来島海峡大橋のランニングコースは往復8kmから設計可能

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来島海峡大橋のランニングコースは、今治市の糸山公園を起点に、片道約4kmの三連吊り橋を渡って大島側へ抜ける、往復8km前後のコースです。橋の北側に設けられた自転車・歩行者専用道路を使うため、車道と分離された状態でしまなみ海道の急流と多島美を眺めながら走ることができます。今治側を拠点にしたこのコースの距離設定やアクセス、走る際の注意点を、地図とにらめっこしながら整理してみました。実際に走る前に知っておきたい情報を、順にまとめていきます。

目次

来島海峡大橋は片道4105mの世界初三連吊り橋

来島海峡大橋は、今治市と大島(今治市宮窪町・吉海町)を結ぶ、全長約4105mの橋です。来島第一大橋・来島第二大橋・来島第三大橋という3つの吊り橋が連続してつながる構造になっていて、建設当時は世界初の三連吊り橋として話題になりました。それぞれの長さは第一大橋が960m、第二大橋が1515m、第三大橋が1570mで、第一大橋の中央径間は600mに達します。着工は1988年、開通は1999年5月なので、10年以上をかけて完成した橋ということになります。

橋の北側には自転車・歩行者専用道路があり、車道とは分離されています。眼下にはしまなみ海道随一の急流が広がり、大小の船舶が行き交う様子を見ながら走れるのが、このコースの一番の見どころです。橋の途中には馬島という小さな島があって、来島第二大橋と第三大橋のあいだに位置します。仮設トイレも設置されているので、長い距離を走るランナーにとっては貴重な休憩ポイントになります。路面はしっかり舗装されていて、勾配はあるものの走りにくさは感じにくい設計です。

起点は今治市サイクリングターミナルのサンライズ糸山

しまなみ海道を今治側から走り始める場合、拠点になるのが今治市サイクリングターミナル「サンライズ糸山」と、隣接する糸山公園、来島海峡展望館です。来島海峡大橋のたもとに位置していて、しまなみ海道サイクリングロードの起点・終点として知られています。

サンライズ糸山にはレンタサイクルが約400台用意されていて、サイクリスト向けの拠点として全国的にも名前が通っています。宿泊棟は70名を収容でき、部屋はどこも海に面した造りになっているため、来島海峡大橋の夜景や朝焼けを部屋から眺められます。ランナーが一泊して、早朝や夕方の走りやすい時間帯だけ橋を走る、という使い方もできそうです。館内の「風のレストラン」では、魚介を使った「島のパエリア」や、今治名物のせんざんきを使った「せんざんきカレー」が人気メニューになっています。

来島海峡展望館は、来島海峡大橋の資料展示と今治地方の観光物産品販売を行っている施設で、営業時間は9時から18時まで(11月から2月は17時まで)です。展望館前の広場や糸山展望台からは、三連吊り橋の全景と海峡の急流を一望できるので、走る前後に立ち寄る価値は十分にあります。

アクセスは今治北ICから車で5分、今治駅からバスで22分

サンライズ糸山・糸山公園・来島海峡展望館へのアクセスは、車でも公共交通機関でも可能です。車の場合、しまなみ海道方面からは今治北インターチェンジから約5分ほどで着きます。今治市街地からのアクセスも悪くありません。

公共交通機関を使う場合は、JR今治駅からせとうちバス(小浦線、または小浦・大浜線)に乗り、「展望台入口」バス停で下車して徒歩1分から3分ほどです。バスの所要時間はおよそ22分ですが、本数は平日1日5便、土日祝日3便程度と少なめなので、事前に時刻表を確認しておいたほうが安心です。

今治駅から糸山公園までは走って向かうこともできます。距離はおよそ4km前後で、市街地の平坦な道から海沿いの景色へと徐々に変わっていくルートなので、ウォーミングアップにちょうどいい距離感です。今治駅を出発点にして糸山公園まで走り、そこから来島海峡大橋を往復するという組み方にすれば、トータル十数kmのランニングコースとして設計できます。

