小樽運河から旧手宮線跡地まで歩く散策路とランニングコース

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小樽運河から旧手宮線跡地までは、徒歩でおよそ数分の距離でつながっており、あわせて2キロメートルを超える散策路とランニングコースになります。石畳の運河沿いと、北海道で最初に鉄道が走った廃線跡を一度に歩けるため、観光と運動の両方を楽しみたい人に向いています。運河は端から端まで約1,140メートル、旧手宮線跡地は約1.6キロメートルあり、組み合わせると往復5キロメートル前後の手頃なコースが組めますし、周辺の海沿いまで延ばせば10キロメートルを超える本格的なランニングコースにもなります。この記事では、小樽運河と旧手宮線跡地のルート、距離、アクセス、そして季節ごとの楽しみ方を紹介します。

目次

小樽運河の散策路は石畳が続く全長1140メートル

小樽運河は全長約1,140メートルで、ゆっくり歩いても20分程度、ひととおり見て回るだけなら30分あれば十分です。もともとは大正から昭和初期にかけて小樽港の物流を支えるために造られた運河で、沖合の艀から荷物を積み下ろしするための港湾施設でした。石造りの倉庫群が運河沿いに立ち並んでいるのは、当時の物流拠点としての名残です。

運河周辺の一帯は、明治から大正期にかけて中央の金融機関が次々と進出したことから「北のウォール街」とも呼ばれていました。大正時代末期には小樽に20か所ほどの銀行があり、札幌の10か所、函館の16か所と比べても道内最大の銀行街だったといいます。重厚な石造りやレンガ造りの建物が並ぶ街並みは、この時代の繁栄をいまに伝えるものです。その後、ニシンの漁獲量減少や物流の変化、エネルギーの主軸が石炭から石油へ移ったことなどが重なり、かつての賑わいは徐々に落ち着いていきましたが、歴史的建造物の多くは保存され、観光施設として活用されています。

昭和後期には埋め立てが検討されたこともありましたが、市民による保存運動が起こり、運河の半分を埋め立てて散策路を整備するという形で現在の姿になりました。石畳の道とガス灯、倉庫群が織りなす景観は、保存運動の結果として残されたものです。運河沿いは平坦で歩きやすく、ランニングにも向いた路面といえます。

小樽運河クルーズで水上からも楽しめる

運河沿いには小樽運河クルーズの乗り場があり、所要時間40分の船旅では陸上から見るのとは違った運河の表情を味わえます。日没前に出発するデイクルーズでは倉庫群や歴史的建造物をじっくり眺められますし、日没後のナイトクルーズではガス灯や周辺の明かりが水面に映り込む景色が広がります。夜の小樽運河は北海道を代表する夜景スポットのひとつにも数えられており、冬季には運河沿いにキャンドルを並べる「小樽雪あかりの路」というイベントが開催されることもあります。

旧手宮線跡地は北海道で最初に開通した鉄道の廃線跡

旧手宮線跡地は約1.6キロメートルの遊歩道で、入場料はかかりません。小樽運河からは徒歩5分ほどで到着します。もとになった旧国鉄手宮線は1880年に開通した官営幌内鉄道の一部で、北海道で最初に開通した鉄道でした。幌内、現在の三笠市で採掘された石炭を小樽港まで運ぶために建設された路線で、手宮と札幌を結ぶ区間として整備され、そこから道内各地へ鉄道網が広がっていく起点にもなりました。

1985年に廃線となったあとも線路は撤去されず、遊歩道として整備されて現在に至ります。線路や踏切、遮断機といった当時の設備がそのまま残されており、2018年には北海道遺産「小樽の鉄道遺産」の一部に選定されました。寿司屋通り周辺から小樽市総合博物館方面まで続いており、観光客の合間を歩く小樽運河よりも人が少なく、静かに歩ける区間が多いのが特徴です。

北海道遺産は、次の世代へ引き継ぎたい有形・無形の財産の中から、北海道民全体の宝物として選ばれる制度です。行政と民間団体が協働する形で選定が進められており、2001年の第1回選定を皮切りに、これまで数回にわたって選定が行われてきました。単に古い建物や史跡を指定するだけでなく、ストーリー、担い手、活用方法という視点を重視しているのが特徴で、旧手宮線跡地を含む「小樽の鉄道遺産」も、こうした枠組みのもとで2018年に選ばれています。

