榛名湖の周回ランニングコースは、湖畔をほぼ平坦に1周する5.4キロメートルのコースと、榛名富士の裾野を巻く7.8キロメートルのアップダウンコースの2種類です。群馬県高崎市にあるこの高原の湖は標高およそ1100メートルに位置し、夏でも平地より気温が7~8度ほど低いため、涼しい環境で走りたいランナーに選ばれています。この記事では、コースの距離や特徴、榛名湖マラソンの最新情報、アクセスや駐車場、季節ごとの注意点まで、実際に走る前に知っておきたい情報をまとめました。

榛名湖は上毛三山の榛名山にできたカルデラ湖
榛名湖は赤城山、妙義山とともに「上毛三山」のひとつに数えられる榛名山の中央にある湖です。上毛三山とは、群馬県一帯を指す古い地名「上毛」に由来する3つの山の総称です。榛名山は旧火口の中にさらに火山が噴出した複式火山で、記録によれば495年ごろとその約30年後に大きな噴火があったとされ、この火山活動によって形づくられたカルデラ地形が現在の榛名湖と榛名富士を生み出しました。
榛名湖の周回コースは湖畔5.4キロと榛名富士周回7.8キロの2種類
榛名湖には性格の異なる2つの周回コースがあります。ひとつは湖畔沿いの道路をそのまま1周する湖畔周回コースで、距離はおよそ5.4キロメートルです。もうひとつはヤセオネ峠方面へ分岐し、榛名富士の裾野を大きく巻くように走る榛名富士周回コースで、1周はおよそ7.8キロメートルになります。
湖畔コースはほぼ平坦で初心者にも走りやすい
湖畔周回コースは大きなアップダウンがなく、初心者やジョギング目的のランナーにも走りやすいコースです。湖を眺めながら平坦な道をリズムよく走れるため、ペース走やビルドアップ走の練習にも向いています。この5.4キロコースは大会のレイアウトにもそのまま使われることが多く、4周するとハーフマラソン相当の21.6キロメートルに、8周するとフルマラソン相当の43.2キロメートルになります。路面はおおむね舗装されていますが、歩道が整備されている区間とそうでない区間が混在しているので、観光シーズンは車の通行量や見通しの悪いカーブに注意してください。
榛名富士周回コースはアップダウンで負荷を高められる
榛名富士周回コースは登り下りのあるアップダウンコースで、標高差を利用した心肺機能や脚力の強化に向いています。榛名富士は標高1391メートルの円錐形の山で、榛名山の噴火によってできた溶岩ドームです。平坦な湖畔コースで足慣らしをしてから、この周回コースで負荷を上げるという走り分けもできます。
榛名湖が準高地トレーニングの定番地になっている理由
榛名湖が競技ランナーや陸上部から支持されている理由は、標高1000メートルを超える環境で準高地トレーニングができることです。標高が高い土地は平地に比べて酸素濃度がわずかに低く、そこでの走り込みは心肺機能や赤血球産生能力を高めるとされています。標高2000メートルを超える本格的な高地トレーニングほどの負荷ではないものの、涼しい環境で負荷をかけられるため、関東圏の大学陸上競技部や実業団、高校の駅伝チームがこの環境を夏合宿に取り入れてきました。
夏でも比較的涼しく長時間の練習に耐えられる環境に加え、平坦な湖畔コースとアップダウンのある榛名富士周回コースを使い分けられる点も、合宿メニューを組みたいチームには都合がよいところです。一般のランナーにとっても、暑い時期に平地で走るより体感的に楽に走れることが多く、避暑を兼ねたロングランの場として選ばれています。
榛名湖マラソンは標高1100メートル地点を走る陸連公認フルマラソン
榛名湖を舞台にした代表的な大会が榛名湖マラソンです。日本陸上競技連盟公認コースとしては日本一標高の高い場所で開催される大会として知られ、県立榛名公園駐車場付近をスタートとゴール地点に、湖畔と周辺道路を使ってレースが行われます。
第14回大会は2026年9月27日に開催されます
第14回榛名湖マラソンは2026年9月27日(日曜日)に開催されます。エントリー受付は2026年4月24日(金曜日)から8月2日(日曜日)までの期間で行われ、すでに受付は終了しています。主催は榛名湖マラソン実行委員会事務局で、コース図や種目、参加料の詳細は大会公式サイトで随時更新されるので、来年以降の参加を考えている方は公式サイトを確認しておくとよいでしょう。
