周南市陸上競技場外周ランニングコースは、全長1.2kmのカラー舗装(ゴムチップ舗装)が施された、膝や足に優しい本格的なランニング環境です。山口県周南市の周南緑地内に位置するこのコースは、衝撃吸収性に優れたボス仕上げゴムチップ複合舗装を採用しており、初心者から競技志向のランナーまで幅広い層に支持されています。この記事では、コースの距離や路面素材の特徴、トレーニングへの活用方法、アクセス情報まで、実際に走る前に知っておきたい情報を詳しく解説します。

周南市陸上競技場外周ランニングコースの基本情報と距離
周南市陸上競技場外周ランニングコースの全長は1.2km(1,200メートル)です。このコースは、山口県周南市の周南緑地中央緑地エリアに位置し、陸上競技場と野球場の外周を大きく回る楕円形に近いレイアウトとなっています。
周南緑地は、瀬戸内海沿岸のコンビナート地帯に隣接する産業都市・周南市において、工業地帯と住居地域を隔てる「緩衝緑地」として整備された経緯を持ちます。全体で5つのエリアに分かれる広大な緑地帯の中で、陸上競技場外周コースは中央緑地と呼ばれる中核ゾーンに配置されています。都市の「肺」としての機能を果たしながら、市民の健康増進拠点としても重要な役割を担っているのです。
コースの高低差はわずか約1メートルと報告されており、実質的に完全な平坦(フラット)コースとして利用できます。急な登り坂や下り坂がないため、一定のペースを維持しやすく、心拍数の急激な変動を避けたトレーニングが可能です。また、園内は信号機が一切なく、車両の進入も制限されているため、止まることなく連続して走り続けられる環境が整っています。
1.2kmという距離設定のメリット
一見すると、キリの良い1kmや標準的な400mトラックと比較して中途半端に思えるかもしれませんが、1.2kmという距離にはトレーニング理論上の優位性があります。
10kmを走る場合、400mトラックでは25周回が必要となり、同じ景色の中を何度も周回することで精神的な閉塞感や飽きを感じやすくなります。これに対して1.2kmコースであれば、10km走破に必要な周回数は約8.3周となり、精神的な負担が大幅に軽減されます。5kmのタイムトライアルを行う場合でも4周と200メートル程度で済むため、周回数の管理がしやすいのです。
さらに、市民ランナーに人気の「1000mインターバル」を応用し、あえて200m長い「1200mインターバル」として活用することも可能です。これにより有酸素運動能力(VO2Max)への刺激時間を約20%延長でき、標準的な1000m走よりも高いトレーニング効果が期待できます。フルマラソン後半での粘り強さを養成したいランナーにとって、この「プラス200m」の負荷設定は効果的な強化ポイントとなります。
カラー舗装(ゴムチップ舗装)の特徴と身体への効果
周南市陸上競技場外周ランニングコースの最大の特徴は、その路面素材にあります。陸上競技場の改修に合わせて外周コースにも導入された「ボス仕上げゴムチップ複合舗装(ゴムチップウレタン系舗装)」は、一般的な公園のアスファルトやコンクリート路面とは大きく異なる走り心地を提供します。
衝撃吸収性のメカニズムと怪我予防効果
アスファルト路面は剛性が高く、ランナーが着地した際の衝撃エネルギーの大部分をそのまま脚部へと跳ね返します。ランニング動作では体重の約3倍もの衝撃が脚にかかるとされており、硬い路面での繰り返しの着地は、シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)や足底筋膜炎、膝関節の障害といったランニング障害のリスクを高める要因となります。
これに対してゴムチップ複合舗装は「粘弾性」という特性を持っています。ランナーが着地する瞬間、路面がミクロン単位でわずかに沈み込み、衝撃エネルギーの一部を吸収・分散させる働きがあります。この微細な衝撃吸収が一歩ごとに繰り返されることで、長時間のランニングでも脚への負担が軽減されるのです。
特に、ランニングを始めたばかりの初心者、体重が重めのランナー、怪我からのリハビリテーション期にある競技者にとって、この路面特性は大きな恩恵をもたらします。膝や足首に不安を抱えながらも走りたいという方にとって、ゴムチップ舗装のコースは安心してトレーニングできる貴重な環境といえるでしょう。