線路や踏切がそのまま残るフォトスポット

旧手宮線跡地では、線路や枕木、踏切の遮断機が当時の姿で保存されており、線路の上に立って写真を撮る人の姿もよく見られます。廃線跡ならではの独特な雰囲気は、小樽運河の観光的な賑わいとはまた違う魅力になっています。

こうした廃線跡を遊歩道やサイクリングロードとして整備し直す取り組みは、全国各地でも見られる動きです。旧手宮線跡地は、その中でも線路と踏切をほぼそのままの姿で市街地に残している点が特徴的といえるでしょう。

散策路の途中には日本銀行旧小樽支店金融資料館があります。建物は小樽市指定有形文化財で、1909年7月に着工し1912年7月に竣工しました。設計は辰野金吾と長野宇平治が手がけており、辰野金吾は日本銀行本店本館や東京駅丸ノ内本屋も設計した建築家です。ロビー周辺には岐阜県赤坂産の大理石が使われていて、よく見ると化石が入っている箇所もあるそうです。営業フロアは床から天井まで約10.5メートルあり、煉瓦の壁と鉄骨で屋根を支える構造のため、柱のない広い吹き抜け空間になっています。金庫室では模擬の1億円を持ち上げて重さを体験できるコーナーもあり、毎日14時と15時には職員によるガイドツアーも行われています。入館料は無料で、夏季(4月から11月)は9時30分から17時まで、冬季(12月から3月)は10時から17時まで開いており、水曜日と年末年始が休館日です。

旧手宮線跡地の終点付近には小樽市総合博物館もあります。北海道の鉄道発祥の地とされる手宮に位置し、50両もの鉄道車両が保存・展示されている国内でも有数の鉄道博物館です。4月末から10月中旬にかけては、1909年にアメリカで製造された蒸気機関車アイアンホース号が屋外で運行しており、体験乗車もできます。園内には重要文化財の旧手宮鉄道施設があり、転車台や機関車庫三号など鉄道創成期の施設を間近で見学できます。入館料は一般400円(冬期300円)、高校生と市内在住70歳以上は200円(冬期150円)、中学生以下は無料です。

さらに近くには手宮公園があり、園内の手宮緑化植物園とあわせて小樽を代表する桜の名所になっています。高台にあるため、頂上からは小樽の市街地や港を一望できます。

ランニングコースとしては旧手宮線跡地が観光客の少ない穴場

小樽運河沿いは石畳が整備されていて平坦なので、景観を楽しみながら軽く走るにはちょうどよいコースです。一方の旧手宮線跡地は小樽運河ほど観光客が多くないため、ランナーの間では穴場コースとして知られています。線路跡を利用した遊歩道は道幅も適度にあり、落ち着いた環境で走りたい人には向いているでしょう。

実際に走る人が多いのは、小樽運河から寿司屋通りを経由し、旧手宮線跡地を通って小樽市総合博物館方面まで抜けるルートです。このルートを港方面や海沿いまで延長すれば、往復で10キロメートルを超えるコースにもなります。早朝ランニングで小樽運河、旧手宮線跡地、小樽市総合博物館、海岸線までを一周する11キロメートルほどのコースを走ったという記録も見られました。距離を自分の体力や目的にあわせて調整しやすいのは、このエリアで走る大きな利点です。

短時間で済ませたい場合は、小樽運河の1,140メートルと旧手宮線跡地の1.6キロメートルを往復するだけでも、5キロメートル前後のちょうどよいコースになります。観光名所を巡りながら体を動かせるので、旅行中に運動不足が気になる人や、早朝のリフレッシュランを楽しみたい人にも使いやすいコースです。仕事や日常の忙しさから離れて体を動かすと気分が晴れるという声もよく聞かれますし、観光を兼ねて走れるコースは、普段あまり運動をしない人にとっても取り入れやすい選択肢になりそうです。

「おたる運河ロードレース大会」は30回を超える歴史を持つ大会

小樽運河周辺では実際にランニング大会も開催されています。「おたる運河ロードレース大会」は初夏に開催される大会で、小樽運河を中心に歴史的建造物が並ぶ市街地や港のすぐそばを走るコースになっており、色内ふ頭公園を発着点にしています。すでに30回を超える歴史があり、地元だけでなく道外から参加するランナーも少なくありません。大会に出なくても、開催時期の運河周辺は普段と違う賑わいを見せるので、旅行の時期をあわせて雰囲気だけ味わうのもよいかもしれません。

