徳島中央公園の城山周回コースは、標高61メートルの城山をひと回りする外周約1.7キロメートルのランニングコースです。JR徳島駅から徒歩5分から10分という近さにあり、園内には国指定史跡の徳島城跡や阿波青石の石垣が今も残っています。外周部分はほぼ平坦で走りやすく、城山内部の遊歩道を使えば坂道トレーニングも組み合わせられるため、ジョギング初心者から本格的に走り込みたい市民ランナーまで幅広く利用されています。この記事では、徳島中央公園と徳島城跡の成り立ちから、城山周回コースの具体的なルート、アクセスや駐車場の情報、そして桜や紅葉といった季節ごとの楽しみ方まで、実際に走る前に知っておきたい情報をまとめて紹介します。

新町川と助任川に挟まれた19.4ヘクタールの総合公園
徳島中央公園は、徳島市の中心部を流れる新町川と助任川という二つの川に挟まれた、中州のような地形に位置する総合公園です。園内には標高61メートルの城山がそびえ、かつては徳島城の本丸や天守が置かれていた高台となっています。公園全体の面積はおよそ19.4ヘクタールにおよび、原生林の茂る城山や往時の姿をとどめる石垣、国指定名勝の庭園、復元された鷲の門など、歴史的な遺構と緑豊かな自然が一つのエリアに同居しています。
公園としての開園は1906年(明治39年)にさかのぼります。旧徳島藩主蜂須賀家の居城であった徳島城の跡地を整備する形で誕生し、以来100年以上にわたって徳島市民の散策やスポーツ、花見の場として使われ続けてきました。2006年1月26日には徳島城跡が国の史跡に指定され、歴史的な価値の高さがあらためて公的に認められています。
蜂須賀家政が1586年に渭津城を改修して徳島城を築いた
城山という名前の由来にはいくつかの説が伝わっています。山の形がイノシシに似ていることから「猪の山」と呼ばれたという説や、地勢が中国の渭水の風景に似ていたことから「渭津」と名付けられたという説があるようです。この地に最初に城が築かれたのは南北朝時代で、室町幕府の管領だった細川頼之が築城したのが始まりとされています。その後、城の支配は細川氏から三好氏、さらに長宗我部氏へと移り変わりました。
徳島城の歴史は、豊臣秀吉による四国征伐と深く関わっています。1585年(天正13年)、秀吉の四国平定に功があったとして、蜂須賀家政は阿波国を与えられました。翌1586年(天正14年)、家政は中世から存在していた渭津城を大規模に改修し、一宮城から本拠を移す形で徳島城を築城します。阿波国統治の中心地として整備されたこの城が、現在の徳島市の街の礎になったといわれています。
蜂須賀家政の治世下では、藍や塩といった新しい産業が阿波国に導入され、地域経済の発展に大きく寄与しました。徳島の夏の風物詩として全国に知られる阿波おどりも、家政の時代に始まったという説が伝わっています。以後、徳島城は明治維新に至るまで蜂須賀家歴代の居城として機能し続けました。
鷲の門は徳島大空襲で焼失し、1989年の市制100周年で再建された
鷲の門という珍しい名前にも由来があります。江戸時代、蜂須賀光隆の治世(1652年から1666年頃)には城の修復や増改築が幕府によって厳しく制限されていましたが、光隆は「鷲を飼うための通用門」として幕府に届け出て許可を得たため、この門は鷲の門と呼ばれるようになったと伝わっています。実際に鷲が飼育されていたかどうかは定かではないものの、江戸時代初期にはすでに建てられていたとする説が有力とされているようです。
この鷲の門は、1945年7月4日の徳島大空襲によって焼失してしまいます。明治に入り廃城令によって城郭建築の多くが失われた跡地は、その後公園として整備され市民に開放されました。1989年(平成元年)には、市制100周年を記念して市民からの寄付をもとに鷲の門が再建されています。同じ時期には数寄屋橋の再建や徳島城博物館の開館も進み、歴史的景観の復元と観光・文化施設としての充実が図られてきました。現在の公園内には蜂須賀家政の銅像も建立されており、この地に阿波の礎を築いた藩祖の姿を偲ぶことができます。
城山周回コースの合間に立ち寄れる見どころも豊富にある
ランニングの合間や前後に立ち寄りたい見どころも、この公園には豊富にあります。
徳島城博物館は御殿跡に立つ入館料一般300円の資料館