コース上には随所にボランティアスタッフによる給水やエイドステーションが設けられ、ランナーを支える体制が整えられています。このほかにも榛名山トレイルウォーク&榛名湖あおぞらマラソンのような、榛名湖・榛名山エリアを舞台にしたイベントが複数企画されており、県立榛名公園ビジターセンター前がスタート地点として使われることもあります。
累積高低差583メートルが生む厳しさ
榛名湖マラソンのフルマラソン部門は、湖畔コースを5周半するレイアウトで、累積高低差は583メートルにおよびます。標高1100メートル前後の高地であることに加えてこの高低差が重なるため、平地のフルマラソンとは違う厳しさがあります。過去の大会成績を見ると、第11回大会(2023年9月24日開催)では男子優勝者が2時間25分43秒で大会新記録を樹立しました。第12回大会(2024年9月29日開催)は男子優勝者が2時間28分48秒、女子優勝者が2時間54分00秒で制し、第13回大会(2025年9月28日開催)では優勝者が2時間37分47秒というタイムでした。
実際に完走したランナーの記録を見ると、フルマラソンを60本以上走った経験があっても前半から息が上がったという声があり、標高と累積高低差の組み合わせによる負荷の高さがうかがえます。涼しさと引き換えに相応の脚力と心肺機能が求められる、上級者向けの大会だといえます。
アクセスは高崎駅からバス約90分、車なら関越道経由
公共交通機関を利用する場合の最寄り拠点は、JR上越新幹線や高崎線が乗り入れる高崎駅です。高崎駅西口のバス乗り場から群馬バスの榛名湖行きに乗車し、終点の榛名湖で下車します。所要時間は便によって差があり、1時間25分から1時間30分程度、90分ほどかかることもあります。下車後は徒歩数分で湖畔に着きます。
車の場合は、関越自動車道の前橋インターチェンジや渋川伊香保インターチェンジを利用し、国道406号や県道33号を経由するルートが一般的です。伊香保温泉方面から榛名湖へ抜ける道は水沢うどん街道としても知られ、途中には人気のうどん店が点在しています。この道はロードバイクのヒルクライムコースとしても知られる坂道が続くので、運転時も一定の勾配走行になる点は覚えておいてください。国道406号の麓側には、季節になると梨や桃、ブルーベリーなどの直売所が並ぶ通りがあり、榛名地区は北関東でも有数の果樹産地として知られています。ランニングの行き帰りに、季節の果物狩りや直売所への立ち寄りを組み合わせるのも良いでしょう。
駐車場は湖畔に無料800~1000台規模で確保
榛名湖畔には複数の駐車場があり、多くが無料で利用できます。情報源によって台数の記載に差はありますが、湖畔全体でおよそ800台から1000台規模の無料駐車スペースが確保されています。県立榛名公園駐車場をはじめ湖畔沿いの各所に駐車場が点在しているため、ランニング前後の駐車に困ることは少ないでしょう。ただし紅葉シーズンや大会開催日は駐車場が混雑して満車になることもあるため、早めに到着しておくと安心です。榛名湖一帯は総面積約395ヘクタールの群馬県立榛名公園に含まれており、園内にはテニスコートやサッカーグラウンドといったスポーツ施設も整備されています。ランニングだけでなく、他の運動と組み合わせて訪れることもできる公園です。
季節ごとの魅力と走る際の注意点
榛名湖ランニングの魅力は、四季それぞれで表情が変わることです。春から初夏は新緑が湖面に映え、涼しい風の中を気持ちよく走れます。梅雨が明けた夏は平地の猛暑を避けられる貴重なフィールドになり、合宿や早朝ランに向いた時期です。
紅葉は10月中旬から11月上旬が見頃
秋は榛名湖・榛名山エリア随一の見どころである紅葉のシーズンです。標高が高いため周辺地域より色づきが早く、例年10月中旬から色づき始め、見頃は10月下旬から11月上旬にかけてです。紅葉に彩られた湖畔を走るのは榛名湖ならではの体験ですが、この時期は観光客や車の交通量が大幅に増えるため、普段以上に周囲へ注意しながら走る必要があります。
