静岡県掛川市の逆川沿いには、掛川城を望みながら走れる、距離約7.3kmの平坦なランニングコースがあります。信号が少なく高低差もほとんどないため、初心者から市民ランナーまで幅広く使われているコースです。掛川城は1994年に日本初の本格木造復元天守として再建され、走りながらその姿を何度も視界に収められるのがこのコースの魅力です。この記事では、コースの具体的なルート、アクセスと駐車場の情報、桜やユリが楽しめる季節ごとの見どころ、走る際に気をつけたい点をまとめます。

逆川沿い7.3kmコースは掛川城を中心にした平坦ルート
このコースの舞台になっているのは、掛川市内を流れ太田川水系に合流する二級河川、逆川です。掛川城の南側を流れており、両岸には遊歩道が整備されています。ランニングコース情報サイトのラントリップにも「静岡県掛川市/逆川沿いのランニングコース」として紹介されていて、信号も少なく平坦で走りやすいコースだと案内されています。
距離はおよそ7.3km。5kmを走り切れるようになったランナーが次のステップとして選びやすい距離で、アップダウンがほとんどないぶんペース配分がしやすいのも特徴です。信号待ちが少ないので、インターバル走やビルドアップ走のようにペースを一定に保ちたい練習にも向いています。走行中に掛川城の天守閣が何度も視界に入ってくるため、距離が伸びてもモチベーションを保ちやすいという声もよく聞かれます。
平坦コースが初心者に向いている理由
同じ距離でも、坂道の多いコースと平坦なコースとでは、体にかかる負荷がまったく違います。下り坂では着地の衝撃が膝に、上り坂では心肺と太もも周りの筋肉に負担がかかりやすく、走り始めたばかりの人ほど痛めやすい部分です。逆川沿いのコースのようになだらかな地形を選ぶと、そうした故障のリスクを抑えながら距離を積み上げていけます。上級者にとっても、坂道トレーニングの前後に体を慣らすウォームアップ・クールダウンの場として、あるいは記録を狙うペース走の舞台として使い勝手がよいコースです。
継続的にジョギングを取り入れると、心臓は効率よく血液を送り出せるようになり、肺も一度に取り込める酸素の量を増やしていきます。7.3kmという距離は、こうした心肺への刺激を無理なく積み重ねていくにはちょうどよい長さです。最初は歩きを挟みながらでも、平坦なコースなら息が上がりすぎずに完走を目指しやすく、続けるほど楽に走れる距離が伸びていく実感を持ちやすいはずです。
7.3kmを走るときの給水の目安
7.3km程度の距離であれば、レース感覚で一気に走り切る人にとって給水は必須ではありませんが、気温が高い時期やペースを落として長めに走る場合は話が別です。目安としては、15分から20分に1回、コップ1杯分にあたる150mlから200ml程度の水分をこまめに取るとよいとされています。発汗量が多い夏場は、1時間あたり400mlから800ml程度を目安に、渇きを感じる前に少しずつ補給するのがポイントです。掛川大手門駐車場やコース沿いのコンビニエンスストア、自動販売機を給水ポイントとして事前に把握しておくと、暑い時期でも安心して距離を伸ばせます。
週2〜3回のペースで走ると7.3kmまで距離を伸ばしやすい
初めてこのコースに挑戦するなら、いきなり7.3km全部を走り切ろうとしなくても構いません。運動習慣がほとんどない人は週1回から始めても問題なく、走ることに体を慣らす段階と考えて構わないでしょう。習慣づいてきたら週2〜3回のペースに増やすと、休む日と走る日のバランスが取りやすく、疲労をためすぎずに続けられます。
距離の伸ばし方も同じで、最初は1回あたり3km程度から始め、慣れてきたら少しずつ距離を伸ばしていくのが基本です。ゆっくりめのペースで走れば体への負担も抑えられるので、逆川沿いのコースを何回かに分けて走り、最終的に7.3kmの通しを目指すという進め方が、平坦なコースの利点を活かした無理のないステップになります。