ランニング時に注意したいのは線路部分の段差と冬の凍結

旧手宮線跡地は線路や踏切の遮断機がそのまま残っているため、足元には注意が必要です。線路部分は舗装された遊歩道と段差がある箇所もあるので、スピードを出しすぎず、観光客とすれ違うことを前提に走ることをおすすめします。写真を撮っている人も多いので、マナーを意識した走り方が求められます。

小樽運河周辺は石畳の道が多く、雨の日や冬季の積雪・凍結時には滑りやすくなります。北海道の冬は路面が凍結しやすいため、冬場に走る場合は滑りにくいシューズを選ぶなど、装備面での準備をしておいたほうが安心です。

観光客が少なく落ち着いて走りたい場合は、午前中の早い時間帯を選ぶとよいでしょう。日中は写真を撮る人や散策する観光客が増えるため、道幅の狭い区間ではペースを落として周囲に注意を払うことが欠かせません。距離が長めのコースを走るときは、こまめな水分補給も忘れずに行いたいところです。

アクセスは小樽駅から徒歩10分、車なら小樽ICから15分

小樽運河と旧手宮線跡地へのアクセスは、JR小樽駅を起点に考えるとわかりやすくなります。

目的地交通手段所要時間の目安
小樽運河JR小樽駅から徒歩約10分
旧手宮線跡地(起点)小樽運河から寿司屋通り経由で徒歩約5分
手宮公園方面JR小樽駅からバスで「手宮」下車後、徒歩約10分
手宮公園方面(車)札樽自動車道小樽ICから約15分

このように、電車派でも車派でも小樽駅を軸にすれば迷いにくいルートになっています。徒歩やランニングでアクセスする場合も、小樽駅から運河、旧手宮線跡地へと一直線に近いルートで移動できるので、地図アプリを頼りに歩いても迷いにくい立地です。

駐車場は手宮公園エリアに無料で52台分ある

車で訪れる場合、小樽運河周辺には有料の民間駐車場が点在しており、観光シーズンには混雑することもあるため時間に余裕を持った計画が必要です。旧手宮線跡地の奥にある手宮公園・手宮緑化植物園方面には無料駐車場が用意されていて、陸上競技場に約40台、緑化植物園に約12台のスペースがあります。あわせて52台分ですが、桜のシーズンなど観光客が集中する時期には駐車場待ちが発生することも考えられるので、公共交通機関や徒歩・ランニングでのアクセスも選択肢に入れておくとよいでしょう。

散策やランニングのあとは寿司屋通りや堺町通りに立ち寄れる

小樽運河や旧手宮線跡地を歩いたり走ったりしたあとは、周辺のグルメで一息つくのもおすすめです。北運河エリアには、札幌軟石でつくられた旧渋澤倉庫を再利用したカフェがあり、店内から運河を眺めながらくつろげます。小樽の名物として知られる花園だんごも定番で、花園本店にはイートインスペースがあるので、歩き疲れた足を休めながら和菓子を味わえます。

寿司好きには旧手宮線跡地に近い寿司屋通りがおすすめです。創業70年を超える老舗の寿司店が並んでおり、新鮮な海の幸を使った寿司を楽しめます。小樽駅構内には、ミシュランの星を獲得した小樽の名店がプロデュースする立ち食い寿司店もあり、時間がない旅行者やランナーにも利用しやすくなっています。小樽市堺町周辺では牡蠣やホタテなどの海鮮を炭火で焼いて楽しめる店もあり、ランチで気に入って同じ日の夕方にもう一度訪れる人がいるほどです。

小樽運河から少し足を延ばせば、小樽観光のメインストリートである堺町通りにも行けます。堺町本通りと色内大通りをあわせると約1.3キロメートルの通りに、約120軒もの店が並んでいます。ルタオ、北菓楼、六花亭といったスイーツ店をはじめ、ガラス工房やオルゴール店が軒を連ねる情緒ある街並みです。