駐車場については、サンライズ糸山本館の正面に約30台分、レンタサイクル棟の奥にも別の駐車場があり、合わせて90台ほど駐車できます。繁忙期には臨時駐車場も開設されるとのことなので、混雑期でも比較的停めやすい環境です。来島海峡展望館や糸山展望台の駐車場も無料で使えます。

コース設定は往復8kmから今治駅発の20km前後まで

来島海峡大橋を中心にしたランニングコースは、体力や時間に応じて3パターンに分けて考えると分かりやすくなります。

一つ目は橋の往復だけのショートコースです。サンライズ糸山を出発して来島海峡大橋を渡り、大島側の入り口付近で折り返すルートで、片道約4km、往復で約8km程度になります。橋の景観をしっかり楽しみつつ、無理のない距離で走りたい人に向いています。

二つ目は大島の観光地を絡めたミドルコースです。橋を渡り切った先にある亀老山展望公園や来島海峡SAなどのスポットを組み込むと、往復で10km台後半から20km程度に伸びます。しまなみ海道らしい島の風景をより深く味わえる分、走りごたえも増します。

三つ目は今治駅からのアクセスも含めたロングコースです。今治駅を出発点にして糸山公園まで走り、来島海峡大橋を往復して今治駅に戻ってくると、トータルで十数kmから20km前後になります。ハーフマラソンのトレーニングとしても使えそうな距離で、今治市街地の雰囲気としまなみ海道の海景色を一度に味わえます。

コース主な区間距離の目安
ショートコースサンライズ糸山〜来島海峡大橋往復約8km
ミドルコースサンライズ糸山〜亀老山展望公園など往復約16〜20km
ロングコース今治駅〜糸山公園〜来島海峡大橋往復約十数〜20km

いずれのコースも自転車・歩行者専用道路を使うので、車道と分離された安全な区間を走れます。ただしサイクリストとの共用区間になるので、走行中は自転車の往来に注意して、道幅が狭い箇所では周囲の確認を怠らないようにしたいところです。

長い距離を走るロングコースやミドルコースに挑戦する場合は、序盤から飛ばしすぎないペース配分が肝心です。マラソントレーニングの世界では、早歩きより少し速い程度、キロ6分から7分くらいのペースでじっくり長く走る練習が、長距離を走り切る体づくりに役立つとされています。景色を楽しみながら走るこのコースなら、あえてペースを抑えて、来島海峡の眺めをゆっくり味わうくらいがちょうどいいかもしれません。

夕方の橋は瀬戸内海に沈む夕陽で茜色に染まる

このコースでとくにおすすめしたい時間帯は、夕方から夜にかけてです。瀬戸内海に沈む夕陽が橋や海峡を茜色に染め上げる光景は、写真に撮っても実際に見ても格別です。日中は瀬戸内の穏やかな多島美を楽しみ、夕方は夕陽ランを、というように時間帯によって違う表情を楽しめるのが、このコースの魅力だと思います。

橋には照明が設置されているので、日没後もライトアップされた状態で走ることができます。ただし暗くなってからの利用は、路面の確認や自転車との接触に注意が必要です。反射材やライトを携行して、視認性を高めておくと安全に走れます。

亀老山展望公園は隈研吾設計、標高307.8mから橋を一望

橋を渡り切った先の大島側には、亀老山展望公園という絶景スポットがあります。標高は307.8mで大島の最高峰にあたり、瀬戸内海国立公園にも指定されているエリアです。ここからは来島海峡大橋の三連吊り橋を一望でき、瀬戸内海の多島美と合わせて絶好の撮影ポイントになっています。夕陽の時間帯はとくに美しい景色が広がります。

展望台は建築家の隈研吾氏が設計を手掛けたことでも知られています。建物自体を地中に配置し、その上に樹木を植えることで、外から見ると建物が地形に溶け込んで見えないよう工夫されたデザインが特徴です。景観を損なわないよう配慮されたこの展望台からのパノラマビューは、しまなみ海道の中でも屈指の絶景スポットとして評価されています。橋を渡ったあとに少し足を延ばしてこの展望台まで走るコース設定は、体力に余裕のある人向けのプランとして選択肢に入れておきたいところです。