徳島市立徳島城博物館は、江戸時代に藩主が政務を執った徳島城の御殿跡に立地する博物館です。徳島藩と藩主蜂須賀家に関する歴史資料や美術資料を収集、保存、展示しています。館内には旧徳島城表御殿の精巧な復元模型のほか、現存する最古の和船とされる徳島藩御座船「千秋丸」の関連資料など、徳島藩水軍にまつわる貴重な資料も展示されています。
開館時間は9時30分から17時まで(入館は16時30分まで)、休館日は毎週月曜日(月曜が祝日の場合は翌平日)と年末年始(12月28日から1月4日)です。常設展の入館料は一般300円、高校・大学生200円、中学生以下は無料となっています。城山周回コースを走る前後に立ち寄れば、徳島城と蜂須賀家の歴史をより深く知ることができます。
阿波青石の野面積み石垣と、本丸を持たなかった代用天守
徳島城といえば、独特の青みを帯びた石垣も見逃せない見どころです。城山の石垣には「阿波青石」と呼ばれる緑泥片岩が用いられており、板状に割れやすい性質を活かした野面積みの石垣が独特の景観を作り出しています。鈍い光沢を放つ青灰色の石垣は徳島城ならではの個性で、走りながらでもその色合いに気づくランナーは少なくないでしょう。
なお、徳島城は本丸ではなく一段低い東二の丸に3重3階の代用天守が建てられていたという珍しい構造を持つ城でもありました。天守はすでに失われ、現在は石垣のみが往時の姿を伝えていますが、その石垣が城山周回コースに歴史の重みを添えています。
上田宗箇が作庭した千秋閣庭園と、旧寺島川沿いに残る舌石
博物館に隣接するのが、旧徳島城表御殿庭園(千秋閣庭園)です。江戸時代初期に武将であり茶人でもあった上田宗箇によって作庭された桃山様式の庭園で、国の名勝に指定されています。石組みや池を巧みに配した造形美は、城跡散策のハイライトの一つといえるでしょう。
このほか、市制100周年事業で復元された鷲の門、木橋に架け替えられた数寄屋橋、城山の中腹に残る石垣群、四季折々の花を楽しめるバラ園や菖蒲園、蒸気機関車の展示場、テニスコートなど、公園内の施設は多岐にわたります。
見逃されがちですが、旧寺島川沿いに残る「舌石(したいし)」も貴重な遺構です。これは屏風折塀と呼ばれる、堀川側に突き出す形で折り曲げられた塀を支えるための石で、折れ曲がった塀に鉄砲や矢を放つための穴を設けることで、正面だけでなく側面方向への攻撃も可能にする防御施設でした。徳島城跡には約32メートル間隔で6個の舌石が現存しており、全国的に見ても類例の少ない遺構とされています。
城山貝塚とSL展示場が伝える、城の時代より古い記憶
城山のふもとに位置する城山貝塚は、今からおよそ4000年から2300年前の縄文時代のものと推定される遺跡です。ハマグリやカキなどの貝殻とともに、大量の縄文土器が発掘されています。城山周回コースの一部はこの貝塚周辺を通過するため、走ること自体が徳島城の時代よりさらに古い、縄文時代の人々の暮らしの痕跡の上をたどることにもなります。
公園内のSL展示場には、8620型蒸気機関車が実機で展示されており、再現された昔ながらの駅舎とともに機関室を間近で見学できます。この8620型は大正12年(1923年)から徳島県内を走り、「汽車ポッポ」の愛称で長年地元住民に親しまれてきましたが、昭和44年(1969年)7月22日にその運行を終えました。周回コースの休憩がてら立ち寄ってみるのもおすすめです。
約50種400株のバラ園は春と秋の年2回、見頃を迎える
バラ園には、約330平方メートルの花壇に、ニューカリーナやアマツオトメ、チャールストンといった品種を含む約50種、約400株のバラが植栽されています。見頃は春が5月中旬から6月初旬、秋が10月上旬から10月下旬の年2回です。春バラと秋バラそれぞれの時期に城山周回コースを走ると、色とりどりのバラの香りに包まれながらのランニングを楽しめます。
城山周回コースは外周1.7キロメートルの平坦なルート
徳島中央公園のランニングコースとして最も有名なのが、城山の外周をぐるりと回る城山周回コースです。城山の外周距離は約1.7キロメートルで、道幅も広く整備されているため走りやすくなっています。
具体的なルートとしては、スタート地点となる体育館前に設置されたランニング案内板でコースを確認したのち、隣接する小学校の敷地を左回りに半周し、子供向けの遊具施設やテニスコートの脇を抜けて、川べりの道を進みます。その後、バラ園、城山貝塚、徳島城博物館の周辺を経由し、道なりに体育館へと戻ってくるのが基本的な周回ルートです。景観の変化に富んでいて、走りながら公園の見どころを一通り眺められる構成になっています。トリップアドバイザーの利用者の声にも「ランニングコースになっている」「ランナーや散歩している人がたくさんいます」といった評判が寄せられており、日常的に多くの人が利用していることがうかがえます。