冬季の路面凍結には要注意
冬は標高の高さから積雪や路面凍結が起こりやすく、湖面が結氷してワカサギの穴釣りやスケートが楽しめるほど冷え込みます。榛名湖のワカサギ釣りは9月から11月ごろまでがボート釣りのシーズンで、湖が結氷する1月から2月下旬ごろは氷に穴を開けて釣る氷上釣りに切り替わります。この結氷期はランニングでも最も注意が必要な時期で、防寒対策に加えて凍結した路面でのスリップに気を配り、状況によってはコース変更や中止も検討してください。標高1100メートルの環境では朝晩と日中の気温差も大きいため、夏場でも朝は肌寒く感じることがあります。着脱しやすいウェアで体温を調整するとよいでしょう。冬の榛名湖は路面凍結に注意が必要な一方、榛名湖南側では湖畔を光で彩るイルミネーションイベントも開催されており、日中のランニングとは違う楽しみ方ができる季節でもあります。
夏はユウスゲの群生と早朝ランがおすすめ
湖畔一帯は季節ごとにサクラやツツジ、ユウスゲといった花にも彩られます。なかでもユウスゲは榛名山の夏を象徴する花で、榛名湖東側のゆうすげの道や沼ノ原の草原一帯に群生しています。見頃はおおむね7月中旬から8月中旬で、午後2時ごろから開花し、午後4時から翌朝にかけて薄黄色の花を咲かせては翌日の午前中にしぼむ一日花です。早朝は特に狙い目の時間帯で、西側から榛名山方面を見ると榛名富士から昇る朝日と、水面に山影が映り込む逆さ榛名富士の景色に出会えることがあります。冬型の気圧配置が続く時期には空気が澄み、満天の星空が楽しめることもあります。
榛名山全体を巡るトレイルランニングという選択肢
湖畔コースや榛名富士周回コースでは物足りないランナーには、榛名山全体を巡るトレイルランニングという選択肢もあります。榛名山は最高峰の掃部ヶ岳(標高1449メートル)をはじめ、天目山、磨墨岩(通称スルス岩)、相馬山など複数のピークが外輪山を形成しており、これらを結ぶ登山道を周遊するコースを組めます。駐車場から掃部ヶ岳、杏ヶ岳、天目山、磨墨岩、相馬山を経て駐車場へ戻る周遊ルートを走破した記録も見られます。
スルス岩は石臼を意味する名前の通り大きな臼のような形をした奇岩で、頂上まで続くはしごを登ると烏天狗の像が祀られています。はしごが揺れる箇所や登り切った先が滑りやすい箇所もあるため、トレイル区間は舗装路とは違う注意力とトレイルシューズなどの装備が必要です。
榛名山ロープウェイと榛名神社は定番の立ち寄りスポット
ランニングの前後に立ち寄りたい観光スポットとして、榛名山ロープウェイと榛名神社があります。榛名山ロープウェイは山麓駅から山頂駅までわずか2分50秒で結び、山頂には展望台と榛名富士山神社があります。展望台からは谷川岳や赤城山はもちろん、遠く富士山や筑波山、関東平野までを見渡せる360度のパノラマが広がります。榛名富士山神社は古くから縁結びや安産の神として信仰を集めてきた神社で、かつての山開きの日には多くの参拝者が列をなしたと伝えられています。
湖畔から少し離れた場所にある榛名神社は、榛名山の神を祀る約1400年の歴史を持つ古社で、境内は約15ヘクタールにおよびます。神社入口から本社までは約700メートルの参道が続き、奇岩や滝に囲まれた雰囲気の中を歩く参拝ルート自体が観光名所になっています。ランニングで足を鍛えた後に、この参道を散策するのも良い休息になります。
ランニング以外にもサイクリングやボート、ヒルクライムが楽しめる
榛名湖では走ること以外の楽しみ方も豊富です。湖畔の周遊道路はサイクリングにも使われており、湖畔のカフェテラス・エヴァではレンタサイクルが用意されています。走らない日に自転車で湖を巡るのもよい過ごし方です。
春先から秋にかけては色とりどりのボートが湖面に浮かび、湖を一周約20分でめぐる遊覧船や、榛名観光案内所前とロープウェイ高原駅を結ぶトテ馬車といった乗り物も人気です。
ロードバイクで走る場合、伊香保温泉から水沢うどん街道を抜けて榛名湖を目指すルートには全長約16キロメートル、獲得標高約940メートルのヒルクライムコースがあります。この一帯では榛名山ヒルクライムin高崎という自転車イベントも開催されており、ゴール地点の榛名湖は標高1100メートルに位置しています。ランニングと合わせて坂道アタックに挑戦するランナーも見られます。
