岡山後楽園と岡山城の周辺では、旭川沿いを走る約5.7kmの周回コースが代表的なランニングルートです。JR岡山駅を起点にして後楽園の遊歩道を抜け、岡山城の外観を眺めながら駅前に戻ってくる構成で、40分から50分ほどで一周できます。もう少し距離を伸ばしたい人には、旭川から百間川へ続く往復21.4kmのロングコースも用意されています。日本三名園のひとつに数えられる後楽園と、黒い外壁が特徴の岡山城を眺めながら走れる立地は、全国的に見ても珍しいのではないでしょうか。この記事では、実際に走れる複数のランニングコースの距離やルート、後楽園と岡山城の開園時間・料金といった訪問前に押さえておきたい情報、そしてランニングのあとに立ち寄りたい周辺のグルメや観光スポットまで、まとめて紹介します。

岡山駅発着の周回コースは総距離5.7kmで観光とランニングを両立できる
岡山後楽園・岡山城周辺で最初に候補に挙がるのは、岡山駅を起点・終点とする周回コースです。総距離はおよそ5.7kmから5.75kmで、ゆっくりしたペースでも40分から50分ほどで一周できます。
ルートはJR岡山駅の西口から始まります。交番の横を通って線路沿いに進み、地下道を抜けてさらに北へ向かいます。立体交差を東に曲がり、国道53号線沿いを進んで後楽園方面へ入っていく流れです。坂道になっている新鶴見橋にさしかかると、旭川と岡山城を同時に見渡せる区間になります。橋を渡ってからは後楽園の河原側にある遊歩道を通り、岡山県庁前の県庁通りを経由して岡山駅前西口へ戻ってきます。
信号や横断歩道がいくつかある一方、川沿いに出るとまとまった距離を気持ちよく走れる区間もあり、緩急のあるコースです。出張や旅行で岡山に立ち寄った際、朝の短い時間でも後楽園と岡山城の両方を眺めながら走れるため、旅先でのランニングを楽しむ人たちからも支持されています。
短距離で済ませたいなら岡山プラザホテル周辺の3kmコース
もっと手軽に走りたい場合は、岡山プラザホテル南駐車場を起点とする約3kmのロードコースもあります。距離が短い分、ウォーミングアップやクールダウン、早朝や夜のちょっとした運動に向いています。ホテル滞在中のビジネスパーソンや観光客が、宿泊先周辺で気軽に体を動かしたいときに選びやすいコースです。
旭川・百間川ロングコースは往復21.4kmでペース走に向く
距離を伸ばして本格的なトレーニングをしたいなら、旭川から百間川へとつながるロングコースがおすすめです。旭川に架かる相生橋の下からスタートし、川沿いを3kmほど北上すると百間川に合流します。そこからさらに8kmほど百間川沿いを走ると、往復で21.4kmになります。
このコースは地形が平坦で信号がほとんどなく、500mごとに距離表示があります。ペース走やロング走のトレーニングに向いた条件がそろっているといえるでしょう。金色のシャチホコと黒い外壁が朝日に映える岡山城を眺めながら走れる区間もあり、地元ランナーの間でも評価が高いコースです。フルマラソンやハーフマラソンを目指すランナーが、距離走やペース走の場として利用しています。
旭川の河川敷そのものにも魅力があります。約1.3kmにわたって200本以上のソメイヨシノが並ぶ桜の名所で、春には花見客で賑わいますが、それ以外の季節も遊歩道が整備されており、日常的なジョギングコースとして地元の人に親しまれています。朝の時間帯には旭川沿いを走りながら岡山城を眺めるランナーの姿がよく見られ、観光地でありながら生活に根づいたランニングスポットになっている点も特徴です。
岡山市公認のランニングコースは総延長11kmで個人利用なら申請不要
岡山市が案内している旭川・百間川ランニングコースは、総延長約11kmにおよぶランニングとウォーキング専用のコースとして整備されています。3kmコースと10kmコースが設定されており、個人で利用する分には申請不要で無料です。団体でマラソン大会などのイベントとしてコースを利用する場合は、事前に岡山市のスポーツ振興課への届け出が必要になります。