シューズ選びも初心者のうちはクッション性を優先するのがおすすめです。着地の衝撃を吸収する素材が靴底に使われているクッションタイプのシューズなら、筋力がまだ十分でない段階でも足腰への負担を抑えられます。軽さよりもクッション性を重視したモデルを選び、実際に両足で履いてサイズを確認してから走り始めると安心です。
呼吸のリズムをつかんでおくと、7.3kmという距離も楽に感じられます。基本は2歩で2回吸って2歩で2回吐くリズムで、「スースー、ハーハー」と滑らかに息をつなぐイメージです。走り始めて息が上がってきたら、2歩吸って2歩でハーッと長く吐く形に切り替えると、呼吸が整いやすくなります。信号が少なく呼吸のリズムを崩されにくいこのコースは、こうした呼吸法を練習する場としても向いています。
掛川城は1994年再建の木造復元天守、御殿は国の重要文化財
コースの目印であり目的地でもある掛川城について触れておきます。掛川城の起源は室町時代で、駿河の守護大名だった今川氏が遠江への進出拠点として、家臣の朝比奈氏に築かせたのが始まりとされています。戦国時代には山内一豊が城主として約10年在城し、天守閣や大手門の建設、城下町の整備、大井川の治水工事まで手がけました。一豊は関ヶ原の戦いの後に土佐24万石の大名となり、高知城を築く際にも掛川城を参考にしたと伝えられています。
1854年の安政東海地震で天守や二の丸御殿の多くが倒壊し、江戸時代のあいだ天守は再建されませんでした。それから140年ほど経った1994年、市民の熱意と寄付によって、日本初の本格木造復元天守として掛川城天守閣がよみがえりました。三層四階の内部には歴史資料や武具が展示され、最上階からは掛川の市街地とその先に広がる山並みを見渡せます。
天守閣が復元建築である一方、江戸時代後期に建てられた御殿は今も本物の姿で残っています。この御殿は藩の儀式や公式な対面、藩主の公邸、政務の場として使われていたもので、京都の二条城など全国に4棟しか現存しない城郭御殿のひとつとして国の重要文化財に指定されています。天守閣が眺望や体験を楽しむ場所だとすれば、御殿は実際にそこで政務が行われていた空間そのものが残っている場所です。走った後にこの御殿をゆっくり見て回ると、天守閣とはまた違った歴史の重みを感じられます。
掛川駅北口から徒歩7分、駐車場は掛川大手門駐車場が便利
コースへのアクセスは、JR掛川駅が起点になります。東海道新幹線のこだま号が停車する駅で、東京・大阪方面からも乗り換えなしでたどり着けます。掛川駅北口からまっすぐ北へ歩けば、7分ほどで掛川城に到着します。新幹線が停まる駅からこれほど近い距離に木造の天守が残っている城は全国的にも珍しく、遠征ランナーにとっても寄りやすい立地です。
車で訪れる場合は、掛川駅周辺の駐車場か、掛川城のすぐそばにある掛川大手門駐車場が候補になります。それぞれの特徴を整理すると、次のとおりです。
| 駐車場名 | 位置の目安 | 収容台数 | 利用時間 | トイレ |
|---|---|---|---|---|
| 掛川駅南第1駐車場 | 掛川駅南側 | 市営(15分無料) | 24時間 | あり |
| 掛川駅北駐車場 | 掛川駅北側 | 市営(15分無料) | 24時間 | あり |
| 掛川大手門駐車場 | 掛川城下8番地の1 | 普通車183台・バス4台 | 24時間年中無休 | あり(身体障がい者用トイレ完備) |
着替えや荷物の準備、走り終えたあとの休憩まで考えると、掛川城のすぐそばで24時間使える掛川大手門駐車場が使いやすいという印象です。市営駐車場は掛川駅からのアクセスを優先したいときの選択肢になります。長距離を走る前後の水分補給とトイレ休憩は快適に走るための欠かせない準備なので、走り始める前にどちらを使うか決めておくと迷いません。
掛川桜は2月下旬から見頃、夜間ライトアップも実施
このコースが一年でもっとも賑わうのが桜のシーズンです。逆川沿い両岸の約2kmには、掛川市のご当地桜「掛川桜」がおよそ300本植えられています。掛川桜は早咲きのカンヒザクラ系統の品種で、例年2月下旬から3月上旬にかけて見頃を迎え、他地域より一足早いお花見ランを楽しめるのがこのコースならではの魅力です。掛川桜が見頃を過ぎる4月上旬になると、今度はソメイヨシノやシキザクラ、シダレザクラが咲き始め、桜のシーズンが長く続きます。