来島海峡は日本三大急潮、最大10ノットの潮流が発生

橋の下に広がる来島海峡は、鳴門海峡・関門海峡と並ぶ「日本三大急潮」の一つに数えられています。中水道では最大10ノット(時速約18km)にも達する速い流れが生まれ、場所によっては落差2mにもなる激流が音を立てて渦潮や湧潮を発生させます。橋の上から見下ろす潮流だけでも十分な迫力がありますが、もっと近くで体感したいなら「しまなみ来島海峡遊覧船(旧・来島海峡急流観潮船)」という選択肢もあります。約40分の船上ツアーで、来島海峡大橋や今治の造船所群、村上海賊ゆかりの島々を海上から巡ることができ、料金は大人1人2,700円程度(コースにより変動)、道の駅「よしうみいきいき館」内で乗船手続きを行います。

しまなみ海道は2014年にCNNの世界7大サイクリングロードに選定

来島海峡大橋を含むしまなみ海道は、国際的にも評価の高いルートです。アメリカのCNNは2014年に「世界7大サイクリングロード」の一つとしてしまなみ海道を選びました。フランスの旅行ガイド『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』も2013年版で一つ星を与えていて、ロンリープラネットも紹介記事を組んでいます。サイクリング目的でこのルートを訪れる海外の旅行者が多いのも、こうした評価の積み重ねが背景にあるようです。ランナーにとっても、サイクリスト向けに整備された安全な専用道路をそのまま使えるというのは、走りやすさの面で恩恵が大きいと感じます。

しまなみ海道のブルーラインは尾道駅から今治駅まで続く

しまなみ海道には、サイクリングの推奨ルートを示す「ブルーライン」という青い誘導線が路面に引かれています。JR尾道駅からJR今治駅までの区間を、迷わずに走破できるように設置されたもので、主にサイクリスト向けの案内として知られていますが、ランナーにとっても道に迷わないための目印として使えます。

来島海峡大橋の周辺でも、このブルーラインに沿って走れば正規の自転車・歩行者道を外れずに進めます。今治側は市街地から海沿いへの接続部分で道が入り組む箇所もあるので、ブルーラインを目印にしておくと迷いにくくなります。しまなみ海道全体では、尾道側から今治側まで向島・因島・生口島・大三島・伯方島・大島という6つの島を経由し、9本の橋を渡ることになります。すべて走破すると70km近い距離になるため通常のランニングとしては現実的ではありませんが、しまなみ海道を舞台にした100km・60km・24kmの距離設定を持つウルトラランニング大会も開催されているくらいなので、上級者にとっては本格的な走破の対象にもなっているようです。

今治里山マラソンとしまなみサラウンドが近隣で開催

今治市やしまなみ海道の周辺では、ランニングやウォーキングに関連したイベントがいくつか開催されています。「瀬戸内しまなみ海道スリーデーマーチ」は、今治市と上島町が協力して開催しているウオーキング大会で、日本マーチングリーグの公式大会にも位置づけられています。しまなみ海道の景観を楽しみながら複数日にわたって歩くイベントとして、地元に定着しているようです。

「今治里山マラソン」は、今治市内の里山を舞台にしたマラソン大会で、小学生向けの2kmコースから3km、5km、10km、ハーフマラソンまで、幅広い年齢層に対応した距離設定になっています。しまなみ海道の海沿いのコースとは違う、今治の里山の自然を感じられる大会として親しまれています。

しまなみ海道を舞台にした比較的新しいマラニック・ウルトラランニング大会として「しまなみサラウンド」もあります。広島県尾道市瀬戸田を起点に、生口島・因島・向島といった島々を縦断するコースで、100km・60km・24kmの3種目が設定されています。これらの大会は今治側だけでなく尾道側も含めたしまなみ海道全体を舞台にしているものが多いですが、来島海峡大橋を含む今治側のエリアも、コースの一部として、あるいは個人でのトレーニングコースとして使われています。

橋の上は強風対策が必須、レイヤリングが服装の基本

来島海峡大橋のランニングコースを楽しむうえで、押さえておきたい注意点がいくつかあります。まず、橋の上は開放的な景観がある一方で、海からの風が強く吹き抜けることが多い場所です。とくに冬場や台風接近時は強風になりやすいので、ウィンドブレーカーなどの防風対策があると安心です。橋の上は陸上の島内に比べて体感温度が下がりやすいため、服装の基本はレイヤリング(重ね着)にあります。春や秋であっても、薄手のウィンドブレーカーを一枚持っておくと、橋の上での急な冷えや強風に対応しやすくなります。