城山内部の坂道を使えば、標高差61メートルのトレーニングもできる
コース全体としては、外周部分はほぼ平坦で走りやすい一方、城山そのものは標高61メートルの高低差を持つため、城山内部の遊歩道を利用すれば坂道トレーニングを取り入れることも可能です。平坦な周回でスピードを維持した走り込みをしたい日と、坂道で心肺機能や脚力を鍛えたい日とで使い分けられる懐の深さが、徳島の市民ランナーに長く定番の練習コースとして選ばれ続けている理由といえます。
JR徳島駅から徒歩5分、駐車場は時間帯によって利用時間が異なる
ランニングコースへのアクセスは良好です。電車を利用する場合、JR徳島駅から徒歩でおよそ5分から10分程度で公園に到着します。県外からのランナーが出張や旅行のついでに立ち寄って走ることも十分できる立地です。車を利用する場合は、徳島インターチェンジから国道11号経由でおよそ10分ほどの距離になります。
駐車場も複数整備されています。利用時間は次のとおりです。
| 駐車場 | 期間・曜日 | 利用時間 |
|---|---|---|
| 東側駐車場 | 4月1日から9月30日 | 午前8時30分から午後9時まで |
| 東側駐車場 | 10月1日から3月31日 | 午前8時30分から午後6時まで |
| 西側・南側駐車場 | 平日 | 午前8時から午後10時まで |
| 西側・南側駐車場 | 土曜・日曜・祝日 | 午前7時30分から午後10時まで |
時間帯によって利用可能時間が異なるため、早朝ランや夜ランを予定している場合は事前に確認しておくと安心です。
トイレは公園内に5カ所設置されており、多目的トイレも完備されています。長時間の練習や複数周回するランナーにとっても、こまめに休憩を取りやすい環境が整っている点は心強いところです。着替えなどの荷物を預けたい場合は、公園に隣接するJR徳島駅の地下1階にコインロッカーが用意されているため、電車で訪れるランナーはそちらを活用すると身軽にコースを走れます。
桜の見頃はソメイヨシノが3月下旬から4月上旬、蜂須賀桜が2月中旬から
徳島中央公園は、ランニングスポットであると同時に、徳島市内でも屈指の桜の名所として知られています。園内にはソメイヨシノが約250本植えられているほか、しだれ桜や蜂須賀桜など多彩な品種が植栽されており、長期間にわたって花見を楽しめます。ソメイヨシノの見頃は例年3月下旬から4月上旬にかけて、蜂須賀桜はそれよりやや早い3月上旬から中旬が見頃の目安です。
中でも蜂須賀桜は特別な由来を持つ品種です。もともと江戸時代には徳島城の御殿内にあった桜で、幕末の最後の徳島藩主・蜂須賀茂韶が重臣の原田家に託し、大切に育て継がれてきたと伝えられています。ヤマザクラと沖縄系のカンヒザクラの交雑種であるカンザクラの一種とされ、ソメイヨシノよりも一足早い2月中旬頃から淡い紅色の花を咲かせ始め、約1ヶ月にわたって花を楽しめるのが特徴です。公園北側を流れる助任川沿いには蜂須賀桜並木が整備されており、3月上旬にはソメイヨシノに先駆けて開花します。城山周回コースを走る時期をずらせば、2月から4月上旬まで長期間、種類の異なる桜のリレーを楽しみながら走ることができるというわけです。
見頃の時期には夜間ライトアップも実施されます。ライトアップは例年桜の見頃に合わせて3月下旬から4月上旬ごろまで、毎日午後6時から午後10時まで行われ、お堀や鷲の門などが幻想的に照らし出されます。徳島城博物館の南側は特に人気の撮影・観賞スポットとされています。桜のシーズンに城山周回コースを走れば、満開の桜がお城跡を囲むように咲き誇る景色を眺めながらの花見ランを楽しめます。
桜だけでなく、初夏にはツツジ、そして初夏から秋にかけてはバラ園のバラが見頃を迎えます。四季を通じて表情を変える植栽が、同じコースを走っていても飽きさせない魅力になっている点も、この城山周回コースが長年市民ランナーに親しまれている理由の一つです。
紅葉の見頃は11月下旬から12月上旬で、観光客より地元利用者が中心