北一硝子は堺町通りを代表するガラス工房で、三号館がランドマーク的な存在になっています。石造りの建物に167個ものランプが灯る北一ホールでは喫茶を楽しめますし、同じ建物内の三号館テラスでは、リンゴやメロン、抹茶など8種類の味を一度に楽しめるソフトクリームが人気です。ドゥーブルフロマージュで知られるルタオの本店も塔のような外観が目印で、2階の喫茶では本店限定の生ドゥーブルフロマージュを味わえますし、最上階の展望室からは小樽の街並みと海を一望できます。小樽オルゴール堂やかまぼこの名店かま栄など、歴史的建造物を活用した店も多く、小樽運河から旧手宮線跡地までの散策やランニングとあわせて食べ歩きや買い物も一日で楽しめるエリアです。

季節によって運河と廃線跡の表情は大きく変わる

小樽運河と旧手宮線跡地は、四季それぞれで見える景色が変わります。

季節気温の目安見どころ
春(3月~5月)3月は氷点下近くまで冷える日もあり、5月でも朝晩は涼しい手宮公園周辺の桜、斜面いっぱいの花見スポット
夏(6月~8月)7月・8月は20度を超える日が増える早朝・夕方のランニングに最適、運河沿いの緑
秋(9月~11月)9月は最高気温21~22度前後、10月から最低気温が10度を下回る木々の色づき、観光客が落ち着いた静かな散策
冬(12月~2月)1月が最も寒く、平均気温は氷点下を下回る日も多い「小樽雪あかりの路」、雪景色の運河

春は手宮公園周辺で桜が見頃を迎え、斜面いっぱいに咲く花と眼下に広がる港を一緒に眺められます。夏は日照時間が長く、早朝や夕方のランニングに向いた気候です。ちょうど「おたる運河ロードレース大会」が開催される時期とも重なるため、大会の雰囲気とあわせて走るのもよいかもしれません。秋は木々が色づき、観光客も落ち着くので静かに歩きたい人に向いています。冬は雪景色が楽しめる一方、路面凍結には注意が必要で、走る場合は防寒と滑り止めの装備をしっかり整えておいたほうがよさそうです。

3月ごろはまだ路上に雪が残っていることが多く、4月上旬まで足元がぬかるんだり滑りやすかったりします。5月になっても朝晩は冷えるので、軽い上着があると安心です。10月下旬あたりからは初雪が観測されることもあり、季節の変わり目は服装選びに迷う時期といえます。

小樽全体の観光客数は2年連続で800万人を超えている

小樽市の観光入込客数は令和7年度に834万6,300人となり、2年連続で800万人を超えました。外国人宿泊客数も29万7,496人にのぼり、こちらも2年連続で過去最多を記録しています。小樽運河や旧手宮線跡地はこうした観光の中心エリアに位置しており、日本人観光客だけでなく海外からの旅行者ともすれ違う機会が多いスポットです。混雑を避けて静かに歩きたい場合は、早朝の時間帯を選ぶと落ち着いて散策やランニングを楽しめるでしょう。

まとめ:小樽運河と旧手宮線跡地は徒歩数分でつながる散策路

小樽運河と旧手宮線跡地は、どちらも小樽の歴史を伝える遺産でありながら、現代では散策路やランニングコースとして使われています。小樽運河では石造りの倉庫群とガス灯が生む景観を楽しみながら、平坦で走りやすい石畳を歩けます。旧手宮線跡地は北海道で最初に開通した鉄道の廃線跡で、線路や踏切がそのまま残る中を、観光客の少ない穴場コースとして走れます。

両者は徒歩数分でつながっているため、小樽運河、旧手宮線跡地、日本銀行旧小樽支店金融資料館、小樽市総合博物館、手宮公園といった見どころを一度に巡れます。距離を自分の体力や目的にあわせて自由に組み合わせられるので、軽い散策から10キロメートルを超える本格的なランニングまで、幅広いニーズに応えられるエリアです。

初めて小樽を訪れる場合は、まず小樽運河から旧手宮線跡地までを歩いてみて、余裕があれば寿司屋通りや堺町通りに立ち寄るという順番がわかりやすいかもしれません。ランニングを目的にする場合も、最初は無理のない距離設定から始めて、慣れてきたら港方面まで足を延ばすように距離を伸ばしていくと、小樽の街並みを段階的に楽しめます。観光だけでなく早朝や夕方の時間を使って、運河と廃線跡をめぐるランニングやウォーキングを試してみるのもよいでしょう。

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