ボス仕上げによるグリップ性能と全天候対応
「ボス仕上げ」とは、ウレタン樹脂にゴムチップを混合し、専用の機械で霧状に吹き付けて施工するスプレーコート工法のことです。この工法により、路面表面に均一な凹凸(テクスチャ)が形成されます。
この凹凸は雨天時の安全性において重要な役割を果たします。通常のアスファルト路面では、雨天時に水膜現象(ハイドロプレーニング)が発生してシューズが滑りやすくなりますが、ボス仕上げの凹凸構造は水はけを促進し、濡れた路面でもシューズのグリップ力を維持します。
改修工事の仕様では「降雨直後でも使用が可能となる環境を整備すること」が明記されており、排水設備の更新と相まって、天候に左右されない安定したトレーニング環境が提供されています。梅雨時期や秋雨のシーズンでも、路面コンディションを気にせずトレーニングの継続性を保てることは、日々の練習計画を立てる上で大きなメリットとなります。
カラー舗装がもたらす視覚的安全性
「カラー舗装」という言葉は単なる美観の問題ではなく、安全性に直結する重要な要素です。都市公園においては、ランナー、歩行者、自転車利用者、管理車両などが同じ空間を共有することがあり、動線の交錯は事故のリスクを生みます。
周南緑地の改修計画では、ランニングコースと他の動線を明確に分離するためのゾーニングが行われました。鮮やかなカラー舗装は、その場所が「ランナーのための専用空間」であることを視覚的に強くアピールする心理的な境界線として機能します。歩行者や自転車利用者も、色分けされた路面を見ることで自然とランナーの存在を意識し、接触事故の防止につながります。
さらに、改修計画には「ランニングコース利用者と車両との交錯がないよう、取り外し可能な車止め(ボラード)を設置すること」も含まれており、物理的な遮断と視覚的な警告の二重の安全対策が講じられています。
コースレイアウトと走りやすさの工夫
周南市陸上競技場外周ランニングコースは、陸上競技場と野球場の外周を大きく回る楕円形に近い形状をしています。鋭角なカーブが存在しないため、スピードを出して走っても膝や足首への捻り負荷がかかりにくい設計となっています。
植栽撤去による見通しの改善
改修工事の一環として、コース内側に植えられていたカイヅカイブキやキョウチクトウなどの植栽が撤去されました。これにより、コース全体の見通しが劇的に改善されています。
見通しが良いことには複数のメリットがあります。まず、ランナーが前方の歩行者や他のランナーを早期に発見できるようになり、接触事故のリスクが低減されます。追い抜きの際にも相手の動きを予測しやすく、スムーズなすれ違いが可能です。
また、夜間や薄暮時の防犯面においても、死角が減ることで安心感が高まります。周囲から見られているという意識は犯罪抑止効果につながり、特に女性ランナーや早朝・夕方に走る方にとって重要なポイントとなります。
環境配慮型インフラとしての取り組み
特筆すべき点として、排水設備に「人工芝の破片を捕集するフィルター等」を設置するという仕様があります。これは陸上競技場内のフィールドが人工芝に改修されたことに伴う措置ですが、外周コースの排水系もこの環境管理システムの一部に組み込まれています。
マイクロプラスチックの海洋流出が世界的な環境問題となっている現在、ゴムチップや人工芝の細かい破片が雨水とともに河川へ流出することを防ぐこの設計は、持続可能なインフラ整備の観点から高く評価できます。目に見えない部分でも環境への配慮がなされているこのコースは、環境意識の高いランナーにとっても安心して利用できる施設といえるでしょう。
周南緑地整備事業と施設のリニューアル情報
周南緑地は、公害防止対策の一環として1968年度から1986年度にかけて公害防止事業団により整備された歴史ある緩衝緑地です。公園全体の面積は76.9ヘクタールにも及び、東緑地、中央緑地、西緑地、横浜緑地、遠石緑地の5つの区域で構成されています。運動公園としての機能も併せ持ち、多くの市民に親しまれてきました。