専用コースとして市が管理・整備している点は、日常的なトレーニング拠点として選びやすい理由のひとつです。岡山市では市民参加型の都市型マラソン「おかやまマラソン」も毎年開催されており、シティライトスタジアムをスタートし、岡山県総合グラウンド陸上競技場をフィニッシュ地点とするコース設計になっています。コースは岡山市街の主要な通りや庭園、田園風景、旭川の水辺などを巡るように組まれており、普段から走っているランナーにとっては、大会本番のイメージトレーニングとして日ごろの練習コースが役立つはずです。
岡山後楽園の開園時間は季節で3パターン、入園料は大人500円
岡山後楽園の開園時間は季節によって3パターンに分かれ、入園料は大人500円です。江戸時代に岡山藩主・池田綱政が造営した大名庭園で、日本三名園(後楽園・兼六園・偕楽園)のひとつに数えられます。広大な芝生地や曲水、築山を配した回遊式庭園で、四季折々の景観が楽しめる庭として知られています。
開園時間は季節によって次の表のとおり変わります。
| 期間 | 開園時間 | 閉園時間 | 入園締め切り |
|---|---|---|---|
| 8月1日〜8月23日 | 7時30分 | 21時30分 | 21時 |
| 3月20日〜9月30日 | 7時30分 | 18時 | 17時45分 |
| 10月1日〜翌年3月19日 | 8時 | 17時 | 16時45分 |
ランニングの合間に立ち寄る場合、早朝の開園時間に合わせて訪れると、比較的空いた状態でゆったり庭園を楽しめます。
入園料は大人(15歳から64歳)が500円、シニア(65歳以上)が200円です。高校生以下は2027年3月31日まで無料になっています。後楽園と岡山城の共通券(大人800円)も用意されており、両方をまとめて観光したい場合はこちらのほうがお得です。
2026年は8月1日から23日にかけて、「夏の幻想庭園」と題した夜間特別開園が実施されました。ライトアップされた庭園を夜に楽しめる催しで、園内には多くの灯篭が並び、期間限定メニューを提供する飲食店もありました。日中のランニングとは違う雰囲気を味わいたい場合は、来年以降の開催時期を確認して時間帯を変えて再訪するのもよいでしょう。
後楽園で見逃せない延養亭・唯心山・千入の森
後楽園を訪れる際に立ち寄りたいスポットのひとつが「延養亭(えんようてい)」です。延養亭は後楽園の中で最初に建てられた建物で、歴代の藩主が静養したり賓客をもてなしたりする場、藩校の儒学者が講義を行う場として使われてきました。園内で最も眺望に優れた建物とされ、沢の池や唯心山、遠く操山にある安住院多宝塔までを一望できます。
園内中央に位置する唯心山(ゆいしんざん)も見逃せません。この築山を登ると後楽園の全景を見渡せ、季節ごとに移り変わる庭園の風景を楽しめます。ランニングの合間に立ち寄って一望すれば、走ってきた旭川沿いの景色との対比も楽しめるでしょう。
季節の花としては、6月上旬ごろに見頃を迎える花菖蒲園のハナショウブ、春に咲き誇るソメイヨシノの桜林、秋の紅葉スポット「千入(ちしお)の森」が代表的です。千入とは幾度も染めるという意味で、日ごとに色を深めていく紅葉の様子を表しており、約300年前の築庭当時から親しまれてきた呼び名だそうです。唯心山や花葉の池周辺の紅葉も見応えがあり、季節を変えて何度も訪れたくなる庭園といえます。
岡山城天守閣は2022年11月のリニューアルで忍者体験型の展示に生まれ変わった
岡山城天守閣は令和4年(2022年)11月3日に「令和の大改修」を経てリニューアルオープンし、忍者体験型の展示を備えた城として生まれ変わりました。「烏城(うじょう)」の異名を持つ、黒漆塗りの下見板張りが特徴的な城郭で、豊臣政権の五大老のひとりだった宇喜多秀家が築城したことで知られています。天守閣は太平洋戦争の空襲で焼失しましたが、昭和41年(1966年)に再建されました。
天守閣は2021年6月に一度閉館し、約1年半をかけた改修工事が行われました。改修にあたって外観を黒く塗り直し、内部の展示内容は歴史学者の磯田道史氏が監修を務め、内容が刷新されています。地下1階・地上6階からなる城内では、岡山の歴史がわかりやすく紹介されています。