夜間には毎日ライトアップが行われていて、点灯時間の目安は17時30分から21時30分です。日中だけでなく、仕事帰りの時間帯に走っても、ライトアップされた夜桜と掛川城の組み合わせを楽しめます。年によっては「掛川桜まつり」のような関連イベントが開催されることもあるので、桜の時期に合わせて訪れる場合は最新の開催情報をあわせて確認しておくとよいでしょう。天守閣と桜が重なって見える瞬間は、このコースを走る一番のごほうびだと感じるランナーも多いはずです。
逆川堤防のユリは5月下旬から6月末が見頃
桜が終わったあとも、このコースには季節の花が続きます。逆川堤防では、地元の「逆川水辺の花園会」が2008年から植栽を続けているユリが、5月下旬から6月末にかけて色とりどりに咲きます。梅雨入り前後の時期にコースを走ると、緑の濃くなった遊歩道の中に咲くユリを眺めながら走れます。秋には掛川城公園内の紅葉が見どころになり、夏の暑さが落ち着いたぶん、距離を伸ばす走り込みにも向いた季節になります。冬は空気が澄み、遠くの山並みまで見渡せる日が多くなります。
掛川の気温は年間2度から30度、6月は雨が多い
掛川市の気候データを見ると、年間を通じて気温はおよそ2℃から30℃の範囲で推移し、氷点下2℃を下回ったり33℃を超えたりする日は稀です。降水量には季節差があり、もっとも雨の少ない12月は月間76mm程度であるのに対し、もっとも雨の多い6月は月間273mmほどに達します。梅雨の時期にあたる6月前後は雨でコースが使いにくい日が増える一方、降水量が落ち着く秋から冬にかけては気温の変動も比較的穏やかで、走りやすいシーズンといえます。
夏場は日中の気温が高くなるうえ雨も多いため、早朝や日没後の涼しい時間帯に走るランナーが増えます。掛川城公園の周辺には木陰も多く、直射日光を避けたルート取りも可能です。帽子や日焼け止めを使い、こまめに水分を補給しながら走ることをおすすめします。河川沿いのコースなので、増水時や強風時には足元が滑りやすくなったり、遊歩道が通行止めになったりすることもあります。悪天候が続いたあとに走る場合は、事前に状況を確認しておくと安心です。
掛川市城下町駅伝競走大会は2026年1月25日に開催されました
掛川市とその周辺では、市民が参加できるランニングイベントも開催されています。掛川市制20周年を記念した「掛川市城下町駅伝競走大会」は例年開催されている大会で、第13回大会は2026年1月25日(日曜日)に行われました。この地域では、日常のジョギングだけでなく、地域が主催する競技イベントを通じて走ることが根づいています。
つま恋リゾート彩の郷を会場にしていた「掛川・新茶マラソン」は、フルマラソンから10km、5km、3.5km、1kmファンランまで複数のカテゴリーが用意された大会として親しまれてきました。ただし交通規制やボランティア確保といった運営上の課題から、大会の今後のあり方や代替案を含めた見直しが掛川市主導で進められている状況です。参加を考えている場合は、最新の開催情報を掛川市や大会公式の発表で確認することをおすすめします。
走った後は掛川城の御殿見学と深蒸し茶がおすすめ
このコースの魅力は、走ること自体にとどまりません。走る前後に掛川城を見学すれば、歴史散策と運動を一度に楽しめます。天守閣の展示だけでなく、江戸時代から現存する御殿にも足を運んでみると、この城の奥行きがよくわかります。
掛川駅から掛川城へ向かう道沿いには、飲食店やカフェも点在しています。走ったあとに一息つくなら、掛川名物のお茶を試してみるのもよいでしょう。掛川市は静岡県内でも屈指の茶産地で、日照時間の豊富さを活かして育った肉厚な茶葉を、普通煎茶より2倍から3倍長く蒸す「深蒸し茶」の産地として知られています。じっくり蒸すことでカテキンを豊富に含みながら、濃厚で甘みのある味わいに仕上がるのが特徴です。掛川の深蒸し煎茶は荒茶三大品評会で数々の受賞歴があり、全国茶の品評会でも産地賞を全国最多で受賞してきました。走ったあとの体に、地元産の深蒸し掛川茶の甘みは格別です。