現在、周南緑地整備管理運営事業(PFI事業)として大規模なリニューアル工事が進められています。2024年4月より駐車場の工事等が開始され、同年7月末からはサッカー場のリニューアル工事に着手しました。陸上競技場については2024年10月から工事が始まっており、管理棟(スタンド屋根含む)の改築、トラックへの全天候舗装の敷設、インフィールドへの投てき可能な人工芝の敷設などが行われます。これらの改修により、陸上競技場は日本陸上競技連盟公認第3種競技場としてリニューアルされる予定です。
工期は2026年3月末までとなっており、リニューアルオープンは2026年4月を予定しています。工事期間中は一部施設の利用に制限がある可能性があるため、訪問前に最新の情報を確認することをおすすめします。なお、外周ランニングコースについては、工事の進捗状況によって利用可能な区間が変わる場合があります。
周南緑地内には陸上競技場以外にも、ゼオンアリーナ周南(体育館)、津田恒実メモリアルスタジアム(野球場)、庭球場、ソフトボール球場、サッカー場、アーチェリー場、周南フレンドパークなど多数のスポーツ施設が集積しています。これらの施設が一体となって整備されることで、周南市のスポーツ環境は今後さらに充実していくことが期待されます。
周南市陸上競技場との連携によるハイブリッドトレーニング
外周コースは単独で存在するのではなく、日本陸上競技連盟公認の陸上競技場を取り囲む形で配置されています。陸上競技場は敷地面積28,000平方メートル、収容人数10,000人を誇る本格的な競技施設です。この立地条件は、一般市民ランナーにとって非常に贅沢なトレーニング環境を提供します。
競技場内が一般開放されている日や時間帯であれば、外周コースと競技場トラックを組み合わせた「ハイブリッドトレーニング」が実践できます。具体的には、足への負担が少ない外周のゴムチップコースで1.2km×2周などのウォーミングアップを行い、身体が十分に温まったところで競技場内の全天候型トラックに移動してスピード練習を実施します。正確な距離が刻まれたトラックでのタイム計測を終えたら、再び外周に出て景色の変化を楽しみながらクールダウンを行うという流れです。
本格的な競技施設とリラックスして走れる公園コースがシームレスにつながっている点は、周南緑地ならではの大きな魅力です。インターバル走やペース走、距離走など、練習メニューに応じて最適な環境を選択できる柔軟性があります。
シャワー・更衣室の利用について
ランニングコース選びにおいて、着替えとシャワーの有無は見逃せない要素です。周南市陸上競技場等の体育施設では、個人利用においてシャワー設備を利用することができます。
利用料金は施設や利用形態によって異なりますが、おおむね安価に設定されています。ランニング後に汗を流してから帰宅したり、そのまま市街地へ出かけたりすることが可能です。これは実質的に公共施設が「格安のランニングステーション」として機能していることを意味します。
仕事帰りにランニングをしたい方や、遠方から訪れるビジターランナーにとって、シャワー設備の存在は大きな魅力となります。荷物を預けて走り、汗を流してリフレッシュしてから帰路につけるこの環境は、ランニングを日常生活に組み込みやすくしてくれます。
アクセス方法と駐車場情報
山口県は車社会であり、駐車場の利便性はランニングコースを選ぶ上で重要な判断材料となります。周南緑地周辺には多数の駐車場が整備されており、24時間駐車しても最大料金400円程度という安価な設定の駐車場も存在します。
改修計画においても「既存の駐車場が確保されるよう配慮すること」が明記されており、ランニングコースのスタート地点直近に駐車スペースを確保しようとする行政側の姿勢がうかがえます。早朝や休日でも駐車場所に困ることなく、スムーズにランニングを開始できる環境が整っています。
公共交通機関を利用する場合は、JR徳山駅から「緑が丘じゅんかん線」バスに乗車し、「緑が丘運動公園前」バス停で下車すると徒歩約3分でアクセスできます。駅からの所要時間は約10分程度であり、車を持たない方や出張で訪れたビジネスパーソンにとっても利用しやすい立地といえます。
推奨されるトレーニングメニュー
周南市陸上競技場外周ランニングコースの特性を活かしたトレーニングメニューをいくつか紹介します。
ペース走・LSD(ロング・スロー・ディスタンス)
高低差がほとんどない完全フラットな路面は、一定のペースを維持するトレーニングに最適です。登り坂による心拍数の急上昇や、下り坂による着地衝撃の増加がないため、目標とする心拍ゾーンを維持し続けやすい環境です。信号機がなく止まる必要もないことから、長時間にわたる有酸素運動に集中できます。