特に注目したいのが、忍者にまつわるクイズを解いたあとに城へ侵入するゲームに挑戦できるデジタル型の展示です。カメラ機能を使い、忍者の格好に「顔ハメ」した状態でプレイできる体験型コンテンツになっており、子ども連れの観光客にも人気があります。1階にはカフェスペースがあり、併設の烏城カフェではドリンクやスイーツも楽しめます。ランニングで汗を流したあと、天守閣内の展示を見学しつつカフェで一息つく組み合わせもおすすめです。
開館時間は9時から17時30分まで(入館は17時まで)で、年末の12月29日から31日は休業します。入場料は2026年4月1日に改定されました。最新の料金は公式サイトで確認するのが確実です。天守閣からは岡山市街や旭川、後楽園を一望できる展望も魅力のひとつで、ランニングの途中や後に立ち寄って景色を楽しむのもおすすめです。
岡山城の御城印はランニングの立ち寄り記念にちょうどよい
岡山城内の売店では御城印(ごじょういん)も販売されています。御城印は全国の城を訪れた記念として頒布される、御朱印のような形式の記念品で、城の名前や城主の家紋、花押がデザインされています。岡山城の御城印は淡黄色の台紙に「登城記念」「岡山城」の文字と日付が記され、中央には緑色の剣片喰(けんかたばみ)の家紋、四隅には赤色の家紋があしらわれた基本デザインです。天守閣リニューアルオープンを記念した限定版や、アニメ作品とのコラボ版、手書き版など、これまでに数多くの種類が頒布されてきました。ランニングの折り返し地点や終着点として岡山城に立ち寄り、記念に御城印を手に入れるのも、このエリアならではの楽しみ方です。
岡山駅からのアクセスは電車で城下駅まで8分、駐車場は570台収容
岡山駅から後楽園・岡山城エリアへは、公共交通機関を使う場合、岡山電気軌道東山線に乗って終点の城下駅まで約8分、そこから岡山城を目印に徒歩約8分で後楽園に到着します。タクシーを利用する場合はJR岡山駅から約10分、距離にして約1.8kmです。このアクセスの良さも、ランニングの起点として岡山駅を選びやすい理由のひとつになっています。
車で訪れる場合、後楽園には約570台収容できる有料駐車場が完備されています。後楽園まで徒歩5分、岡山城までは徒歩約10分の位置にある駐車場も利用できます。山陽自動車道の岡山ICからは車で約20分です。遠方から車で訪れてランニングを楽しみたい場合も、駐車場を起点にコースを組み立てやすい環境が整っています。
ランニングにおすすめの時間帯は観光客の少ない早朝
おすすめの時間帯は早朝です。観光客が少なく、朝日を浴びた岡山城の外壁や旭川の水面が美しく見える時間帯で、多くのランナーがこの時間帯を選んでいます。夏場は日中の気温上昇が厳しいため、熱中症対策として早朝や日没後のランニングを検討するとよいでしょう。冬場は防寒対策をしたうえで、澄んだ空気の中でのランニングを楽しめます。
岡山後楽園・岡山城周辺は観光地なので、日中は観光客で賑わい、歩行者との接触に注意が必要な区間もあります。特に後楽園の園内や城周辺の歩道は、写真撮影で立ち止まっている観光客が多いため、スピードを落として周囲に配慮しながら走ることが望ましいです。旭川や百間川の河川敷は道幅が広く信号も少ないため、まとまった距離をペースを上げて走りたい場合に向いています。
走った後に立ち寄りたい出石町のカフェと碧水園のテラス
ランニングのあとに立ち寄りたいスポットとして、後楽園の門前町にあたる出石町(いずしまち)があります。戦前から続く古い建物が数多く残るエリアで、近年はカフェや雑貨店も増えており、町歩きを楽しむのにぴったりの場所です。汗を流したあとにゆっくり散策すれば、城下町ならではの風情を味わえます。
岡山城・後楽園に隣接するカフェ「碧水園」では、旭川や岡山城を望むテラス席でカフェタイムを過ごせるほか、開放的なレストランでの食事、ボートでの川下りも楽しめます。ランニングの締めくくりに景色を眺めながら一休みするのにおすすめのスポットです。ホテルグランヴィア岡山のロビーラウンジでは季節替わりのフルーツを使ったパフェやスイーツが味わえ、19階の鉄板焼き店では岡山県産ブランド牛の千屋牛を楽しめます。ランニング後のご褒美グルメにも事欠きません。
夏には、後楽園の「夏の幻想庭園」と岡山城の「夏の烏城灯源郷」という夜間ライトアップイベントが例年1か月ほどにわたって開催されています。日中のランニングとは違う雰囲気を味わいたい場合は、開催時期を確認したうえで時間帯を変えて再訪するのもおすすめです。