立ち寄りたいグルメと温泉、宿泊施設
ランニングの後に楽しみたいのが榛名湖周辺のグルメです。代表格は榛名湖名物のワカサギのフライで、外はカリッと中はふんわりとした食感が湖畔の食堂で定食や丼物として提供されています。榛名エリアのブランド鶏はるなうめそだちを使ったご当地グルメはるなコケッコーも、湖畔のカフェや食堂で味わえます。ほかにもイワナやヤマメ料理を得意とする魚籠屋、湖の景色を眺めながら食事ができる大蔵坊こばやし、創作パスタが人気の洋麺亭榛名店など、走った後に立ち寄りたい店が湖畔に点在しています。
榛名湖から足を延ばせば、石段街で知られる伊香保温泉や、日本三大うどんのひとつに数えられる水沢うどん街道もあります。水沢うどんは讃岐うどんや稲庭うどんと並ぶ日本三大うどんのひとつで、群馬県渋川市伊香保町水沢が発祥の地です。飛鳥時代に水澤寺の創建に関わった渡来僧が製法を伝えたのが起源とされ、天正4年(1576年)頃には湯治客や参拝者に地元産の小麦と水沢の湧水で打ったうどんが振る舞われるようになったのが始まりと伝わります。麺はやや細めでコシと弾力があり、透き通るような白さが特徴で、冷たいざるうどんとして出されることが多いです。水澤寺の門前には約1.5キロメートルにわたって水沢うどん街道と呼ばれる通りが続き、十数軒のうどん店が軒を連ねています。
汗を流すなら湖畔の温泉施設もおすすめです。榛名湖温泉ゆうすげ元湯は全客室から榛名湖を望める宿で、姉妹館のレークサイドゆうすげとともに、にごりのある豊富な湯量の温泉を大浴場でたたえています。合宿や大会参加で連泊する宿泊先としても利用しやすく、日帰り入浴に対応した施設もあります。宿泊費を抑えたい場合は、榛名湖オートキャンプ場やまゆみヶ丘バンガローといったキャンプ施設も選択肢になります。榛名湖オートキャンプ場にはAC電源付きを含む78のテントサイトと、大人4名対応のバンガローが6棟あり、まゆみヶ丘バンガローにも4.5畳や6畳のトイレ・水道付きコテージが用意されています。テント泊や車中泊の拠点にすれば、早朝の澄んだ空気の中で誰よりも早く走り始めることもできます。
走る際の持ち物と紫外線対策
榛名湖でのランニングを快適にするためのポイントをまとめます。標高が高く朝晩の気温差が大きいため、着脱しやすいウインドブレーカーやアームカバーなど体温を調整できるウェアを用意しておくと安心です。湖畔コースは観光地なので歩行者や観光客とすれ違う場面が多く、車道を走る区間では反射材やライトを携行して車からの視認性を高めておきたいところです。湖畔には自動販売機や売店がありますが、榛名富士周回コースなど山側のルートでは給水ポイントが限られる区間もあるため、季節や距離に応じて水分を携行してください。標高が高い場所は紫外線量が平地より多いといわれているため、日焼け止めやサングラス、帽子で対策しておくと長時間のトレーニングでも快適に走れます。
榛名湖の周回ランニングコースは涼しさと景観を両立させる高原スポット
榛名湖の周回ランニングコースは、湖畔をほぼフラットに1周する5.4キロメートルのコースと、榛名富士の裾野を巻くアップダウンのある7.8キロメートルのコースという2つの選択肢があり、目的やレベルに応じて走り分けられます。準高地トレーニングの場として大学陸上部や実業団の合宿地に長く利用されてきたほか、日本一標高の高い陸連公認コースを走る榛名湖マラソンの舞台にもなっています。
アクセスは高崎駅からのバス、または関越自動車道からの車が中心で、湖畔には無料駐車場も整備されているためマイカーでの訪問もしやすい場所です。春の新緑、夏の涼しさとユウスゲ、秋の紅葉、冬の結氷と、季節ごとに違う表情を見せる榛名湖は、走ることを楽しむランナーにも、グルメや温泉とセットで楽しみたい人にも向いています。標高特有の気温差や冬季の路面凍結、観光シーズンの交通量には注意しながら、自分のレベルに合ったコースで榛名湖のランニングを楽しんでください。