1.2km×5周で6km、1.2km×8周で約10kmと、距離の把握も容易です。ラップタイムを確認しながら、イーブンペースでの距離走を実践してみてください。
インターバルトレーニング
前述の通り、1.2kmという距離設定は「1200mインターバル」として活用できます。1000mインターバルよりも200m長い分、有酸素能力への負荷時間が延長され、持久力強化に効果的です。
たとえば「1200m×5本、リカバリー200mジョグ」というメニューを組めば、合計で約7kmの質の高いトレーニングとなります。ゴムチップ舗装の衝撃吸収性により、スピードを出しても脚への負担が軽減されるため、追い込んだ練習でも故障リスクを抑えられます。
フォーム改善ドリル
路面の傾斜がないフラットなコースは、ランニングフォームの確認や改善にも適しています。左右のバランスや接地位置、腕振りの軌道などを意識しながら走ることができます。ゴムチップ舗装の適度な反発性を利用して、ストライド(歩幅)を伸ばすドリルを取り入れるのも効果的です。
利用上の注意点とマナー
快適にランニングを楽しむために、いくつかの注意点を把握しておきましょう。
夜間利用について
周南市は工場夜景で有名な都市であり、夜間のランニング(ナイトラン)需要も潜在的に高いエリアです。しかし、周南緑地内の施設管理規則では「夜間の駐車および車中泊は禁止」とされており、深夜帯の利用には一定の制限があります。
植栽の撤去により見通しは改善されていますが、夜間に走る場合は反射材付きのウェアやライトを着用し、できるだけ明るい場所を選んで走ることをおすすめします。早朝から夕暮れ時までの時間帯での利用がベストといえるでしょう。
季節ごとの路面状況
ボス仕上げによる排水性の高さは前述の通りですが、周南緑地は緩衝緑地としての性格上、樹木が豊富に植えられています。夏場は木陰が涼しさを提供してくれる一方、秋には落ち葉が路面に散らばることがあります。
ただし、有料施設を含む複合エリアとして定期的な清掃管理が行き届いているため、路面コンディションは年間を通じて良好に保たれています。季節を問わず安心して利用できる環境といえます。
他の利用者への配慮
コースは市民に広く開放されているため、ウォーキングを楽しむ方や散歩中の方とすれ違うこともあります。追い抜く際は声をかける、スピードを落とすなどの配慮を心がけ、誰もが気持ちよく利用できる環境づくりに協力しましょう。
周南緑地の他のランニングスポット
周南緑地は5つのエリアで構成される広大な緑地帯であり、陸上競技場外周コース以外にも走れる場所があります。中央緑地エリア内だけでなく、緑地帯全体を巡るルートを設定すれば、より長い距離のトレーニングも可能です。
気分転換を兼ねて緑地内の散策路を走ったり、周辺の街並みを眺めながらジョギングしたりと、変化に富んだランニング体験ができます。定期的に訪れるランナーは、季節ごとに異なるコース取りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
まとめ:周南市陸上競技場外周ランニングコースの魅力
周南市陸上競技場外周ランニングコースは、全長1.2km、高低差わずか1mのフラットなカラー舗装コースです。ボス仕上げゴムチップ複合舗装による優れた衝撃吸収性とグリップ性能は、初心者から競技志向のランナーまで幅広い層のニーズに応えます。
信号のない環境で止まることなく走り続けられること、日本陸連公認の陸上競技場と連携したハイブリッドトレーニングが可能なこと、シャワー設備が利用できること、そしてアクセスの良さと駐車場の充実。これらの要素が揃った周南市陸上競技場外周ランニングコースは、山口県内でも屈指のランニング環境といえるでしょう。
膝や足への負担を気にする方、質の高いトレーニング環境を求める方、そして周南市周辺で新しいランニングスポットを探している方は、ぜひ一度このコースを訪れてみてください。工業都市の中に広がる緑のオアシスで、快適なランニング体験が待っています。









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