市内には、茶園を見渡す全面ガラス張りの空間で地元の野菜や果物を使った食事と深蒸し茶を味わえるショップ&カフェ「茶の庭」や、茶畑の向こうに富士山や伊豆半島、駿河湾までを一望できる「かっぽしテラス(粟ヶ岳世界農業遺産茶草場テラス)」があります。コースからは少し足を延ばす必要がありますが、掛川に滞在するなら合わせて訪れる価値があります。
走り終えたら段階的にペースを落として体をほぐす
7.3kmを走り終えたあと、いきなり立ち止まらずに、ゴール手前からジョギングやウォーキングに切り替えて段階的にペースを落とすと、体への負担が和らぎます。5分から10分ほどゆっくり歩き、呼吸が落ち着いてきたら、腰や太ももの裏側、ふくらはぎを中心に静的ストレッチを取り入れる流れがおすすめです。逆川沿いの遊歩道なら、桜やユリを眺めながらそのままクールダウンの時間に充てられるのも、このコースらしい過ごし方です。
コースを走る際の注意点は交通量と河川の増水
最後に、このコースを走るときに気をつけたい点をまとめておきます。
コースは市街地や観光地に近く、観光客や地元住民、自転車も行き交います。信号は少ないコースですが、交差点や横断歩道での安全確認は欠かせません。桜のシーズンなど観光客が増える時期は、いつもより歩行者が多くなるぶん、スピードを出しすぎず周囲に配慮したペースで走ることが大切です。
河川沿いのコースであることも忘れないようにしたいところです。増水時や強風時には足元が滑りやすくなったり、遊歩道が通行止めになったりすることがあります。
季節に応じたウェア選びも走りやすさを左右します。夏場は半袖やタンクトップにショートパンツを合わせ、汗を素早く吸って乾かす吸汗速乾素材を選ぶと、衣服が肌にまとわりつかず快適です。日差しの強い時期はUVカット機能のあるウェアや帽子も欠かせません。冬場は長袖に厚手のジャケット、タイツを重ねるのが基本で、1月・2月の厳しい寒さの時期にはウインドブレーカーを羽織り、手袋やニット帽、ネックウォーマーで防寒するとよいでしょう。給水については掛川大手門駐車場のほか、コンビニエンスストアや自動販売機も周辺に点在しているので、長距離を走る前に給水ポイントの見当をつけておくと安心です。
初めて走る場合は、事前に地図でおおよそのルートを確認しておくことをおすすめします。掛川城を中心とした周回・往復のルート取りが基本ですが、逆川沿いの遊歩道は分岐や橋も多く、初見では迷いやすい箇所もあります。ランニングアプリやGPSウォッチでコースを記録しながら走ると、次回以降のルート選びの参考になります。
小さな目標を積み重ねると走るのが楽しくなる
このコースを継続的に楽しむコツは、大きな目標より小さな目標を積み重ねることです。「週3回、20分ずつ走る」「1か月で5km走れるようになる」といった短期的で達成しやすい目標を立てると、達成感が積み重なって続ける意欲につながります。慣れてきたら、逆川沿いの区間タイムを少しずつ縮めていく、月の総走行距離を伸ばしていくといった形で目標を更新していくと、飽きずに走り続けられます。
ランニングアプリやGPSウォッチで走行距離やペースを記録しておくと、「あと200mでいつもの記録」「あと1分縮めれば目標達成」のように、走りながら具体的なゴールを意識できます。桜の時期やユリの時期に合わせて訪れる、走った後に掛川城やお茶処に立ち寄るなど、観光を兼ねた旅ランとして楽しむのも、掛川ならではのモチベーション維持の方法です。
静岡県掛川市の掛川城周辺・逆川沿いを走る7.3kmのコースは、平坦で信号が少ないという走りやすさに、日本初の木造復元天守の眺めと、春の掛川桜、初夏のユリ、秋の紅葉といった季節の風景が重なる場所です。掛川駅から徒歩圏内というアクセスの良さもあって、地元のランナーはもちろん、出張や旅行のついでに一走りしたいという人にも向いています。掛川を訪れる予定があるなら、掛川城を望むこの逆川沿いのコースを走ってみてください。








