艇場のレースが行われる水面は幅107.5mしかなく、全国のどの競艇場よりも狭くなっています。
1964年の東京五輪前にコース幅を70mから90mへ
当初の漕艇場はコースの幅が狭く、1964年の東京オリンピックに向けて広げる工事が行われました。大会の2年前から突貫工事を進め、幅を70mから90mにして開催に間に合わせたそうです。
大会では戸田がボート競技の会場になり、10月11日から15日まで男子のみの競技が行われました。大会にあわせて周辺の整備も進み、そのころ生まれた「オリンピック通り」という道が、いまもコースの北側にあります。戸田公園が県営公園として開かれたのは、大会後の1964年12月です。その後も昭和42年と平成16年の埼玉国体や、全日本選手権大会が開かれました。
東京2020大会ではボート会場候補10か所の一つに
東京2020大会のボート会場を選ぶとき、東京都が挙げた候補10か所の中に戸田漕艇場も入っていました。所有者は埼玉県です。最終的にボート会場となったのは、東京湾にある海の森水上競技場でした。
日本のボートの始まりとコースの級別規格
日本で最初のボートレースは1869年(明治2)の横浜で、港に立ち寄っていたイギリス軍艦の乗組員と、日本に住む外国人のクラブが漕ぎ比べたものだそうです。日本人が開いた大会の始まりは1887年で、学校の中で行われたその競漕大会では、座席が動かない4人漕ぎの艇が使われました。
ボートコースには、日本ボート協会(現在の日本ローイング協会)が定めた級別の規格があります。
| 級 | レーン数 | 最大流速 | 開催できる大会 |
|---|---|---|---|
| A級 | 6レーン以上(2000mの競技コース) | 毎秒10cm | 国際大会 |
| B級 | 5レーン以上 | 毎秒20cm | 全日本選手権、国体 |
| C級 | 3レーン以上 | 毎秒30cm | 地域予選会 |
国際基準を満たす本格的なコースは、2000mで8レーン(レーン幅13.5m)を持ち、そこに分離された回漕レーンを加えた構成になっています。
走り足りなければ荒川を上流へ、彩湖・道満グリーンパークまで
戸田市は、荒川サイクリングロード(荒サイ)沿いにある市です。荒サイは長さ約90kmのルートで、埼玉県の武蔵丘陵森林公園を起点に河口まで延びています。途中の笹目橋は東京都板橋区の高島平と戸田市堤外を結ぶ橋で、そこから上流側が埼玉県の区間です。周辺の橋や施設は、戸田市の公式サイクリングマップに載っています。
彩湖・道満グリーンパークは66.7haで入場無料
荒川を戸田公園から上流へたどると、彩湖という荒川の調整池に出ます。この湖のほとりに広がるのが、戸田市の市営公園である彩湖・道満グリーンパークです。広さは66.7haで、東京ドームに換算すると約14個分になります。管理は戸田市水と緑の公社が担い、一年を通して開いていて、入場料はかかりません。開いているのは7時30分から18時30分で、11月から3月は17時30分に閉まります。
湖岸道路でのランニングも人気です。園内のドッグランは、遊具のない芝生のスペースも広く、犬が走り回れる広さがあります。隣を通る荒川の自転車道は延長45.9kmあります。
彩湖の周りには、彩湖と新河岸川、荒川の三つをまたぐ幸魂大橋が架かっています。戸田橋は、荒川を挟んで板橋区と戸田市を結ぶ橋です。
戸田マラソンin彩湖は2026年12月13日(日)に開催予定
荒川沿いで開かれる大会には、戸田市の「戸田マラソンin彩湖」もあります。第43回にあたる2026年の大会は、12月13日(日)に彩湖・道満グリーンパークを会場に開かれる予定です。市制施行60周年を記念した大会で、雨が降っても実施します。今回から新設されたのがリレーマラソンで、5人で1組のチームを作り、たすきをつないで走ります。
| 種目 | 参加費 | 定員・スタート時刻・制限時間 |
|---|---|---|
| ハーフ | 5,000円 | 定員1,800人、9時スタート、制限時間2時間50分 |
| 10km | 4,000円 | 定員1,100人、9時20分スタート、制限時間1時間50分 |
| 5km(高校生) | 4,000円 | 高校生以上の5kmは定員500人、10時50分スタート |
| 5km(中学生) | 2,000円 | - |
| 2km(小学生) | 1,000円 | - |
| 2kmファミリー | 4,000円 | - |
| リレーマラソン(約20km) | 1チーム15,000円 | 定員100組 |
春は約114本のソメイヨシノ、夏は10号玉が上がる戸田橋花火大会
荒川の土手には、ソメイヨシノが約114本並んでいます。花の咲く枝越しに、戸田漕艇場の水面が見えます。見頃は3月下旬から4月中旬です。戸田市は、春になると荒川の堤防の上に約1キロメートルにわたって桜が咲くと紹介しています。練習中のボートと桜を一緒に撮影しようと、多くの人が足を運びます。
夏の行事は戸田橋花火大会です。主催は戸田市観光協会で、70年以上続いてきました。特徴の一つは、10号玉という大玉が上がることです。首都圏でこの大きさの花火を見られる機会は、なかなかありません。もう一つは、荒川の向かい側で「いたばし花火大会」が同時に開催されることです。
第73回となった2026年の大会は8月1日に開かれ、時間は19時から20時30分まででした。会場は国道17号戸田橋の上流側にある荒川河川敷で、市内での打ち上げ数は約7,500発でした。天候が荒れた場合は中止となり、別の日に延ばすことはしません。
ボートに乗るなら初心者向けのナックル艇でコースを周回
見ているだけでなく自分で漕いでみたい人には、ナックル艇での体験があります。戸田市の広報は、初心者でも安定して漕げるナックル艇でボートコースを周回する体験を紹介しています。体験の場所は戸田ボートコースで、戸田市の戸田公園8-22にあります。
ナックル艇はレクリエーション向けの艇で、初めての人の体験会のほか、市民レガッタや遠漕会でも使われています。レース艇に比べて幅が広く重いため、簡単にはひっくり返りません。縁が高く、乗り降りしやすい造りになっています。
ナックルフォア艇の場合、4人の漕ぎ手がオールを1本ずつ受け持ち、残る1人が舵手として進む方向を決める5人一組の艇です。体験中は救命胴衣を着け、コースの中には救助艇が待機しています。
戸田市はこのボート体験をチームビルディング研修の形にまとめ、ふるさと納税の返礼品としても提供しています。
戸田市は人口142,070人、2026年に市制施行60周年
戸田市は埼玉県の南東部に位置し、荒川を渡った向こう側はもう東京都です。市制を施行したのは1966年で、2026年はちょうど60周年の年にあたります。
人口は住民基本台帳で142,070人(2025年1月1日現在)を数え、市の広さは約18.19平方キロメートルです。1平方キロメートルあたり約7,800人が暮らす計算になり、人口が密集した市といえます。
まとめ
戸田公園の漕艇場は、全長約2.4kmの静水コースの両岸が遊歩道になっていて、練習中のボートを横に見ながら走れます。JR埼京線の戸田公園駅から歩いて約20分で、5月から10月ごろは大会でにぎわいます。春は土手の桜、冬は12月13日の戸田マラソンin彩湖と、時期によって訪れる理由も変わります。ランニングができるかどうかや周回の決まりは、出かける前に公式ページか管理事務所で確かめてください。