岡山駅前は待ち合わせやスタート地点として使いやすい
岡山駅前は改札を出てすぐの場所に広場があり、ランニング仲間との待ち合わせやコースのスタート地点として使いやすい場所です。周辺にはコンビニエンスストアや飲食店も多く、走る前の準備や走り終えたあとの補給に困ることはあまりありません。旅行や出張のスケジュールに合わせて、朝食前のひと走りに組み込みやすい立地だといえます。
コースの途中にある信号や交差点は、朝早い時間帯であれば車の通行も少なく、スムーズに走り抜けられることが多いです。日中に走る場合は、横断歩道の待ち時間を見込んでペース配分を考えておくと、想定より遅れて到着することを防げます。岡山駅から後楽園・岡山城までの道のりは平坦な区間が多く、坂道は新鶴見橋の周辺に集中しているため、そこだけペースが落ちても焦る必要はありません。
ランニング後のご褒美として、岡山ならではの土産物を探すのも楽しみのひとつです。後楽園や岡山城の周辺には土産物店が点在しており、岡山県産の果物を使った菓子など、地元らしい品ぞろえを見て回れます。走った直後に立ち寄れば、汗を流した達成感とあわせて旅の記念を持ち帰れます。
初めて走るなら混雑と気温を避ける工夫をしておきたい
岡山後楽園・岡山城周辺のコースは観光地を通るため、桜や紅葉のシーズン、夏の夜間ライトアップの期間は特に人出が増えます。土日や祝日の日中に走る場合は、あらかじめ混雑を見込んでペースを落とし、写真撮影中の観光客を追い越すときは声をかけるかスピードを落とすといった配慮をしておくと走りやすくなります。
夏場の岡山は日中の気温がかなり上がる日が続きます。水分補給用のボトルを携行するか、コース途中のコンビニエンスストアや公園の水飲み場を事前に確認しておくと安心です。冬場は空気が乾燥して澄んでいる反面、朝晩は冷え込むため、手袋やアームカバーで体温調整をしながら走るランナーが多いようです。初めて岡山後楽園・岡山城周辺を走る場合は、まず岡山駅発着の5.7kmコースで土地勘をつかんでから、旭川・百間川のロングコースに挑戦する順番がおすすめです。
コース選びは距離とタイムを比較すると分かりやすい
代表的なコースを距離と特徴で整理すると、次のようになります。
| コース | 距離 | 目安タイム | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 岡山駅発着の周回コース | 約5.7km | 40〜50分 | 観光とランニングを両立させたい人 |
| 旭川・百間川ロングコース | 往復21.4km | 2時間前後 | 本格的な距離走やペース走をしたい人 |
| 岡山プラザホテル周辺コース | 約3km | 15〜20分 | ウォーミングアップや軽い運動をしたい人 |
日本三名園のひとつである後楽園と、リニューアルを経た岡山城、そして旭川の水辺という異なる魅力が近接しているエリアなので、体力やスケジュールに応じてコースを選べます。後楽園や岡山城の開園・開館時間、料金、アクセス情報を事前に押さえておけば、ランニングと観光を無理なく組み合わせて楽しめるはずです。
初めて訪れる人はまず岡山駅発着の5.7kmコースを選び、次回以降に旭川・百間川のロングコースや3kmの短距離コースを試すと、体力やその日の予定に合わせてコースを使い分けられるようになります。岡山後楽園と岡山城という二つの名所を軸に、旭川の水辺と城下町の街並みまで一度に楽しめる立地は、他の都市ではなかなか見つかりません。走ることを目的にした旅行先としても、観光のついでに体を動かしたい人にとっても、選択肢の幅が広いエリアといえます。
走る前後の時間配分を考えるときは、後楽園や岡山城の開園・開館時間と、自分が走りたい時間帯を照らし合わせておくと当日の動きがスムーズになります。早朝にランニングだけを済ませて日中は観光にあてる、あるいは夕方に走ってからライトアップの時間帯に合わせて再訪するなど、組み合わせ方は人それぞれです。事前に距離とタイムの目安を把握しておけば、限られた滞在時間の中でも無理なくコースを選べるはずです。