橋の路面には勾配があるため、平坦なロードとは異なる負荷がかかります。三連吊り橋という構造上、橋と橋の接続部分ではアップダウンが生じるので、ペース配分には気をつけたいところです。トイレは馬島に仮設のものがありますが、常時使えるとは限らないので、出発前にサンライズ糸山や来島海峡展望館で済ませておくのが無難です。

夏場は日差しを遮るものが少ない橋の上を走ることになるので、水分補給用のボトルや帽子、日焼け対策も忘れずに準備しておきたいところです。橋の上には自動販売機などの設備が限られているため、事前に水分や補給食を用意しておくと安心して走れます。

持ち物としては、冬場や強風時に備えた防風性のあるウィンドブレーカーに加えて、日差し対策の帽子やサングラス、日焼け止めがあると安心です。水分補給用のボトルかハイドレーションパックも欠かせません。日没を挟んで走る計画なら反射材やライトを、絶景を撮影したいならスマートフォンや簡易カメラも持っておきたいところです。バスを利用する場合や展望館での買い物に備えて、現金や交通系ICカードも用意しておくと現地で困りません。

今治市は人口約14.6万人、造船業とタオル産業で知られる街

ランニングコースの舞台になる今治市は、愛媛県下で2番目に人口が多い都市で、2025年5月末時点で約14.6万人が暮らしています。市域は四国本土の高縄半島北東部と芸予諸島の一部から成っていて、来島海峡大橋が渡る大島もこの芸予諸島の一部にあたります。

産業の面では、造船業とタオル産業の二つが今治市を代表しています。造船業は国内でも全国一の集積を誇り、市内には18の事業所があって建造隻数では国内の15%を占めるとされています。今治市に本社を置く今治造船は、造船業で日本一の規模を持つ企業です。橋の上から見える来島海峡に大小の船舶が行き交っているのも、こうした海事都市としての背景と無関係ではなさそうです。

タオル産業も今治のもう一つの顔です。明治27年にタオル織物づくりが始まったとされていて、1960年からは生産額で大阪を抜き、以来日本一の座を占め続けています。走る前後に立ち寄る土産物店でも、今治タオルを目にする機会は多いはずです。

走ったあとは今治焼豚玉子飯とせんざんきで腹ごしらえ

今治市は「今治タオル」のほか、「せんざんき」(今治風の唐揚げ)や「今治焼豚玉子飯」といったご当地グルメでも知られています。今治焼豚玉子飯は、ご飯の上にスライスした焼豚を盛り、その上に半熟の目玉焼きをのせ、焼豚の煮汁をベースにした甘辛いタレをかけていただく丼料理です。もともとは忙しい料理人が仕事の合間に食べる「まかない飯」として親しまれていたものが評判を呼び、2017年の「西日本B-1グランプリ in 明石」で優勝したことをきっかけに全国的にも知られるようになりました。ランニングのあとに、こうした今治ならではの料理で栄養補給をするのも、このエリアを走る楽しみのひとつです。

来島海峡大橋のランニングコースは、世界初の三連吊り橋という構造の面白さと、来島海峡の急流や瀬戸内海の多島美という景色を、片道4km・往復8kmという無理のない距離で味わえるコースです。今治駅からのアクセスを含めれば20km前後のロングコースにも組み替えられるので、体力や目的に合わせてコースを選んでみてください。

今治里山マラソンやしまなみサラウンドといった大会が周辺で開催されていることからも分かるように、しまなみ海道一帯はランニングやウォーキングの文化がすでに根付いている土地です。サイクリストの聖地として国際的な評価を受けてきたこの道が、走る人にとっても選択肢に入ってくる場所になってきているように感じます。旅行のついでに軽く走ってみる、あるいは本格的なトレーニングコースとして使い込んでみる、どちらの楽しみ方も受け止めてくれる懐の深さが、このコースにはあります。

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