徳島中央公園は桜の名所として知られる一方、秋には紅葉スポットとしての顔も見せます。紅葉が最も色づくのは例年11月下旬から12月上旬にかけてで、他県の有名な紅葉名所ほどの混雑にはならない傾向があります。地元住民が日常的に利用する公園という性格が強いため、紅葉シーズンのピークとなる週末や祝日を除けば、比較的ゆったりと城山周回コースを走ったり散策したりできます。観光客よりも散歩やジョギングをする地元の利用者が中心であることも、静かに走りたいランナーにとっては嬉しいポイントです。
公園は城山ゾーンなど5つの区分からなり、周回コースはその全てをまたぐ
徳島中央公園は、単なる城跡公園ではなく、明確なゾーニングがなされた総合公園として設計されています。園内は大きく分けて、天守跡や石垣が残る城山ゾーン、旧徳島城表御殿庭園などが広がる旧徳島公園ゾーン、テニスコートなどを備えるスポーツゾーン、市民が休息できる休養ゾーン、そして新町川・助任川沿いの水辺景観を活かした河岸ゾーンの5つの区分から構成されています。城山周回コースは、この5つのゾーンをまたぐように設定されているため、走りながら歴史エリア、庭園エリア、水辺エリアと表情の異なる景色を次々に楽しめる構成になっています。ランニングだけでなく散策や写真撮影を兼ねて訪れる人が多いのも、こうした多層的な公園構成が理由ではないでしょうか。
エフエム徳島42.195kmリレーマラソンは1周1500メートルを走り継ぐ大会
徳島中央公園は、日常的な練習コースとしてだけでなく、実際に大会会場としても使われています。その代表例が「エフエム徳島42.195kmリレーマラソンin徳島中央公園」です。一般社団法人42.195kmリレーマラソン協会中・西日本の主催、エフエム徳島の共催、地元企業の特別協賛により開催されるこの大会は、1周1500メートルの城山周回コースを何周も走り継ぎ、チームでフルマラソン相当の42.195キロメートルを完走するリレー形式のレースです。
参加資格は独力で1周1500メートルを完走できることとされ、一般部門・女子部門・男女混合部門・小学生部門など幅広い部門が設けられているほか、近年は個人でも参加しやすいブッキング部門も用意されています。参加料は大人3,100円、小学生以下1,600円程度で、参加者には記念Tシャツと完走証が贈られます。普段何気なく走っている城山周回コースが、年に一度は市民参加型の本格的なリレーマラソンの舞台になるというのも、このコースならではの魅力です。
とくしまマラソンは徳島中央公園を通らない、県内最大のフルマラソン
徳島県内で最も規模の大きいランニングイベントとしては、例年4月下旬頃に開催される「とくしまマラソン」があります。こちらは徳島県庁前を起点に吉野川大橋を渡り、吉野川沿いを走って西条大橋で折り返す42.195キロメートルのフルマラソンです。徳島中央公園を通るコースではないものの、四国最大級のフルマラソン大会として毎回1万人を超えるランナーが参加し、徳島全体のランニング熱の高さを象徴する存在になっています。城山周回コースで日々練習を積んだ地元ランナーの中には、こうした大会本番に向けて調整を重ねている人も少なくないかもしれません。
初心者は距離を伸ばす練習に、経験者は坂道と組み合わせた練習に向く
徳島中央公園の城山周回コースは、外周1.7キロメートルというコンパクトながら走りやすい周回距離があり、初心者でも無理なく複数周回して距離を伸ばすトレーニングがしやすいコースです。外周部分は平坦、城山内部には坂道があるという地形の使い分けにより、目的に応じた練習メニューを一つのエリアで完結できます。JR徳島駅から徒歩5分から10分という近さもあり、日常的な練習拠点としてはもちろん、旅行や出張の合間に体を動かす時間としても活用しやすいでしょう。徳島城跡や表御殿庭園、徳島城博物館、鷲の門といった歴史的遺構、そしてバラ園や桜並木といった四季折々の自然景観が同居しているため、走ること自体を目的にしても、観光や散策の延長で軽く走ってみても楽しめる懐の広さがあります。
早朝の澄んだ空気の中を石垣沿いに走るのもよいですし、桜が満開の季節にライトアップされた夜のお堀端をゆっくりジョギングするのもよいでしょう。徳島中央公園の城山周回コースは、歴史と自然、そして市民の日常的な健康づくりが結びついた、徳島を代表するランニングスポットです。徳島を訪れる機会があれば、ランニングシューズを一足持参して、この城山周回コースを実際に走ってみることをおすすめします。








